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僕とAFRICAEMOというバンドの話
2007年に結成、2008年にはフジロックの「ROOKIE A GO-GO」にも出演を果たしたAFRICAEMOは、残響レコードから2枚のミニアルバムをリリースした後に2013年に活動休止に入る。
AFRICAEMOに僕が出会ったのは、残響レコードが2008年のフジロックの約1ヶ月後にリリースしたコンピレーションアルバム「残響record Compilation」に収録されている楽曲『Bird』を聴いたことに始まる。このアルバムは9mm Parabellum BulletやPeople In The Box, cinema staffやte'など当時の新進気鋭のバンド達が名を連ねているのに加え、CD2枚組で1500円となれば買うしかなかった。そんなアルバムの中で、自分にとって一際異彩を放ち耳に飛び込んできたのがAFRICAEMOだった。
コンピレーションアルバムに収録されていた『Bird』は、後に残響レコードからリリースされる彼らのミニアルバムに収録されている同曲とはサビが追加されていたりアレンジが異なったりするが、全体を通してのハイトーンボイスによるラップは変わらない。ギター2本にベースにドラムに加えてジャンベもいるが、音を敷き詰めず抜く代わりにラップが隙間を埋めていくような、息つく暇もないこの楽曲が一聴した時点で忘れられなくなり、リピートの果てに歌詞を書き起こすまでしていた。
このバンドの曲がもっと聴きたいと調べてみると、その時点で1枚だけ自主制作のdemoを出しており、すぐさま探しに行った。向かった先は、今は無き稲田堤のdisk union。駅からしばらく歩いた先のスーパーの手前、コンクリート造りの建物の脇の階段を登った2階にある店舗で手に入れることに成功するのである。ちなみにこの店舗、Google Mapのストリートビューに2009年の様子が残っており見ることができる。
そこで手にしたdemoのタイトルは『At Lunch Time』。後にミニアルバムに収録される『Bird』,『After The Millennium』を含む4曲入りのdemoアルバムだった。その後少し間をおいて、2010年5月に満を持して残響レコードからミニアルバム『squatter』をリリース。demoからさらにバンドサウンドとして進化しながら、ダンスにエレクトロにラップにロックにとジャンルをごちゃ混ぜにしてAFRICAEMOというパッケージでまとめ上げたアルバムはずっと聴いていられた。眼光鋭く自己の世界観を追求していたイメージのある他の残響レコードの面々に比べ、ダンサンブルなのも相まってどこか飄々と我が道をいくような彼らの姿勢にも惹かれるものがあった。
2011年7月には続いて2枚目のミニアルバム『Power Of The City』をリリース。タイトルの通り都市的なエレクトロ色が強まりながらも、demo時代の曲が入っていたり彼らの根底は何も変わらないアルバムに感じた。その他コンピレーションアルバムに参加してカバー曲や新曲を世に放つも、2013年には「ラップしたいことがなくなった」として休肝日(活動休止)に入ったまま今に至る。(メンバーはDJをしたりと音楽活動は行なっている様だ。)
結局ライブを見にいくこともなく活動休止となってしまったが、サブスクでの配信も知らないうちに始まっていて、定期的に聴きたくなっては聴いている。その後もいろんなバンドに出会って聴いていたが、彼らほど個性的で踊れてクセになるバンドはなかなかいないと思う。10代で出会って好きになった音楽は一生聴き続けるといった話を聴いたことがあるが、間違いなく彼らはそのうちの1組である。いつかまたフラッと現れて知らないうちにミニアルバムでも出していてほしい。