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戸塚愛美「旅人の旅」(滞在2日目)

私が人生で最初にぶつかった難問は、                   美ということだったと言っても過言ではない。※1

※1)『金閣寺』(三島由紀夫、昭和35年、p28、新潮社)より引用

この日、レクチャーを頼まれていたのでその準備にあけくれる。ほぼそれに費やす。三島市ホストの山森さんが、今回の旅人に『なにかやってみませんか?』と提案し、それぞれ何かやることとなった。3人の旅人が3夜でそれぞれ何かをするのだが、わたしは「現代アートの楽しみ方」というテーマでトークをした。

「美」に留まらない現代アートの、さまざまな「モヤモヤ」や「わからなさ」に対する不安を、鑑賞という観点からひも解いていった。

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地域の方、文化施設の職員、三島のアーティストにもお越しいただき、大変充実した会となった。ホストの山森さんはじめ、ご参加いただいたみなさんの好奇心には大いに助けられた。

ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました・・・!

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ところで、わたしは最近、自分で開いた展覧会で、自分の生原稿が売れた。展示で招聘したアーティストは、私自身の満身創痍な展覧会開催への過程を『書くべし』と急かした。展覧会開催にあたる疲弊困憊の日々は、なぜかパフォーマティブな記録に置き換わり、よくわからないまま売り出された。実はその展覧会をやるにあたって、三万七千円を失った。まあ、ほとんど自分のうっかりである。損失をしたためた原稿用紙。売れた。生原稿。デジタルではない、その紙1枚の重み、損失の重みと絶望の軽さ、そしてそこに至る過程。こういった地続きの出来事が、つぎの一歩を踏ませるので、行く末というのは不思議なものだ。(ちなみに、『書くべし』と急かしたアーティストを通じて三島で謎の出会いがあるのだが、後日の記載としたい。)


夕飯は鍋

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柚子。三島産と、我が庭産の比較。


レクチャーの打ち上げとして、旅人の関根さんの同級生がバーテンをしているという、「vacanza 」へ。キンカンと山椒のお酒をいただく。口の中で痺れる山椒とキンカンの爽快感。一仕事終えた自分へ開放感をゴクリと。

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三島の全貌へ、まだまだ追いつかない。おしまい。

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