戸塚愛美「わたしは月には行かないだろう」(滞在まとめ)
まず、このまとめを1000文字書いたとして、誰が読むんだろう?という雑念から、なにを書いていいのかまったくわからず、小さく、お世話になった方々へ、簡単な手紙にしようと思う。
詳しく記さないところが、極めて内輪のノリだが、気にしない。そうすると、今度は1000文字じゃ足りない気がしてきた。
ホストの山森さんへ:
『ホストが山森さんでよかったです。』と記されていたのは、先に旅だった同じく旅人の関根愛さんからの置き手紙によるものだが、およそ同じことを考えています。
山森さんの仕事の日以外は、だいたい一緒に鍋を囲みましたね。会いすぎてほとんど最後、話すことがなくなりかけましたね、という嘘。山森さんの青春時代の話を聞けたのが、すっかり、ほとんど、だいたい、三島滞在のハイライト。
無計画かつ引きこもりがちなわたしに、いろいろと理由をつけて、街に連れ出してくださってありがとうございました。
すっかりお世話になったあゆみさんへ:
何かと忙しなく動いているのは嫌いじゃないのですが、とはいうもののわたしは爪を切る時間さえもなかったと思うと、どういう毎日やねん、と思わずにはいられません。
爪切りを貸してくれて、ありがとう。早起きも一緒にしてくれてありがとう。そして遅起きのわたしをそのままにしてくれて、ありがとう。なんたる生活や。
なんだかんだお世話になった高橋さんへ:
しばし、さまざまに、お世話になりました。館長の懐、ありがたく・・・。夏は山椒と桃の飲み物が、からだや、諸々に、いいらしいです。そしてご助言をありがたく無視しました。
ところどころお世話になったHさんへ:
謎の建物を見せてくださってありがとうございました。ふとHさんを思い出すと、例の建物のようなところを思い出しますね。一般的に旅は修行と捉えられる側面もあるけれども、今回の滞在でわたしが「鍛えられた」と思うのはHさんのおかげです。
三島で偶然お会いしたリオくんへ:
放浪の末に、きちんと家に帰り、あなたのお父さんの詩集を、本棚から見つけました。不思議なご縁でお会いすることができ、とても誇らしい気持ちです。
I was very grateful for this opportunity.
We should meet again!
三島の夜の温情・眞野さんへ:
山森さんの次にお世話になったと言っても過言ではありません。大変こころに響くお話を聞かせていただき、さらに精進したいと、思ったり、思わなかったり、、、、。
今は亡き三島の詩人・大岡信(さん)へ:
もちろんお会いすることはないのですが、三島市中央図書館にも、大岡信の詩集がたくさんがありました。
さすがにバタバタしていてゆっくり読みふける、というわけにもいかなかったのですが、とはいうものの、湧水の池のすぐそばに図書館があり、そしてそこに大岡信の詩集がたくさん、と思うと、けっこう豊かだったなあ、と。あらためて。
ちなみに『わたしは月にはいかないだろう』所収「透視図法ー夏のための(1977、山田書店)」が、いまの気分です。
敬称をつけるのも、ここでお名前を引き出すのも忍びないほどなのですが、まあ、忍びないというほうが忍びないので、記させていただいた次第です。まあ、うちの本棚にも、あるんだけれども。
旅人のめぐみさんへ:
旅人の旅人の巡礼?滞在の最後のほうは、めぐみさんの残り香の巡礼のような日々でした。わたしはうっかりしていました。だいたいうっかりしているのだけれども、話し忘れたことがあって、次は、わたしから話題提供しようと思います。
三島の富士山へ:
でかかった。なんか、いいな、と思った。またなにかやろうと思った。
これからもお世話になるであろう・お世話になったみなさまへ:
寒い日が続きますね。どうぞおからだ大切に。またお会いしましょう。おげんきで。
おしまい。
※滞在中のあらゆる出来事はnoteにつぶさに記録していない。必要であれば聞いてほしい。
※noteタイトルは、文中にもある、大岡信「わたしは月には行かないだろう(所収「透視図法ー夏のための」1977、山田書店)」から拝借した。