学校教育にIT業界ができること(後編)
前回の続きである。
2)ICTの活用例
②渋谷区のケース
私が一緒に活動する、"シンニホン"アンバサダーズコミュニティの仲間には、元高校教師や学習塾経営者がいる。渋谷区の高校にいた元先生の方から聞いたことだが、ICT活用の一番の効果は、先生の効率化により子供に使える時間が増えることだという。
先生にとっては、出席簿や採点の管理など紙管理や紙配布するものも多く、これらをPCに打ち直すなどはチリとして積もっている作業だ。
生徒の端末と連携する校務システムの導入は、こうした作業を簡略化することにつながる。
③喬木村のケース
有名な事例かもしれないが、長野県喬木村(小中学校3校)ではうまくICTを授業に融合させているようだ。
地元の大学院の院生が、村の教育委員会から雇われてICT支援員となり、校務システムの導入や授業での機材活用をしている。
記事にも書いてあるが、人口減少の中で教育の質を高めることで、自治体としての魅力を高めようとしている。遠隔で繋いで小学校合同での授業をしたり、農家などを営む住民へのアンケートやインタビュー等をウェブで行っている。
喬木村でやっている授業は普通におもしろそうだ。実際に働いている人に時間をとってアンケートをするのは、大人だと構えられてしまうが、小学生や中学生なら喜んで協力するだろう。
私は好奇心の強いの人間だと思うので偏った意見だが、自分が子供のときにこういう授業があったら、普通の座学よりも熱心に取り組んでいると思う。
教育の質の転換とはこういうことを指すのだろう。
おわりに〜現場の課題とICTの貢献余地
まわりくどいが、実例やインタビューの結果を踏まえると、教育現場でのニーズとICTの貢献方法には大きく2種類あることがわかる。
1)教務における業務の効率化…町田市、渋谷区
・システムと連携したタブレットによる記録等の効率化
・ウェブツールでのテスト等による採点業務などの効率化
2)教育の質の向上…喬木村
・遠隔ツールを使った学校間の交流
・GoogleスプレッドシートなどのウェブUIを使った調査研究
実際には、1で余裕を作ったうえで2のような授業の質をあげたり、先生が子供と向き合う時間を作れるという意味で、1と2は連携したもののようだ。
業務効率化という領域で言えば、いわゆるIT企業の得意領域なので、ここへ貢献余地が大きいようにも思えるが、私立ならともかく、公立の予算が少ない市場をターゲットにしている大手企業は多くないように感じる。私の会社しかり。
外観は朧げながら理解できたので、もう少し考えを巡らせたい。