DXでSDGsを実現する:目標11 住み続けられる まちづくりを【前編:世界と日本の課題の認識】
本投稿では、SDGs目標11「住み続けられる まちづくり」の背景になっている世界と日本の課題が何なのかについて、お話しします。
そして、次回の投稿(後編)では、日本の課題について、DXで解決できないかを考えて行きたいと思います。
1.世界の課題
世界には、
・都市住民の4人に1人がスラムで生活
・10人に9人は汚染された空気のなかで生活
・一極集中で地方が過疎化し取り残される人が多数
など、住まいに関するさまざまな問題が起きています。
そういう状況において、SDGsの目標11「住み続けられる まちづくり」の宣言文は、「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」となっています。
特に、目標11に関する世界的な課題としては、「都市部への人口集中」と「気候難民の増加」が挙げられます。
具体的な課題の内容について、説明します。
1-1)都市部への人口集中
世界人口に占める都市人口の割合は、1950年代には30%未満でしたが、現在は50%以上になっています。
今世紀半ばまでに、世界人口の68%に達する見込みのようです。
目標11のターゲット11.1では、すべての人々が適切、安全かつ安価な住宅及び基本的なサービスへのアクセスを確保することを目指しています。
しかし都市膨張による急速な都市化は、水道設備、生活環境、公衆衛生といったあらゆるサービスなどが追いつかず、インフラの整備が間に合わない状況を生み出してしまう可能性があるようです。
さらには、都市化に伴ってスラム街も発生する可能性が高いです。
これは稼ぎを得るため農村部から都市部へ流入してきたものの、満足な暮らしができる就業機会が得られず、スラムに流れてしまうことによって起こるようです。
スラムの拡大は、治安の悪化や環境汚染を招いてしまい、都市部の人たちも安心して暮らせる環境が崩されてしまうのです。
スラムに住む人々は満足な居住や十分な教育、医療サービスを受けられない状況にあり、持続可能な都市の開発を妨げる要因となってしまうため、速やかな対策が不可欠とのことです。
1-2)気候難民の増加
気候変動の影響で、ハリケーン・台風や大雨による水害、乾燥による干ばつや森林火災などの自然災害の数と、それによって影響を受ける人の数も大きく増加しています。
また、地震や噴火など、あらゆる自然災害は、我々の生活を脅かします。
人口の集中する地域での災害は、数多くの気候難民を生む可能性を持っています。
予測の難しい被害に立ち向かうべく、都市など人が多く集まる地域では特に災害に強いまちづくりを進める必要があります。
2.日本の課題
下図は、2021年の日本のSDGs目標17の通知表です。
今回のテーマの目標11「住み続けられる まちづくり」の評価は、「課題が残っている」ものの、課題解決が「軌道に乗っている」または「目標を達成している」となっています。
しかしながら、具体的に、日本の課題を挙げて見ると、かなり深刻なものもあるようです。
日本においては、インフラの老朽化と人口減少による諸問題(過疎化・財政問題)が重なり、インフラを維持・更新できなくなっていくことが予想されているようです。
2-1)都市への人口集中
日本では、都市への人口集中による「過密」「リスクへの脆弱性」「地方の人材流出」「資産格差」「規模の不経済」といった問題を抱えています。
国内の都市化率は、2050年には90%を大きく上回ると予測されています。
2-2)インフラ(社会資本)が老朽化
日本のインフラは高度経済成長期(1950〜1970年代)に集中的に整備されました。
そのため、今後20年間で老朽化して維持管理・更新が必要になって来るとのことです。
一方では、財政不足が深刻化し、インフラの老朽化を放置せざるを得ない状況に陥っているようです。
2-3)一人暮らしの老人が増加
2019年、日本の高齢化率(65歳以上の高齢者が人口全体に占める割合)は約28.4%で過去最高、かつ世界1位となっているとのことです。
内閣府の調べでは、独居老人(65歳以上の一人暮らし)は2015年には男女合計で約600万人でした。
2025年には全体で約750万人に達すると予測されています。
2-4)限界集落の増加
高齢化や移住する人がいないために集落人口が減り、地域社会としての機能が衰えて限界に達している限界集落(65歳以上の人口が50%以上を占めている状態)が全国で1万5,568箇所あるとのことです。
2-5)買い物難民の増加
地方を中心に、公共交通インフラは縮小・撤退の傾向にあるため、買い物難民と化す高齢者が増加しています。
買い物難民は全国で約700万人と推計されています。
2-6)空き家の増加
所有者による定期的な利用がされていない状態の空き家が2013年時点で318万戸となっています。
このままいくと15年後には倍以上となる2,000万戸にまで拡大することが予想されています。
3.日本の課題と目標11のターゲット
3章で挙げた6つの日本の課題と目標11のターゲットの関連性を下図に示しました。
6つの課題それぞれが、複数のターゲットと関連しており、課題解決のためにSDGsターゲットの方向性を活用することで、各課題を複合的に解決できるのではないかと思います。
次回の投稿では、DXを活用して、ここに掲げた日本の6つの課題を如何に解決するかについて考えてみます。
【引用、参照website】
◆Catalyst website: SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の現状(世界と日本)
◆Gooddo website: SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」で解決するべき問題と現状とは
◆SDGs CONNECT website: SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の現状を徹底解説
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