黒猫ボンちゃん(2) テンカン期を越えて平穏に
小さな迷子猫だったボン。
当日の写真を見つけた。
物怖じなしで最初からここに居たかのようなボン。
あっという間に、7キロ半の大猫になるなんて誰が想像できただろう。
太っちょなのではなくて長いのだぞ(ボン弁)
ボンが3歳半のころだ、母からSOS。ボンが大変!!
駆けつけると、ボンが荒い息をして倒れていた。
母が言うには、凄い音がしてボンが変になって震えていたと。
敷物がグシャグシャになり、ボンも周りも濡れていた。
よくわからないけど、時々まだピクつくこの様子もしかしたら、、と思う。
そしてクリニックで、やはり癲癇と診断された。
一緒に住んでいないため発作になかなかに居合わせられないが、倒れて震えているところは度々目撃できた。
苦しそうで見てるのも辛いし心配でたまらなくなる。
でもそういう状態の時は声はかけない方がいいし、そっとして収まるのを待つのがいいそうだ。
しばらくすると普通になって起きる。発作中の記憶はないそうなので良かった。
薬は毎日一度、必ず。一気に飲ませる方がいいと言うので粉薬を溶いて、シリンジ(注射器の針がないやつ)で与えるようにした。母には7キロ半の猫を押さえるのは無理なので、私が通いで担当に。
最初の頃は発作も激しくて、立てかけてあった大きな額を壊したり、網戸ごと突き破って庭に飛び出し倒れていたり。大猫なんで、破壊力が凄い。
幸いボンも母もケガをすることはなかった。
徐々に薬の成果が出てきて、数日おきだった発作が週1回くらいになり、月に3回、2回、1回と減っていき、発作も小さくなって数年後にはほとんどでなくなっていった。
きちんと座ったまま目を閉じて、こっくりこっくり船を漕いで眠っているような小さな発作を2度ほど見かけてから、もうずっと発作を起こしていない。
ただし治ったと思っても、薬はやめてはいけない、生涯飲ませる事。
とはいえ、これが嫌がって嫌がって。ベッドの下に逃げ込んで出てこなかったり毎日ドタバタ大騒ぎ。
可愛そうになるけど、餌に混ぜたりするよりシリンジが一番確実なので、私は注射器を持つ悪い看護師になった気分で頑張ったのよ。
今ではお互い慣れてきて、サッと押さえる程度で飲ませられる。やっぱりちょっと逃げるし嫌がるけど。
どうして癲癇の発作が起きるのか、先生も原因はわからないとおっしゃっていた。何が悪く作用するのかわからないのでワクチンの投与も中止している。
そんな毎日の中、母はもともと丈夫でなくて持病もあり、ボンを飼ってからも手術をしたり何度か入退院を繰り返し、日常生活や猫の世話もきつくなっていった。
母の入院中は、私が実家に日に何度か行きラピボンの世話をした。
家にいる時も次第に母はほとんどベッドで過ごすようになって、ラピボンが我が家に来ることも多くなった。
当時の我が家の飼い猫は、やはり母が餌付け保護した母娘猫2匹で、うちで引き取った子達。娘猫は外生まれの完全な野良猫だったので警戒心が強く威嚇する系。それでもなんとか全猫達が一緒に過ごせるようになった。
母が家にいない時が増え、本当に帰らぬ人となった頃にはラピもボンもほぼ我が家の猫になっていた。
里帰りも出来て、まあスムーズに移行できたと思う。
家に来てから、1年以上してからだろうか、ボンがかすかに高い細い声で私に向かってオーと鳴いた。鳴いた?こんな声だったんだ。
ボンは鳴かない猫で、要求もほとんどなく臆病なのにおっとりというか。動作もゆったりで薬のせいがあったのかもしれない。
多分、ボンを飼っていた頃の母は耳がかなり遠かったので、細やかに応える事はできなかっただろう。それで鳴いてもわからないから、鳴かなくなったのかもしれない。
そうだ迷子猫の時には外で大鳴きしてたものね。
ラピボンが我が家の猫となって4年、母子猫も順に虹の向こうに行ってしまって今は2匹だけ。
ラピスは目が見えないので一階の一室だけを領分にさせ、ボンは全室往来オッケーで、我が物顔のベタ甘ったれ。
そうして少しづつ色々な声と表情を見せてくれるようになって来た。
去年と今年でも違う。変わっていくのを感じては面白くて楽しくて、何より信頼してもらえているんだなと嬉しい。
わたしがこうして部屋でMacの前にいると、アッホーと呼びに来る。ほんと、アッホーアッホーって聞こえるんだもの。アクセントは童謡のカッコーで。
そしてベッドルームへとのお誘いデス。そんな可愛い声出されたらオバちゃん、ホイホイついてっちゃうしかないからね。何にもできないじゃないかー!!(猫のせいにするでない)
今年の初夏あたりから、私のトイレに付き合ってドアの前まで一緒に来てまた一緒に戻るというのをするようになった。
BGと呼ばれている。(ボディーガー ド キムタク主演のドラマから)
今日もヘソ天で暑い日差しの差し込むなか寝転がっているボンちゃん。
すっかり転換期を越え平穏期だな。