松本真結子「水とふた」(2日目)
からっぽにしてしまったこの身は、
空洞なだけあって、よく響く。
朝、戸を開けると、
足元からは、水の音。
耳を澄ませて、歩いてみると、
あっちからも、こっちからも。
聴こえる、
水の音。
あな、
もっと、近づいてみると、
見つけた!
稲取の、朝一番の、水の音。
水色の大きな地面のふた。
なんだろう。
歩いてみると、ちょっと弾力があって、
ぶおんぶおん、いってるみたい。
また見つけた、今度は、赤茶のふた。
お花で、オシャレかな。
この下からも、水の音がする。
大きな海に向かって、流れていくのだろう。
@滞在先の古民家「錆御納戸」の前
たくさんのお家の外壁には、水面所が設置されている。
釣れた魚をさばくために、外で使ってたんだって。
水とともにある街、稲取。
朝がはじまった。
【松本真結子の一言紹介】
作曲家。生演奏のために音楽作品に書いたり、電子音で遊んでみたり。稲取では、耳を澄ませながら散歩する「サウンド・ウォーキング」を満喫。路面観察一人あそびも得意。普段は、埼玉〜東京間をいったりきたりの音楽ライフ。(ホームページはこちらから→https://mayukomatsumoto.com)