見出し画像

転職の決め手は占いでした

「それはもう、変わった方がいいです」

え。思わず一緒に来ていた友人と大笑いしてしまった。新卒で入社した会社を辞めようかどうか、転職を考えているんです、と言った後、穏やかな声でズバッと言われたのだ。

「そんな、人生なんて時間がないんだからつまんないことやってる時間なんてないです」

コテコテの関西弁のイントネーションで、さも当たり前のように言われると「そうか、やっぱり転職しよう」と決意が固まってくる。

2022年。入社3年目だった私は1月に初めての転職活動に取り組んだ。当時はとにかく面接の数をこなさなければと週に3、4本のオンライン面接を入れていた。
結局、「面接」という普段のコミュニケーションとはかけ離れた会話形式に適応できず、軽い適応障害を起こして2月下旬に転職活動を終えた。

とはいえ職場では悶々とした日々が続く。月に1回は職場に行きたくない病が発病し、ベットから起き上がれず有給休暇を取得するような生活だった。
残業が酷いとか、人間関係が壊滅的に悪いとか、そういうわけではない。とにかく変化に乏しい。社内で色々なことに対する諦めの雰囲気が漂っていてしんどかった。

転職活動に失敗したものの、とにかく環境を変えねばと引っ越しをしてみると、そこで出会った方々に支えられて徐々に笑顔を取り戻していった。
そうしてまた、11月になって本格的に転職活動を再スタートしよう、という気になれたのだ。


そんな折、友人から占いに行ってみないかと誘われ初めて訪れた本格的な占い。
私が1年ほど転職できず、頭を悩ませていたところに次々とメスが入る。

「今の職場にいても旧い体制に縛られて、新山さんの能力が発揮できないです」
タロットカードでは縄で腕を縛り上げられて窮屈そうな人や死神のカードなど、暗いカードばかりが出てきた。

「もっと活気のある、アットホームな職場の方が合っています」
西洋占星術でみた結果、私は職場でバリバリ働く人になるようで、活気のある職場だと運が回りやすいそうだ。

「星回りからみても、この11月・12月に間違いなく羽ばたきます」

ここまでキッパリ言われると、「そうか、やっと転職できるときが来るんだな」と前向きな気持ちになった。




占いをした翌週から始まった面接試験。
1月に失敗した時とは何もかもが違った。

まず、企業のあたりがいい。
形式的な質問ではなく、こちらの回答に合わせた質問も投げかけてくれる。何より「この人のことを知ろう」と向き合ってくれる人事担当ばかりだった。

前回の時は面接開始5分で見限られ「何か質問はありますか?」というお決まりの台詞を最後に、10分以内に収まってしまったところもあった。

他にも前回と比較すると、私自身の表情が自分でもわかるくらい明るくなっていた。

3回転職経験のある友人が「ニコニコしてハキハキ喋ってたら通るよ」と言っていたが、その意味もようやくわかった。
転職しようと思うからにはそれなりの理由があるわけで、それを殺してニコニコするのは難しい。引っ越し、という環境の変化を通して、プライベートでは自然と笑顔が増えたため面接も通りやすくなったのかもしれない。

最終的に入社を決めた今の会社は、1次面接〜内定が出るまでたったの1週間だった。周りも驚くスピード転職だ。

面接官の態度や企業との相性ももちろん大事だが、人事で採用の仕事をしていると「タイミング」の重要性もわかる。企業が人財を求めるタイミングと、転職者の転職したいタイミングがぴったりと重なる「時の運」というのがある。この運が回っていないと、どんなに素敵な人財でも企業側は採用を見送ることがある。

きっと占いは、この「時の運」を見てもらうためにあるのかなと思う。


今では転職して半年が経ち、変化の絶えない忙しい日々を、なんだかんだ楽しみながら過ごしている。
あの時の占いに元気をもらったのは間違いないが、言われたこと全てが当たっていたわけではない。

実は、仕事運の他にも健康やら恋愛やら、色々見てもらっていた。恋愛運では彼氏との仲を占ってもらったのだが、「続きます」と言われた彼とは既に別れている。

結局、当たるか当たらないかではない。
自分がどう生きたいか。占いの通りに生きるというより、占いによって自分の決断を後押ししてもらうのだ。

何かの転機で、どの方向に押してもらうのか、もしくは押してほしいと願っているのか。
決断のための最後の一押しは意外なところにあるかもしれない。それが私にとっては占いだったのだ。



普段関わらない他人と話すだけでも、グルグル考えて狭いところに閉じこもってしまっている自分の視界がぱぁと開けるような、そんな一言をもらうことがあります。

ここまで読んでいただいた皆さんの新しいチャレンジを応援しています。

いいなと思ったら応援しよう!