映画『アディクトを待ちながら』を観ました
めちゃくちゃ久々に映画を観ました。
依存症者の回復を描いた映画です。日本でこういう映画なくないです?
ネットとかワイドショーとか、失敗した人を叩きのめすのはお金になるから盛んですけど、当事者のその後の、本当のところを扱ってくれるものがないので、とても待ち望んでいました。しかもお堅い書物とか、密着ドキュメンタリーとかでなく、映画!
平日休みに行こうと思ってましたが、舞台挨拶があるということで、ぎりぎりチケットを取って行ってきました。東京では連日満席だったそう。
平日休みにもリピートして、これを書いています。
そもそものきっかけは、YouTubeのおすすめに出てきた「たかりこチャンネル」です。チャンネル名の頭が「高知東生とメンタルケアについて語る」とあったので、心理学的なチャンネルかな?と思って再生したのがきっかけです。子供の頃から今もテレビをほとんど見ないので、高知東生さんが有名な俳優さんであることも、薬物依存だったことも全部チャンネルで知りました。番組の中でゲストのみなさん(依存症の当事者だったりご家族だったり)が赤裸々に明るく楽しく自分のことを語っている姿に、即チャンネル登録しました。誰も彼らを叩かない。ちゃんと話をきいている。こんないい番組ないぞ。
そんななので、普段テレビを見ていないので、映画に出演されている高知東生さん、橋爪遼さんが演技しているのを見たことがないし、塚本堅一さんがアナウンサーしてるところも知らないし、唯一、杉田あきひろお兄さんはずいぶん前に1回だけライブに行った、程度なので、それも含めて映画が楽しみでした。
あと、この映画の後半が即興劇だというので、即興劇ってどんなのだろう、というのも興味がありました。台本のないお芝居? どうやって進むんだろう。
映画、めちゃくちゃよかったです。泣くだろうなと思って大きめのタオルハンカチ持って行ったのですが、ぐっしゃぐしゃでした。最初から最後まで。
舞台挨拶の後で監督とお話できる機会があったので、これは感想を伝えねばと思ったのですが、嗚咽で言葉にならないんですよ。恥ずかしかった…。
たかりこチャンネルでよく出てくる「自助グループ」や「当事者仲間」、「家族会」とか、こういう感じなのか~というのも映画の中で知れてよかったです。あんなになんでも話せる関係は少しうらやましくも思えます。
映画では本当にまんべんなくいろいろな人が出てくる、当事者、家族、支援者、傷つけられた人、世間の代表みたいな人、否定的な人、応援する人、人の不幸でごはん食べてるメディア、本当のことを伝えようとするメディア。YouTuberも今っぽい。登場人物はさほど多くないはずなのに、こんなに網羅されているのがすごい、さらに後半これで即興劇で、役になりきった役者さんにの演技が本当に自然で驚きます。台本ないなんて嘘でしょ…。
そんなふうに、さまざまな立場の人が出てくる中で、やっぱり応援する人、その人を肯定してくれる人の想いがあたたかいし、ありがたいなと思ってしまいます。
世間がみんなこういう人たちばかりだったらいいのに。優しい世界になってほしい。
あとはまあ、我が家も父のギャンブルで一家バラバラになったので、「今から思えばあれは病気だったんだ」という気持ちで、映画を見ていると、回復に向かう当事者側の言葉の一つ一つに「父もギャンブルやってるときとか一家離散したあとはこういう気持ちだったのかも」という気持ちになりました。家族の中では唯一私と連絡はとれているので、時々、どきどきしながら「まだギャンブルやってる?」と聞くと、なかなかはっきりとは「やめた」とは言ってくれないけれど、地元の親族や同級生と会ったり日々忙しそうにしているので、これが「回復し続ける」ということなのかな~と映画を見ながらしんみりしてしまいました。
母も私の兄弟も、いまだに父を良くは思ってはおらず、父がしたことを思えば当然か、とも思うし、私にどこか抜けている記憶があるのかもしれませんが、なんとなく、いや、でも父もダメなところばかりでもないし、家庭内にも問題があったのだろうし…と私は思ってしまって、父に対するあの頃の対応も、今の対応も、これが正しいのかどうかがわからない。とはいえ、これが「あの頃」の状態なら家族会にも行ってみたのかもしれないけれど、今特に問題が起きてるわけでもないので、どこで勉強したらよいのやら…と思っているところにこの映画があって、なんだかほっとした気持ちにもなりました。
それと、パンフレットがとてもよいので映画行ったらぜひ購入してほしいです。対談、インタビュー、用語集、台本!
特に、私は顔と名前をなかなか覚えられないので、相関図と台本あってよかったです。あ、あの人はこういう人だったのか!この人とこの人ってこういうつながりだったのね!など。復習してから2回目挑めました。助かりました~。
ただ、初回観たときはどうしてもあきひろお兄さんの劇中歌がわからなくて、歌あった?となってたのですが、そこはあきひろお兄さんが舞台挨拶で明かしてくださってた。バーでかかってた音楽だそうです。もっと聴かせて!
というわけで、CD買いました。
劇場の物販にあってもいいのよ~!
映画は、スピンオフでいいので、ぜひコンサートの後日談か、「大和遼」側の話が見たいです。だってみんなコンサートできるかどうか、あんなになってたのにあの登場ですよ。なんて信頼関係の出来上がってる仲間たちなの!と思ったし、みんな待ちながらあんなになってたんだから、その時のことを笑って言い合ってほしい。それが見たい。あと、なかなか登場しなかった大和遼の、その時の話とか。大和遼と彼がどんな会話してたのか、知りたいです。いやこれ本にしましょうよ~!
そんなわけで、久々に映画を見た、という話でした。
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