「あいにくあんたのためじゃない」を論難する

1 序 論:忘却の彼方へと廃棄されるべき極めて劣等かつ有害かつ邪悪な作品
 一時期この作品はKindle Unlimitedの対象となっていた。アカウントを共有する妻が利用したので読んでみたところ、余りの醜悪さに憤り、豚骨ラーメンか無農薬米しか喉を通らなくなった。
 以下、この作品が何故劣等であるか、何故有害であるか、何故邪悪であるかを解説する。

2 本 論
2-1 何故劣等なのか
 事実認識の誤りと物語としての欠陥を示し、この作品がなぜ極めて拙劣であるかを証明する。
2-1-1 事実認識の誤り
 ラーメン及び商売について深刻な誤解がみられるため詳述する。
2-1-1-1 ラーメンの認識についての誤り
 ラーメンの店舗及び歴史について、極めて非常識なことが述べられているため指摘する。
2-1-1-1-1 ラーメン店舗の認識についての誤り
 三軒茶屋駅から徒歩15分の立地でベビーベッド、ジェンダーフリートイレ等の設備を取り入れた上に、専用駐車場及び英語対応スタッフを用意して、若者が気軽に食べられる値段で提供できるわけがない。
2-1-1-1-2 ラーメンの歴史についての誤り
 ラーメンをとりまく環境がホモソーシャル的であるとフェミニズムの観点から非難されているが、元来ラーメンは松本零士の漫画における描写やインスタント食品の代表格であった歴史を振り返っても分かる通り、貧乏学生や肉体労働者が手短に腹を満たすという、上品とは言いかねる宿命を背負っている。「今はそうではない」というなら、パンケーキ屋や子ども食堂における性差別をまず非難していただきたい。
2-1-1-2 商売についての誤り
 この作品ではラーメン屋と執筆業の二つの商売が取り上げられているが、いずれも商売の根幹について学生のバイト以下の認識であるか、あるいはわざと子供じみたことを語っているため、詳述する。
2-1-1-2-1 接客業についての誤り
 店員を見ただけで『性的まなざし』と一方的な被害妄想に陥り、包丁で音を立て脅している時点で、この店長は接客業失格と言わざるを得ない。どれだけ恨みのある相手であれ金を出している以上は客として接するのがプロだ。
 また胸が大きいのを晒されたのを苦痛として退職した女性も登場するが、それが売り上げの向上につながるのなら良しとすべきだろう。どうしても嫌だというなら仕方ないが、店長の立場に立てば、店に役立つ資産を有しているのにそれを敢えて活用しようとしない、と見える。それが共に働く仲間の態度だろうか。
2-1-1-2-2 執筆業についての誤り
 スケープゴート役に設定されている評論家は「おふくろ」「ノスタルジー」「部活」「愛情」「癒し」の5つの語彙でしかラーメンを語れないとされているが、そんなレベルの書き手が著作を出版したりテレビに呼ばれるような甘い業界ではないことは、作者自身プロの作家であれば認識しているはずだ。この時点でこの作品は現実を見据えたものではなく只のポルノであるか、あるいは歪み切ったイエロージャーナリズムであると断言できる。
2-1-2 物語としての欠陥
 以上の事実誤認について、「フィクションだから細かいことは言うな」という反論は確かに成り立つ。しかし、ならばこれは完全な虚構の世界において、虚構の悪が断罪される、根も葉もない絵空事に過ぎないということだ。ならばなぜ現代日本のラーメンでやるのか。宋代の酒楼や、英国植民地インドのパン屋、あるいは火星のダイナーでの揉め事を描かないのか。稚拙な知性によって捉えられた社会を舞台に、大人に通用する優れた物語を描けると考えたとしたらそれは読者に対する不誠実以外の無いものでもない。
2-2 何故有害なのか
 この作品においては性別及び人権について途方もない錯誤を犯しており、真に受けた人間の人生を確実に破壊してしまうことを示し、有害であると証明する。
2-2-1 性別についての誤り
 「あの子もトランスジェンダーになった」で指摘されているのと全く同じ過ちを犯している。トランスジェンダーを自認するキャラが登場し、つまり女の体を有しながらも自らの男の要素を否定できないとしている。しかしターゲットとなる評論家ブログの書き込み一つで2か月半外出できなくなったとしているため、全く男らしくなく、単純に女と自認して構わないだろう。要するに男の労働にも女の出産にもフルコミットしたくない、怠惰で臆病なだけだ。これを正当化する甘やかしは、結果として当人の人生をゴミ屑にするだけだ。
2-2-2 人権についての誤り
 この作品の姿勢は、思想信条の自由を侵害するものだ。極めて手間暇をかけた罠を仕掛けた理由は「あなたに勝手に名付けられた自分を取り戻すため」だと最後に明かされるが、何をどう受け取ろうが当人の自由である。ラーメン武士は最後、他の登場人物から一方的に劣等かつアップデートされていないと決めつけられているが、それこそ決めつけではないのか。トランスジェンダーなどと同じく、要するに他人が自分を見る目を操作したいだけだ。しかし例えばTOEICで500点の人がバイリンガルキャラに、MARCHの学生がエリートに、なれるだろうか。
 断じて否。
 シンデレラの母親と同じで、鏡を直視していないだけだ。
2-3 何故邪悪なのか
 この作品の執筆の意図が無実の人間に対する悪意による歴史の改ざんであると示し、邪悪であると証明する。
2-3-1 はんつ遠藤氏への悪意
 ネットに浸り気味で少し記憶力が良い人ならば、価値観がアップデートされていないため一部の店舗からで生き禁止になったラーメン評論家と聞くとはんつ遠藤氏を思い出すだろう。彼は「おじさん構文」と、元アイドルを売りにする某ラーメン店主に対し誹謗中傷とセクハラを行ったとして、フェミニストの怒りを買った。しかし氏の指摘こそが正しかったのは、元アイドルが産地偽装と未払いが明るみとなるやいなや失踪した今となっては、誰の目にも明らかである。フェミニスト側が自らが実際に行った誹謗中傷を全く反省する姿勢を見せないどころか、正真正銘の「歴史修正」を行い、ぼんやりと残った「セクハララーメン評論家」のイメージを固定しようとする企てこそが、この漫画と原作小説である。
2-3-2 社会を損なう悪性ミームとしてのフェミニズム
 フェミニストは常にこうだ。例えば所謂「従軍慰安婦」問題にしても、国家による狭義の強制連行が無かったのであれば只の売春であり国側に法的責任があるはずがない。この事実と旧軍兵士に対する侮辱という過ちをフェミニストは黙殺し、趣味の悪い銅像を世界中に広めることで被害者コスプレに汲々としている。かつての共産主義の様に社会全体を不自由かつ不愉快にしている思想こそが、フェミニズムだ。

3 結 論
 私はフェミニストではないので、この作品を絶版にすべきだとは主張しない。ただ忘却の彼方へと没し去るのを祈るだけだ。汚物を消毒出来ない不自由に、世紀末を生きるモヒカンではない我々は耐えなくてはならないのだ。


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