不思議 / 星野源のコード進行考察
はい、どうもミックナイスです。
春眠暁を覚えずと言うのに近頃の私は冬真っ只中の昼間に不意の眠気が来ます。
あー眠りに落ちる抗えないという、その瞬間(体感的には10数秒)に音楽の発想や新しい音が聴こえることがあるんですよね。
古くは夢の中で流れたメロディモチーフから作曲したBeatlesのYesterdayのように睡眠と音楽って関わりが強いような気がするんですよね。
ただ眠りに落ちる瞬間に抗う難しさと入眠後の夢の記憶が覚えられない私にはとても難しい…笑
前置きはこれぐらいにして今回の考察曲はここ最近ではコードを取るにも1番苦労をした星野源の不思議の考察をしていきたいと思います。
あまりに複雑なコード進行だったのでコード細部の間違いはご容赦下さい。
不思議 Key E♭
Aメロ
E♭M9 - Baug(9) - A♭M7 B♭ - E♭M7・G7 Bdim -
Cm7 B♭sus4 - A♭M7 B♭/A♭ - Gm7 E♭7 - Fm7 A♭M7 A♭/B♭
E♭M9 - Baug(9) - A♭M7 B♭ - E♭M7・Dm7(♭5) G7-
Cm7 B♭sus4 - A♭M7 B♭/A♭ - E♭ E♭7 - Fm7
intro
E♭/B♭ Bdim - Cm7 D♭M7 - Cm7 B♭ - A♭M7 B♭ -
Gm7 Bdim - E♭/B♭ G7 - Cm7 B♭sus4 - A♭M7 B♭
2A
E♭M9 - Baug(9) - A♭M7 B♭ - E♭M7・G7 Bdim -
Cm7 B♭sus4 - A♭M7 B♭/A♭ - Gm7 E♭7 - Fm7 A♭M7 A♭/B♭ B♭
Bメロ
Fm7・Gm7 Fm7 - Cm7・E♭M7 B♭m7 - A♭m7 D♭7 Fm7 Bdim B♭m7 Am7(♭5) - A♭M7 B♭ Am7(♭5) -
Fm7・Gm7 Fm7 - Cm7・E♭M7 B♭m7 -A♭m7 -A♭ B♭
サビ
E♭ A♭ - Daug Gm7 - Cm7 Baug E♭/B♭ - A♭ Gm7
F/E♭ Dm7 - F/A E♭/G Dsus4 D/F# - E♭7 Gm7 Am7(♭5) E♭/B♭ - A♭M7 D7 B♭M7 - E♭M7 B♭ - A♭
Dメロ
B♭ B♭7 - Gm7 Fm7 Em7 - Em7(♭5) - E♭/F
全体的に見てもセクション別に見てもかなり複雑なコード進行です。
AメロはJames IngramのOne hundred waysを思わせるような雰囲気で始まります。
2小節目のBaug(9)からいきなりノンダイアトニックコードが来ますが、これがなかなか面白い。
ディグリーにすると♭Ⅵaug(9)になるんですが主音の♭Ⅵに焦点を置くと同主調からの借用コードかと推察できますが#5の説明がつかず×
augから全音上や全音下の和音の形を推理すると主音を1音下の♭ⅤにしてBaug(9)の構成音の主音を覗いたもの(D#.G.C#)を♭Ⅴの主音からの度数で考えます。
♭ⅤはKey E♭ですとAになるので↑の構成音を度数にするとD#=#11th G=7th C#=3rdとなりA7(#11)omit5となり個人的にすごくスッキリしました。
冒頭に上げたJames IngramのOne hundred waysもⅠからⅠ7の裏コードに#11を足した♭Ⅴ7(#11)を使っていたので、これがOne hundred waysを思わせる理由かと思いました笑
同じような展開のコード進行だとBeyonceのLove on topがそうです。
その後451と落ち着く道を辿り、Ⅵmに繋げるためのⅢ7とパッシングディミニッシュを使用。
Ⅵmからはベース音を下降させるコードに移行してⅠ7へ。
これは次のⅡm(SD代理)に対してのアプローチなので筋は通ります。
前半8小節を終え、後半は4小節目のⅥmに繋げるためのコードが変わっています。
マイナーⅡⅤでⅥmに繋げるので一般的にはこちらの方が分かりやすいんですが前半と後半で変える意味に拘るところはさすがとしか言えません。
Introではトニック始まりのベース音をⅤにして半音上昇を作る辺り個人的にとてもツボです。
終始がⅥmなので、そこにベース音の意味を持たせると悲しみは強調されてコード進行だけで泣けます。
その後はⅤ着地のⅠに行くと見せかけてのⅢm。
ドミナントの着地をⅥmからⅠ/Ⅴにするトニック代理の絶妙な変化を作り、次の着地をⅥmに向けるⅢ7を出すジェットコースター的展開を作ります。
2AはAメロの前半部とほぼ同じなので省きます。
Bメロは同主調からの借用コードとパッシングと#Ⅳm7(♭5)を使っていますね。
ちょっと見づらいんですがBメロの3小節目は6つのコードが入っています。
メロのリズムとの合いの手的なアプローチかと思いますが、これを探し出そうというのは生半可なことではないんですけど手癖のように出してますね。
ここでの#Ⅳm7(♭5)はパッシングとしての考え方と思いますのでⅣM7のルートの半音上げとしての使用と考察します。
Bメロ後半の最後の小節もまたⅣmからのⅣMという使い方ですが、ありそうでなかなか出来ない意外な手法ですね。
サビでは2小節目のⅦaugは次のⅢmへ向かうドミナント、3小節目はその後の4小説目にも繋がる半音下降のベース音のアプローチです。
この後の4小節は感覚的なアプローチだと思いますが、このコードを当てるのはSteely Danかと錯覚するほど狂気の沙汰に感じました笑
そんなサビの終わり方はⅣ終わり。
終始でも緊張でもないⅣ終わりの独特の浮遊感から再びIntroに戻るんですがベース音がサビの終わりのA♭からIntroのベースの上昇に繋がっていて浮遊感から突如、悲しみの強調された世界観に飛ばされるのが凄く素敵です。
その後2コーラス目が始まり2サビの途中からDメロへ。
ここはおそらくKey B♭に転調しています。
Key E♭のⅤ始まりとも取ることは出来るんですが、Dメロの突入前のコードがB♭M7なので響きを利用してひっそりと転調してると考えた方が私はしっくりきます。
そしてKey E♭と考えた時のディグリーとKey B♭と考えた時のディグリーを見ると…
Key E♭
Ⅴ Ⅴ7 - Ⅲm7 Ⅱm7 ♭Ⅱm7 - ♭Ⅱm7(♭5) -Ⅰ/Ⅱ
Key B♭
Ⅰ Ⅰ7 - Ⅵm7 Ⅴm7 ♭Ⅴm7 - ♭Ⅴm7(♭5) -Ⅳ/Ⅴ
というようになります。
どちらも2小節目は下りのベースラインを作るパッシングになっています。
二つのKeyを並べて転調してないか?と1番感じた部分は3、4小節目です。
E♭側の♭Ⅱm7(♭5)は絶対出てこないわけではないんですが、♭Ⅱに対してならdimやM7、7になる方が一般的かつ4小節目もセクション終わりのⅠ/ⅡはⅡ7の機能になることが多く、こちらもドミナントの役割の辻褄が合いません。
B♭側の3小節目では♭Ⅴm7(♭5)となりこちらはトニック代理になります。
メロディックマイナースケールの借用コードと考えますので#Ⅳm7(♭5)と書いた方がしっくりくる方がいるかもしれませんね。
そして4小節目もⅣ/ⅤはⅤ7の機能と考えられるため辻褄があいます。
というふうにコードをディグリーに直すことを癖にしておくとコードの違和感に気付きやすく、多角的にコードが見えますのでお勧めしています。
長くなりましたが不思議の考察は以上で終わりたいと思います。
記事を出すごとに文字数増えている気がします笑
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それではまた次回の考察で。