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木材利用の環境効果とその限界を考える(日経新聞サステナビリティ記事【その18】)

※この写真は、イメージ写真であり、本文と直接的な関係はありません。

はじめに

 先日、以下の私のnote記事に「バイオプラスチックのストローに変えても、廃棄物が50%削減されることはありません。素材よりも、使う人がどのように処分するかが問題です。多くの人はバイオプラと生分解性プラを混同しています。」というコメントをいただきました。

 このご指摘を踏まえ、今回は日経新聞の記事「英で木材使いビル改修 住友林業、環境規制強化に商機 CO2削減供給網生かす」を題材に、木材利用が本当にCO2削減に寄与するのかを考えてみたいと思います。

◆【70】2025年1月20日(月)日経新聞 朝刊

※本websiteは、日経新聞会員のみ閲覧可能です。


1.木材利用の環境効果

 住友林業は、英国で木材を使ったオフィスビルの改修事業を始めました。  
 木材は成長過程でCO2を吸収するため、建築材料として使用することでCO2の貯蔵効果が期待できます。同社の試算では、一般的な新築オフィスビルと比べて約70%のCO2排出削減が可能とされています。


2.木材利用の限界と課題

 しかし、木材利用には課題もあります。
 木材は最終的に腐敗や燃焼によりCO2を再び大気中に放出します。また、木材の生産や輸送、加工の過程でもCO2が排出されます。さらに、森林伐採が進むと、生態系への影響や森林のCO2吸収能力の低下が懸念されます。


3.持続可能な木材利用のために

 木材利用を環境負荷の低減に効果的に活用するためには、持続可能な森林管理が重要です。
 適切な伐採と植林を繰り返すことで、森林のCO2吸収能力を維持・向上させることができます。また、木材を長期間使用する建築物や家具に活用し、その後も再利用やリサイクルを促進することで、炭素の固定期間を延ばすことが可能です。


4.総合的な環境対策の必要性

 木材利用はCO2削減の一助となりますが、それだけでは十分ではありません。再生可能エネルギーの導入や省エネルギーの推進、資源の循環利用など、総合的な環境対策が求められます。木材利用を他の対策と組み合わせることで、より効果的な環境負荷の低減が期待できます。

おわりに

 木材利用は環境に優しいとされていますが、その効果を最大化するためには、持続可能な森林管理や他の環境対策との組み合わせが重要です。一つひとつの取り組みを積み重ね、総合的に環境負荷を減らしていくことが求められます。

                            以 上


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