変化の激しい時代の企業の「守り」と「攻め」【後編】:「攻め」の課題解決
昨日の投稿では、変化の激しい時代の企業の「守り」の課題解決について、お話しました。
本日は、「攻め」の課題解決です。
「攻め」の課題解決は、ズバリ言うと「SDGsの活用」です。
如何に企業がSDGsを旨く活用して、5年、10年、そして100年続く持続可能性を身に付けて行くかということを話ししたいと考えています。
1.昨日の投稿の振り返り
❶変化の激しい時代は、企業は「守り」と「攻め」の課題解決方法を準備しておきたい。
❷「守り」の課題解決としては、最低限CSR(企業の社会的責任)に対応できていないと今の時代、致命傷になる。
❸CSRに取り組むためにおススメしたいのは、国際標準化機構が発行しているガイドラインISO26000である。
❹ISO26000には、企業が取り組むべき7つの中核主題があり、自社の企業活動と照らし合わせ、特に弱い点は、早急に対策を練る必要がある。
❺ISO26000は、ISOマネジメントシステム規格と連動しており、このマネジメントシステムの考え方を企業の中心に据えて経営管理を行うことでCSRの意識を高めることができる。
❻7つの中核主題は、どれ一つも取りこぼしはNGであり、企業が確実にそれらを推進するためには、「財務指標」(売上・利益)と「非財務指標」(CSRに関わる自社にとって重要なテーマ)を経営を巻き込んで、同時に回していく体制作りが重要である。
2.CSRを「守り」から「攻め」に
2-1)CSRとESGの関わり
ESGとは、「Environment(環境)」、「Social(社会)」、「Governance(企業統治)」の3つの言葉の頭文字をとったものです。
最近は、投資家や金融機関が投資をおこなう際に、企業の財務情報に加え、これら3つの非財務情報に配慮しているかを重視する傾向が非常に強まっています。
如何に「環境」「社会」「企業統治」の事例を挙げておきます。
1)環境
気候変動対策、環境破壊の回避、二酸化炭素の排出量削減、再生可能エネルギーの使用、生物多様性への対応、水資源の確保、廃棄物汚染の防止等
2)社会
働き方の改革、ダイバーシティ推進、女性活躍の推進、労働問題への対応(過労死、児童労働)、地域活動への貢献、人口問題への対応(少子高齢化、人口集中と過疎)、所得格差拡大と貧困層の増大への対応等
3)企業統治(ガバナンス)
積極的な情報開示、公正・透明な経営、コンプライアンス、不祥事を防ぐ仕組み、権利保護(株主、従業員、取引先)等
これらを見てすぐにCSRの7つの中核主題がESGと密接に関係することが分ると思います。
下図がCSRとESGの関係を表したものです。
「4.環境」は「E環境」、「1.組織統治」は「G企業統治」、「2. 人権」「3.労働慣行」「5. 公正な事業環境」「6. 消費者」そして「7. コミュニティへの参画及びコミュニティへの参画」は「S社会」と連動しています。
ESGは、投資家や金融機関が企業に投資する際の指標であり、「守り」のCSRを「攻め」に転換させることができる考え方です。
これまで、CSRはどちらかと言うとリスク対応の要素が強かったのですが、ESGの考え方は、CSRを企業の発展のためのツールとして見なすことができるようになりました。
2-2)SDGsは、CSRとESGをカバーする
下図は、SDGsとCSR、ESGとの関係を表したものです。
SDGsの17の目標は、必ずしも「7つの中核主題」と「CSR」に1対1の関係になるのではないですが、概ね、図のように関連付けることができます。
皆さんもご存じの通り、SDGsは、2030年を目標年次とした17の目標と、169のターゲットから構成されています。
このSDGsの良い点は、
❶国際社会共通であること
❷具体的な行動レベルに落とし込めること
❸日本でも認知度が高まっていること
そして
❹CSRやESGとの紐付けができること
が挙げられます。
私は、当初SDGsについては、日本の現状にそぐわないと考えていましたが、169のターゲットとの関連まで考慮すると、企業活動の大部分を包含できると考えるようになりました。
CSRは「評価される側の企業の視点」、ESGは「企業を評価する側の視点」ですが、SDGsは両方の視点を持ちながら、具体的に企業活動レベルに落とし込むことができる。
また、これまで企業があまり考えてこなかった国際レベルの課題を理解することで、企業革新にも活用できると思います。
3.SDGsを「攻め」の課題解決に活用する
昨日の投稿で「守り」の課題解決として取り上げたCSRは、どちらかというと「社会課題の解決」が主体であり、自社の本業の業績(売上・利益)には直接関わらない性質のものでした。
私は、これまでの投稿でも何度もお話しして来たように、企業が「社会課題の解決」を行うだけでは、5年、10年、そして100年継続することはできないということは理解できると思います。
本業の売上・利益(経済的価値)と社会課題の解決(社会的価値)の共通部分(共通価値)を増やすことが企業の持続可能性の必須条件です。
その共通部分を「共有価値」と呼んでいますが、この共有価値を具体的にSDGsの目標に当てはめることで、「売上・利益」と「社会課題の解決」を両立させることができます。
最近、各社の企業のホームページを見ると、必ずと言っていい程、自社の活動がどのSDGs目標に関連するかを表す図を掲げています。
そのSDGsの目標達成の活動の一つひとつを再度振り返り、その活動が自社の本業の売上・利益に貢献しているかを考えて見ることが非常に重要です。
SDGs目標を自社の儲ける仕組みに取り込むことを是非考えて見て下さい。
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