発達障害児の親~発達垢~

言う(書く)必要、ある?

「○歳児のママです!」「○人の子どものパパです」というように、自分が親であることが書かれているプロフィールをSNSではよく見かけます。
いわゆる、ママ垢、パパ垢、育児垢というものですね。
それと同様に、「夫と息子はASD」「ADHD児の父です」というような、障害児を育てているということをプロフィールに書いている『発達垢』もたくさん見かけるようになりました。
ところが、『障害』というワードへのタブー感も相成ってか「子どもが発達障害とか、わざわざ言う必要ある?」と言われたり、アウティングの問題で「子どもが障害児だということを親が勝手に全世界に発信するのは子どもの人権侵害だ!」と、時折炎上することもあります。
発達障害児を育てるにあたり公的なものや身近な親同士の交流から得られる育児情報が絶望的に少ないという理由から、『発達垢』が情報収集や仲間を見つけるために子どもの障害の種類や状態等を詳細に綴る傾向にあるのだということは、まずみなさんに知っておいていただきたいところです。

子どもの情報、どこまで出す?

とはいえ、公開アカウントで子どもの詳細を出しすぎるのも考えものです。以前プロスポーツ選手がお子さんの発達検査の結果をSNSで公開した際、『名前と顔が知れている選手の子』ということで個人特定が容易になるうえお子さん本人の顔丸出し写真をアップしていた背景もあり、
●子どもが成長してから他人には障害のことを知られたくないと思うかもしれないのに、親が全世界にバラしてしまった
●子の発達検査の数値(個人情報)を本人の同意なく公開するな。プライバシーの侵害だ
…等の批判の声で、炎上していました。選手自身には様々な持論があり、今もお子さんの発達検査結果はSNS上に残っています。
普段の会話やSNSで「ねぇ、この前人間ドック行ったんだけど、40代で総コレステロール値250ってヤバいの?」と聞くのと同じ感覚で、「子の発達検査の結果出たけど、ワーキングメモリー90ってどういうこと?調べてもよくわからない…誰か教えて!」というヘルプの声は、わからなくもないです。ただ、本人が自分の検査結果を自分の意思で公開・質問するのと、子どもの検査結果を子どもの意思に関係なく第三者(親)が公開・質問するのは違うので、このあたりの情報の出し方は、慎重にならないといけませんね。
(私も気をつけないと…!)
特性の傾向が共通している人を探したい場合は、凸凸凹凹凹のように、得意な分野・苦手な分野を表しているサインを探すと良いかもしれません。

うまく、繋がりたい

発達障害児と言っても、障害の種類や特性の傾向や度合いによって様々です。同じ自閉スペクトラム症(ASD)でも軽度と重度では全く違いますし、同じ度合いでも、こだわり発動の対象物が異なると日常生活を送る難易度も全く変わってきます。そのため、療育機関や支援級・支援学校等で他の発達障害児やその保護者と出会うことがあっても、「うちとは違うからあまり情報交換や相談はできそうにないな…」ということが現実では多くなりがちですよね。そうなるとやはり、「自分の子と似た傾向のある子について投稿している人をSNSで探して繋がろう」となるのも頷けます。
発達障害児育児の苦労を「あるあるだよね」と泣き笑いし合ったり、疲労を労わり合ったり、上手くいった育児方法を参考にしてみたり。時には公的機関と福祉サービスについてかけあうテクニックを先輩ママから伝授してもらうようなこともあるでしょう。
SNS・インターネットを安全に使い、うまく発達垢さん同士が繋がっていけることを願います。




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