コーヒーカップと目があった
今日は素敵な出逢いがあった。
雪が降りしきる中、素敵な喫茶店との思いもよらぬ出逢い。
その喫茶店との出逢いは仕事先のお客さんから指定された打ち合わせ場所だった。
お客さんの事務所から徒歩2分。
そこそこの年季が伺える古き良き喫茶店の看板と外観。
ドアの間から覗いた店内にはお客さんは誰も居なさそう。
大丈夫かな、とちょっと不安を頂きつつドアを開ける。
ドアを開けると優しそうな奥さんが出迎えてくれた。
そしてカウンター席の奥には壁一面に並んだ陶磁器。
きらきらと上品に並ぶ陶磁器たちは私の目と心を一瞬で奪っていった。
なんと素敵なお店か。
外観じゃわからないものだなぁ、と改めて思う。
先方の担当者さんも来店し、コーヒーを注文してくれた。
すると、奥さんが「カップはどれにしましょうか?」と。
も、もしや…!!!!
この陶磁器たちから選べるのか!!!
入れ物になど興味のない先方さんは「量が多いやつならなんでもいいや」と。
いかにも目を輝かせている私に快く選んでおいでと言ってくれた。
打ち合わせそっちのけで席を立つ。
許しをもらったとはいえさすがに仕事中なので、じっくりと見ることはできなかった。
けれど、この子達が大切にされていることよくわかる。
直感で選ぶ。
1つ目は水色の子、2つ目は赤色の子、3つ目は青と金のちょっと大きめの子。
水色と赤色の子はどうやら同じブランドのもののようだった。
自分の好きがちゃんと見極められている…!
ちょっと感動。
奥さんが選んだ時にブランド名も教えてくれたのだけど、カタカナの名前を1度だけ聞いて記憶するのは難易度が高かった。
とりあえず全部イギリス製だったことは覚えている。
どれもこれも素敵な子達ばかり。
仕事中でなければもっとじっくりゆっくり眺めるのに。
プライベートでまた来ようと心に決めた。
自分で選んだティーカップに入ったコーヒーは一段と美味しそうで、トクベツ感に溢れていた。
ちょっと華奢な持ち手も、唇に当たる陶磁器の上品な薄さも、そして挽きたての苦みがないコーヒーもすべてがトクベツ。
仕事の話は5分だけして、あとは雑談というか世間話だったからトクベツ感にちょっと浸った。
あぁ、なんて贅沢な木曜日の夕方か。
奥さんもとても気さくな方で、お茶菓子を出してくれたり、最後お店を出る時も丁寧に目をあわせてありがとうございましたと見送ってくれた。
最後の最後にこんな素敵な喫茶店を教えてくれた先方さんに両手を合わせて感謝するばかりだ。
ティーカップを選ぶという体験。
喫茶店ならではのちょっと薄暗くて落ち着く空間。
オシャレな陶磁器たちとマッチするクラシック音楽。
優しくて気さくな店主。
本当に素敵な出逢いだった。
思い出すだけで心安らぐ喫茶店、銭洲亭。
そういえばナポリタンもおいしいよって言ってたな。
今度はぜひナポリタンも一緒に頂こう。