小山町での個展に向けて(1) ~作品が生まれる瞬間~
静岡県のマイクロ・アート・ワーケーション(MAW)2021にて小山町に滞在しました写真家の秋野です。(滞在時期:2022年3月21-27日)
静岡県小山町での、おやまアートビレッジ 秋野深写真展「Stream & Life」開催まで早いものでいよいよ10日ほど。
出品作品のプリントや額装を終えて、あとはそれ以外の展示物などの準備でラストスパート中。
写真展の準備段階で、プリンターから自分の作品が出力される場面なんてこれまで数えきれないほど経験してきているのに、小山町で展示する作品が出力されているのをじっと見ていて、「作品が生まれる瞬間」っていつなんだろうと、ふとそんなことが頭をよぎった。
特にそれを「いつ」と結論づけたいわけでも探し当てたいわけでもないけれど、改めて、どういう過程を経て作品は作品になるのだろう・・・と。
そんなことを考えているのは、プリントされる写真を見ていて「生まれる瞬間」をなんとなく感じて、「いよいよこの作品が小山町で展示される」という現物感みたいなものがそこにあったからなのは間違いない。
ただ、写真という表現手段では、「シャッターボタンが押される瞬間」も決定的なのは否定できない。そこでかなりのことが決まっているとも言えるので、作品が最初に形になる瞬間はそこだと言えなくもないだろう。
そんなことを考えていると、「でも」と思うことがあれこれ出てくる。
私自身、「結局、シャッターボタンを押す前にかなりのことは決まってしまっている気がするんですよね」みたいなことを何度も人に言ったことがある。
発想、関心、観察、気づき・・・といったものが、どんな写真を撮影することになるのかを大きく左右していて、そうしたものが自分の写真の幅を広げる可能性に繋がる一方で、同時にそれと気づかずに自分が撮る写真を制限してしまっている、ということは何かにつけて痛感させられてきた。
そもそも作品の生まれ方が、そこで思いのほか規定されてしまっているということでもある。
もう1つ、全く違うタイミングで、生まれる瞬間というのか、似たようなことを感じる場面がある。それは、展示会場で自分の作品と1対1で対峙する時。
会場に展示された形式で初めてゆっくりと作品を見るからか、その時には不思議なくらいに新鮮な「初めまして感」がある。自分で撮影して、何度も何度も見返したうえで展示を決めた作品なのに、初めて目の前に現れてきたようななんとも言えない感覚。
そして実際に、その時に初めて気づくこと思うことが山のようにある。
もちろんそこには、次の撮影への意欲も新しいアイディアも、これまでの反省も諸々のことが雑多に含まれている。
そうは言っても年柄年中展示をしているわけではないから、自分の作品と1対1で対峙する空間や時間は、そんなにたくさんいつでも体験できるわけではない。
なので、そこでの気づきや思いは自分のその後の活動にとってとても貴重な糧になっている。
小山町での展示がどんな空間に、どんな時間になるのか・・・。
楽しみにしながら、準備のラストスパートに戻ります。
おやまアートビレッジ 秋野深写真展「Stream & Life」
●会期:
11/23 (木・祝) - 12/3 (日) [11/27休館] 9:00-21:30 [最終日のみ18:00まで]
●写真家在廊:
11/23 (木・祝)10:00-17:00、12/2 (土)13:00-18:00、12/3(日)10:00-18:00
●ギャラリートーク:
12/3 ( 日 ) 14:00- 「私の表現の源」(事前予約不要/無料)
●会場:
静岡県小山町総合文化会館 展示室
MAW2021 小山町滞在期間中のnote
Jin Akino
https://www.jinakino.com