青木拓磨「橙ソーダと労働のあとの月」(滞在5日目)
朝9時に山田湯。山田湯は浴槽に3人分のスペースしかなくて、この朝は談笑してる2人のおじいちゃん達の真ん中しか入れるスペース空いてなくて、会話を止めてしまいちょっと気まずかった。すみません、、
この日はタカカーンさんの2日目noteにあった「熱海ふれあい作業所」に連れてってもらうことになっております。
12時のバスに乗り、網代に。かつては東京・京都・大阪・網代とまで言われていたらしい、生粋の漁師町。
東海バスの運転手さんがめちゃ優しくて、降りるお客さんに「さっき席譲ってくれてありがとね」とか「あれおじいさん、いま幾ら入れた?そうだよね40円だよね、手帳持ってても40円じゃ乗れないよね、うんうん、はいそうね240円ね、ありがとねー」と、問題行動に対してもそこを責めない、でも何故駄目かの理由はしっかり示すという、福祉の理想形を期せずして見てしまう幸運。
網代の墓は海側を向いていた。さすが漁師町。みんな海の方から帰ってくるのだろう。
熱海ふれあい作業所は市内で5本の指に入る、工賃の高いすごい作業所。
B型作業所では全国でもトップレベルなのではないでしょうか。
トンネルとトンネルの間に挟まれ、一見プレハブなんだけど中に入るとシャレオツなリフォームがされていて超理想な仕事場、という感じがしました。海も一望でき、窓からは初島が見える絶好のロケーション。
「ここでイベントやりたいな、、」とタカカーン。
インスタをのぞくと美味しいお昼ごはんのメニューがずらり。昨日の日記に書いた宇田水産の社長さんも、よく刺身の差し入れしてくれるとのこと。
なにこれふつうに働きたいんですけど、、
まずはタカカーンさんのnoteにもあったビンごみの仕分け作業からスタート。
と書くと可愛いもんですが、実際は市内から集められた大量の瓶ゴミを、
白(透明)・黒・緑・ラムネ色?・茶色・リサイクル可能(ビールやUCCの瓶)・ゴミや破片、と仕分けていく作業で、割れてる瓶も当然混ざっておりかなり気を遣う作業。熱海のゴミ事情までもが垣間見える、とても貴重な仕事体験でした。
人気のお酒や商品などがわかったり(熱海プリンってこんなに消費されてんだ!とか)、封も開けてないまま捨てられてるのを見て、自分も気をつけよう、と実感したり。
「写真全然OKですよ」と言ってくれたふれあい作業所さんありがとうございます。みんな全然お喋りせず、淡々と仕事をこなしててかっこよかった。
休憩が1時間に1回あって、手作りの橙ソーダとおせんべいをみんなで食べるのですが、橙ソーダ異常に美味かった。みんなおかわりしてました。
作業中は夢中で写真撮るの忘れ、フォルダに残ってるのは片付けの写真ばっかだった。
あまりに橙ソーダ美味しいと僕らが騒ぐので、たくさん橙をお土産でいただく。「こら!橙泥棒!!」と親方チーフ的な強面職員さんに言われた時はドキッとしましたが、そのあと「お酒に入れて飲むんじゃないぞ」とニッと笑顔。バレてましたか。
その後は多賀にあるグループホームの見学兼ボランティアに。
アパート型のホームで、4名の入居者さんはそれぞれの部屋で生活、夕飯や入浴などはリビング的なお部屋で、というスタイルです。
グループホームにおいて入居者さん達が作業所から帰ってきて入浴&夕飯を済ませるあいだの一番忙しい時間帯が夕方です。そんな時間に見学を受け入れていただいて、世話人さんにはほんとに感謝。
「まあそんなに手伝うこともないんだけどね〜みんな手がかからないからさ」と笑う世話人さん。
つい最近入院してしまいホームに不在の利用者さん、その部屋の電動ベッドを動かす作業、そして部屋の掃除などを青木&タカカーンでやりました。
青木も昨年までグループホームで常勤職員として働いていて、まん防などで音楽と両立が難しくなったこともあり辞めてしまったんですが、久しぶりに働きたくなりました。
そう思えるのは「熱海ふれあい作業所」が大らかで余裕があり、職員さんも利用者さんも風通しがいい場所だったからだと思います。あと場所がいい。
グループホームもリフォームされていて綺麗だった。キッチンも使いやすそうだったな、、
帰り道、ラジオ録りました。ラムネ色と緑色の瓶仕分けが、ついぞ最後までわからなかった、という話などしている。ほんと先輩達すごいんですよまじで。
一旦福祉を退いて、しかも旅先の熱海で、あの頃よりも深く福祉について考えれるとは思わなかった。
滞在時期がタカカーンさんとかぶっていたおかげ。あ、あと海辺で労働して思ったけど、朝イチに山田湯入ったポカポカはしっかり夜まで効いてくれていた。
ほんとに幸運。全然ドタバタ旅行記にならない。
この旅はすべて偶然のラッキーでできている。