天竜四季の森 「旅人との、はじまり」
2月の粉雪舞う頃、舞踏家・振付家・そして映像作家でもある吉崎裕哉さんが、ここ 天竜区龍山町にやってきた。はじめての「旅人」。
これまで知人で音楽家や画家など、芸術家が訪れ作品を作る機会はありましたが、今回は 「はじめまして」の旅人。とても特別な瞬間だった。
そして、3月に入り 暖かくなったころ、ダンサーの市川まやさん、ユニークな楽器を制作される長谷部勇人さんも来龍。
今回 マイクロアートワーケーションに参加するに至った経緯として、
過疎が進む龍山で、芸術家の目線で地域の昔も今も、資産を見て頂き、この先に残る新しい何かが創造されたら、そして、それを今の町の人々に見てもらえたら、という想いがあった。
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天竜区龍山町は、旧磐田郡龍山村(2005年に閉村)。当時の人口は1000人、 静岡県で一番小さな村であり、そして最後の村だった。かつて1950年代に峰之沢鉱山により栄え、そして閉鎖から50年が経った今、人口は500人・当時の1/20以下となっている。
現在町で見かける20代と言えば、今回MAWで地域案内や旅人さん達のコーディネートをしてくれている浜松里山いきいき応援隊(通称山いき隊)の長谷山さん、鈴木千陽さん。天竜区の中で、唯一 学校がなくなった龍山では、子育て世代は学校がある場所に引っ越すしかなく、また同じ理由で移住する方も限られる。
それでも、この土地の先代より受け継ぎ、紡がれてきた文化や歴史を何かの形で繋いで未来に残したいと思い、天竜四季の森では「風景・文化・芸術」に焦点を当て活動を行ってきた。
MAWは、その中で 芸術家さんたちとの出会いと時間を、この先につなげたいと思い参加したいと思った。
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これまでの訪れてくれた旅人について:
当初から伝統文化に焦点を当て、龍山の白倉地区にある白倉囃子や、民話に興味を持って何かを生み出そうとしてくれていた吉崎さん。コロナ禍や地域の事情で断念せざるおえない活動もありながら、時間をフルに使ってこの山を体感して頂いた。
ダンスや健康体操等を通して町の方々とのふれ合いを、と言ってくれていた市川まやさん。コロナ禍により全く違った活動をされましたが、赤い装束に身を包んだまやさんが龍山のいろんな場所で撮影をされ、町が大いに賑わった!
そして、龍山の木でギターを制作して下さる、長谷部勇人さん。
「楽器の材料になる木を見つける」ということでしたが、実際にチェーンソーで木を切ってみたり、短い期間で一緒にホストの私たちも中身の濃い体験をさせて頂いた。
静岡県全域で実施するこのマイクロアートワーケーションの事業として町に芸術家が訪れ、地域の方々にお話を聞いたり、体験していただいたり。
次回訪れてくれるお話をしてくれてとても嬉しかったり。
この出会いが、「はじまり」であり、町の人達との出会いが 皆さんの心に残り 多忙な芸術活動の中で ふと 思い出せる場所になれたらと思う。
そして、明日から最後の旅人さん来龍。
このマイクロアートワーケーションが終ってしまう、少し淋しい気持ちだが、この地域と芸術家との出会いに感謝し お迎えしたい。
天竜四季の森