奥野晃士「朝散歩からの………」(1日目)
朝5時10分
昨日は1時くらいに寝たので体が重い。
ホテルの前で待ってると
室伏さんが現れた。
桜川沿いをぶらぶらしていると
三島にゆかりの作品を書いた文豪の文学碑の数々が。
中には小出正吾さんの文学碑もある。
作品はもちろん『ジンタの音』
5時20分に待ち合わせ場所の鳥居前に到着
すでに5−6人が集まっていた。
中には市会議員の古長谷先生のお姿も。
三島市で開発したオリジナルマスクを紹介してくれた。
わらわらと参集しやがて「おはよーございまーす!」と
ダイノジの大谷さんが若手芸人さんと登場。
やたら声がデカくパワーがあって、存在感抜群だったが、
しかし三島市民はいたって特別扱いする様子もなく、また大谷さんも芸能人面するわけでもなく、
顔見知りに気軽に挨拶する。
5時半には主催の國原さんも到着し、
郷土史家のような方が松島神社に参拝をする。
総勢30何人で神拝詞を上げながらお参りも素晴らしい経験。
そのまま三嶋大社にお参りをするのだが、
すでに6時から境内は灯がついており
神官の方が正装して祈りを捧げていたのを拝めたのはなんともはや尊い姿だった。
夜明け前の暗闇の境内に40人の参拝客
澄み切った空気は皮膚を射るような冷たさだったのもあいまって
なかなかフィクショナルな状況だったしそれだけでお値打ちだったが散歩は始まったばかりであった。
先ほど集合した松浦神社の鳥居から文学碑の通りを歩く頃、東の空が明るみ、
川面に反射して異次元の美しさをのぞかせた。
そんな中自らの足で街を闊歩する贅沢。
時折参加者同士会話をするが、
それもまた演劇的であった。
早朝に起きて集団で移動するだけで、自然が様々な特殊効果を我々に見せてくれる。
自然に勝る演出家はいないと思った。
2時間ばかり歩いた後、『風土』で朝食。
シンプルな和食だが、味もよく上品。
テーブルはダイノジの大谷さんと静岡住みます芸人のさこリッチさんに、
同じくMAWで三島にすでに5日滞在している驚異的にリアルなマスクを作る大川原さんの四人。
話の中で大谷さんは、芸人の枠に収まりきらない、まちづくりのプロのような発言を連発、
曰く「早朝の魅力あるイベントは遠方からの参加者を前乗りさせるので街にお金が落ちる」(事実私も前乗り組)とか「ラジオ体操のコンテンツ力をいかし、外国人と一緒にラジオ体操をやれないか」(事実、娘が通ってたスイスの日本人学校の運動会では、冒頭ラジオ体操からはじめ、スイス人パパも律儀に参加してる姿を見るのはかなり面白かった)とか、とにかくベンチャー企業の社長さんみたいに始終発想をめぐらし、あらゆることに興味を示しておられた。
その隣で存在感を消している大川原さんを話の合間に僭越ながら紹介したところ
「僕には触れないでください」という消極的な反応を示され、周りがまあまあそうおっしゃらずに見たいな空気になったところであのクオリティーの高いマスクを見せられると、
ご本人は別に狙ったわけでも無いだろうが、周囲からの注目度は大きくなり、私もマスクをお借りして隣の部屋まで出張してリアクションを楽しませていただいた。
その後、市議会議員の古長谷先生と防災について熱く語り、風土の2階にあるアヒル図書館を見学させていただいた。
ここはボックスを個人が管理する図書館でそれぞれのボックスにオーナーの趣向が見えて本棚を眺めているだけでも楽しくなる。
ちなみにこの場にいたよしえさんがオーナーの本棚には、以前東京で俳優のマネージャーをしていた頃、担当していた俳優が出演していたドラマの台本も置かれていた。
人に歴史あり、本当に面白い人たちが一同に会した朝散歩であった。
午後はゆうゆうホールの小ホールで12月10日本番の舞台の劇場稽古。
三島ではちょいと有名人の踊る行政書士、中村聡介さんが主催するLead-wiz artのダンサブルな舞台で、地球の危機を救うリスの冒険物語。
私も語りなどで出演させていただく。
止め通しだったが、なんとか最後まで当たれたという感じだった。
そして夜はこれまたなかなか刺激的な時間。
三嶋大社の鳥居のすぐ近く、「親になる」を支える コソダテの学校3919での
小中学生に対するワークショップの開催。
長泉のミュージカル劇団に所属する10人くらいが対象で
みんな活発でなかなか面白い子が集まっていた。
年長者が年下をフォローし、
後輩が生き生きすることを喜ぶ風土ができている。
そんな子供たちの様子を、オンラインで配信して一階でママたちが垣間見るという先進性も兼ね備えた場であった。
とにかく居心地のいい空間で、オーナーの野田さんの人柄とこだわりあふれた場所であった。
原始以来、女は集団を作り、子育ても互助の精神で助け合い、ノウハウを伝えてきたが、
核家族化がすすむ現代において、こういう場があることの貴重さは子育てを経験したものならよくわかる。
こうして長い1日は終わった。