四つ葉のクローバー
本を書くことが今年の目標になった。
そもそものきっかけは、この会話だった気がする。
「それ、シンクロニシティですよ」
「え?シンクロニシティ?」
聞いたことが無い言葉に、僕は困惑した。
「そう。そのとき、良い気分だったんじゃないですか?」
「はい、確かに。久々に友達と旅行に行ったときで、とても楽しくしていました」
「だからですよ〜」
僕が「数日前に、生まれて初めて四葉のクローバーを見つけたんです」と伝えた直後の会話だ。
シンクロニシティという言葉を知った。
あとで、ネットで調べた。
シンクロニシティとは、
虫の知らせのような、意味のある偶然の一致。心理学者ユングが提唱した概念。共時性、同時性、同時発生。
「自分が思っていることが、たまたま何らかの形で現実になること」
ふーん。。
また、シンクロニシティと調べていると、よくエンジェルナンバーという言葉も書かれていた。
エンジェルナンバーとは、
よく見かける数字、誕生日やゾロ目など偶然見る数字やなぜか何度も見る数字。
気になる数字にはそれぞれの意味があること。
ふ〜ん。。
元々占いにはさほど興味を持っていなかったし、精神世界の探求を始めて、自分の内側や宇宙の真理には関心が向いていたけど、逆に自分の外側のことには関心がなくなってきた頃だった。
そんなこともあるのかもな、ぐらいで流していた。
でも、その頃から、不思議なことが起こり始めた。
やたらに44や444という数字を目にするのだ。
時計を見ると、いつも44分だったり、買い物すると444円だったり。対向車線を走る車のナンバーが444,444と2台続いていたり。
あまりに続くので、自分でも笑えてしまった。その不思議なことが楽しくなっていった。
エンジェルナンバーで44や444の意味を調べると、「たくさんの天使がそばにいてくれていて、状況が好転する」というように書いてあった。
天使は見たことがないが、悪い気はしない。
その番号に出会うたびに、心強い気分になれた。
一か月ほど経って、僕は伝えた。
「前にシンクロニシティのこと教えてもらって、その後から、毎日何度も44とか444とかの数字を見るんです。おもしろいぐらいに。良い番号みたいで、嬉しいんです」
「あはは!おもしろい〜!実は私、4にめっちゃ関係するんですよ〜」
「どういうことですか?」
「ほら、誕生日は10月4日でしょ。それに、産まれたのは4:44で、4づくしなんですよ」
「そうなんですか!?」
「そう、だから、私をめっちゃ見てくれてるみたいで嬉しい。あははは〜」
僕はその人とオンライン上でしか会ったことがない。月に一度、一時間会話する。
出会って三ヶ月。
その人は、精神世界の探求においては先輩であり、師匠であるが、気持ち的には、友人でもある。
この会話がとてもありがたかった。
人生に迷い、解決の糸口に、と宇宙の真理を探究していながら、本当にこれで良いのか、自分は何かおかしな方向を向いてしまっていないか、と不安を感じることも時にあった。
そんな僕に、やたらと目にする数字が進む方向を指し示してくれているような気がした。
こっちで大丈夫だよ、と。
44という数字が見えている限り、僕の人生は良い方向にむかっていると信じてみるのも面白いかもしれない。
数日後、仕事で気持ちが大きく落ち込むことがあった。
理不尽な怒りをぶつけられたのだった。
あまりに強烈な怒りだったため、前向きな気持ちを維持することは難しかった。
心の中に負の感情が出てくる。
どうして、自分がそこまで言われなければならないのだ。
やるせない。。
指先が震えるほどの怒りを感じながら、なおそれを通り越して、哀しみすら感じていた。
落胆。絶望。
自分のデスクに戻り、何気なくiPhoneをポケットから取り出した。
待ち受け画面に表示された時間は、14:45。
「惜しい。1分前なら444のゾロ目だったな」と心の中でつぶやきながらロックを解除した。
ホーム画面の1番上の小さな時間表示は、
14:44
。。。一瞬、あ然。
急いで、再度待ち受け画面に戻ってみる。
やっぱり、14:45。ゾロ目じゃない。
ロック解除してホーム画面の上部を見ると、14:44。
ゾロ目。時が戻っている。
何だか分からないことが起こっている。
だけど、これは、嬉しい!
一人ニヤニヤしていると、数秒経ち、ホーム画面の表示も14:45に変わった。
信じ難い出来事だった。
iPhoneでは、このような現象がよくあることなのか、起こり得ないことなのか、分からない。
そのとき以来、同じことは起こっていない。
タイミングが重要なのだ。
このことを、僕が奇跡だと受け入れるには絶好のタイミングだった。
小さな、でも、確かな奇跡。
涙を流すマリア像だって、それ自体に意味があるとは思わない。
そうではなく、それを見て、何を感じ取れるか。
自分が見えている世界に疑問を持つか、否か。
感じないときは、感じない。
感じたとき、自分を再構築するきっかけになる。
次に会ったときは、こんな会話をした。
僕が心の中の動きや、世界に感じていることを説明した後だった。
「とっても分かりやすい!ここまで分かりやすく説明できるのは才能ですよ。」
「え?そうですか?」
「そうですよ!自分の内側を説明するのって、とても難しいんです。」
「へ〜」
「みんな、自分が当たり前にできることは他の人もできると思ってしまうんですけど、そうじゃないんですよ。自分が当たり前のようにできることが、実は才能だったりするんですよ」
そんなことを言われて、浮かれた僕は、試しにちょっとやってみるかな、と軽い気持ちでブログを書き出した。
それから、ちょうど一年経ち、文章を書くことを日常生活に取り入れることができて、「今年は本を出したい」と思っている僕がいる。
偶然の重なりが、僕をここまで導いた。
思えば、最初は4つ葉のクローバーから始まった。
そんな気がするんだ。
ふと時計を見ると、22:44だった。
いつも、ありがとう✨✨✨
シロクマ文芸部の企画に参加させていただきました😄
小牧幸助様
素敵な企画をありがとうございます✨✨✨
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