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田中一村展レビュー!絵の魅力と混雑回避のコツ!アダン・白い花・アカショウビンも!
田中一村が大好きです!
1995年頃、日曜美術館でその名を知り
東京の展覧会はもちろん
奄美まで追っかけて絵を見に行ったこともあります。
その一村が、また東京にやってくる!
2024年9/19〜12/1まで
東京都美術館で開催された
「田中一村展〜奄美の光 魂の絵画〜」を観てきました。
展示内容が、前期と後期で6点ほど違うということだったので
どっちも見たい!と思って2回足を運びました。
田中一村の魅力や混雑回避のコツ、感想をまとめました!
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田中一村とはどういう画家なのか?
田中一村は、栃木県出身で、
幼少期は神童と言われるほどの
画才の持ち主だったそうです。
13歳にして南画を描き、
16歳の時には全国美術家名鑑にその名が載ったほどです。
(当時田中米邨と名乗ってました)
南画とは中国絵画に影響を受けて江戸時代に流行した絵画様式です。
主に山水や花鳥を描く絵画で、
一村の作品には、自然の景色や植物、鳥類を描いたものが
とても多いです。
東京美術学校(現在の東京藝術大学)日本画科に入学しますが
2ヶ月で退学します。
同期には、東山魁夷、加藤栄三など錚々たるメンバーがいたそうです。
その後千葉に移住し、農業をしながら絵を描き続けます。
この時に青龍展に「白い花」が入選するものの、
その後は落選が続き、とうとう中央画壇から身を引いてしまいます。
そして、50歳にして奄美大島に移住し、
そこで紬織の染色工として働きながら
絵の制作に打ち込みました。
奄美の自然に惚れ込み、
島の植物や鳥たちを斬新な切り口から描いた作品は
とても印象深いものが多いです。
私も一村の作品に一目惚れして、
展覧会を見に行ったり、
奄美大島にある田中一村ゆかりの場所や美術館を
訪れたりしてきました。
生前、姉などわずかな支援者がいたものの
評価はほとんどされることがなく、
孤高の画家として、
絵を描くことだけに命を注いだ一村。
観るたびに心が震える大好きな画家です。
![](https://assets.st-note.com/img/1732103579-UKB7gf4NuzLAYmPoJrwMnCGD.jpg?width=1200)
田中一村展、前期と後期で入れ替わった作品は?
田中一村展、
前期は9月19日〜10月24日
後期は10月25日〜12月1日です。
私が行ったのは、
10月24日と11月20日です。
なんと10月25日に入場10万人を突破したとのことだったので、
私は9万9千人台だったんじゃないかしら、、、
前後期では6点の作品が入れ替えになるということでした。
前期のみの作品は、
「紅葉にるりかけす/雀」
「蓮図 擬八大山人筆意」
「山水図 仿石濤」
「桐花に尾長」
「菊花図 (右隻)」
「白い花」
後期のみの作品は、
「柳にかわせみ」
「彼岸花」
「山水図 撫八大山人」
「写生図(尾長)」
「粟」
「梨花に高麗鶯」
「菊花図 (左隻)」
でも、「白い花」は後期でも見られたし、
「尾長」もあったような気がします。
違いがわからなかったけど、楽しめたからよしなのです
![](https://assets.st-note.com/img/1732103748-ZbrAyUDVFoTaHEscntPGx29I.jpg?width=1200)
田中一村展、混雑を回避して絵を満喫するコツは?
田中一村は、それほどメジャーな画家とは言い難いです。
それでも、同じ上野で開催中の
「国立西洋美術館」のモネ展の行列には及ばないものの
チケット当日売り場は2〜30分待ちの表示があったり
館内の展示作品の前には人だかりができていることもありました。
そんな混雑状況を回避して絵を満喫する
私流のコツがあります。
〜そう、たいしたものではないのであまり期待しないでね(笑)
コツ①前売り券を買っておく
前売り券は、展覧会開催前ですと
割安に購入できます。
が、当日券でもオンラインチケットを購入すれば
チケット売り場に並ばずに、さっさと入場できます。
当日券買いの方が行列を作っているので
チケットは先に買っておくといいですよ。
コツ②平日朝イチで入館する
休日は予約が必要になります。
予約したからといってスイスイ観られるとは限りません。
だから私は平日朝イチに行きます。
9時半が開館なので、10時前には入った方がいいです。
閉館ギリギリを狙う方もいますが、
時間が気になるのでやっぱり朝イチがおすすめです。
コツ③2階(最後の展示室)から観る
入館すると、あまりの人の多さにクラクラします。
丁寧に、表示を読んだり、じっくりと絵を観たり
そういう方がたくさんいらっしゃるのです。
だから私は、さーっと展示作品を見ながら、
初めに最後の部屋まで行ってしまいます。
大体そこに「今回の目玉」が展示されていることが多いんです。
まあ、これはどの美術館に行っても似たようなものです。
私は、一村の作品、どれも好きですが、
やはり奄美の風景を描いた作品に惹かれるのです。
だから、それをじっくりと味わいたい。
多くの方が、初めの段階で止まっている間に
まだ人が少ない展示室でゆっくり絵を観たいのです。
それらを堪能してから、また初めに戻って、
特に観たい作品を中心に観ていきます。
そうすると、かなりの大満足を得ることができます。
コツ④複数回行く
今回、私は2回いきました。
そうすると、展示内容やお客様も含めて館内の様子がわかるので
2回目はよりスムーズに絵を満喫できました。
とは言っても、複数回観るのは稀です。
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田中一村展の感想〜一村の全てがわかる!〜
「田中一村展〜奄美の光 魂の絵画〜」は
絵画作品だけではなく、
スケッチや工芸品、写真なども含めた
最大規模の回顧展です。
確かに、今まで観てきた展覧会の中でも
作品数は多いし、代表作もしっかり観られます。
この田中一村展の感想を以下にまとめます。
田中一村は幼い頃から、神童と言われ
その才能に注目されていました。
そのころの作品がど〜んとLB階に展示されています。
奄美の作品を知っている人には
「これも一村?」と言いたくなるような作品。
それらは南画の様式で描かれ、
ダイナミックな岩山や赤が印象的な植物が
目を引くものでした。
この時代の作品を見ることはあまりないので
これだけの数を見られるのはすごいと思いました。
その後、田中一村としての画業をスタートさせるのですが、
それらは1階の展示室で見ることができます。
千葉での生活の中で書かれた作品は、
農家の生活や農村の景色を映し出した
素朴で美しいものでした。
私は千葉寺の風景を季節ごとに描いた一連の作品が気に入りました。
おそらく同じ場所なのですが、
季節が違うと、描かれる素材や色が変わりとても興味深かったです。
この頃から、一村が日本画の様式を取り入れ描いた
花鳥風月の作品群は、繊細な筆使いと美しい色使いが
とても魅力的なんです。
この頃の作品では、
青龍展に入選した「白い花」が有名です。
私は、この絵が大好き!
緑色の葉と白い花のコントラスト、
左下にこっそり佇むトラツグミ
いつ見ても心が晴れやかになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1732103850-Bgi3KwFl4VPepqD1MUSNts8y.jpg?width=1200)
また、草木と鳥をセットに描いた作品や
「秋色」シリーズも好きな作品です。
そして、四国・九州の旅で見た景色を
切り取ったような作品の数々。
小品と言えるものが多いのですが、
これらも構図や色使いが魅力的で
目を惹く作品です。
そうして、2階に上がるとそこは南の島!
奄美大島に移住した一村が
描いた作品が展示されています。
私が一番に行ったのがこの展示室でした。
支援者の肖像や写真、手紙なども展示されていて、
少ないながら一村が心を許せた人たちとの交流に
思いを馳せました。
奄美の自然、特に草花や鳥たちを描いた作品は
言わずもがなですがやはり素晴らしい。
昭和34年に一村が知人に宛てた手紙に
「私の絵かきとしての生涯の最後を飾る絵をかくために
きていることが、はっきりとしました。」
と言う一文があります。
奄美の自然に魅せられた一村は、
絵を描くことだけにその命を捧げ
質素な生活の中で絵を描き続けたそうです。
そして、島内の人が見向きもしなかった草花にも
その美しさを見出し、絵の中に蘇らせました。
南国の鮮やかな色彩、
夕暮れの水墨画のような濃淡、
どの絵を観ても奄美の自然が生き生きと描かれていました。
この中で私が最も好きだと思ったのが
「アダンの海辺」です。
夕暮れの海を背景に、アダンの木が描かれた作品です。
鮮やかな景色の作品も好きですが、
この絵が内包する自然への畏敬の気持ちが
絵の内側から滲み出てくるような気がするのです。
この絵の前に立って
静謐な色彩や弱い光、白く立った波を見ていると
不思議に心が落ち着きました。
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アカショウビンや赤髭といった小鳥が描かれた作品も好きです。
アカショウビンは、太陽の色をしたスマートな鳥です。
そのアカショウビンが
太くて長いクチバシを自慢げに見せている姿や
赤髭が空に向かって口を開いている姿が
微笑ましくて大好きなのです。
本当に大好きな絵を、間近にじっくりと観ることができ
大満足の鑑賞でした。
どうやら「田中一村展」は、
他地域への巡回はないようです。
今後、更なる混雑も予想されますが、
ぜひ興味を持った方は「田中一村展」に
足を運んでみてくださいね。
お読みくださり、ありがとうございました。