【東南アジア3】象にのる。
バンコクから13時間かかり、チェンマイのバスターミナルに着いた。
バスを降りると、白人たちは靴を履き替えたり、パッキングを整理したりとトレッキングの準備に取り掛かり、ツアーの人と思しきタイ人にどこかへと連れて行かれていった。
僕らには、誰もかまってくれない。勝手もわからず、ただボーッと待つしかなかった。
騙されてないよな、という不安がよぎり始めた2時間半後、ようやく僕らに声がかかった。
荷台を幌付きの座席にしたピックアップトラックに乗り込むと、白人カップルとコリアン6人組が笑顔で迎えてくれた。
途中、食堂でランチとなったが、コリアンたちはタイ料理に四苦八苦していた。
同じお米の食文化だし、それこそ辛党だろうに、ほとんど食べられないそうだ。すべての料理に、韓国から持ってきた、コツジャンをぶっかけていた。食事が合わないのは、異国ではきついだろう。
僕は幸い、初夜こそ辛さにやられたが、その後はモリモリと食べることができていた。
そしてトラックは鬱蒼とした森の中に入っていった。
森には、大きなアジア象が待っていた。
象。
百獣の王はライオンだ、カバは実は凶暴、ワニの噛む力はT-REX並、、、云々。数多の自慢話はあるが、地上最強の動物は、圧倒的に象だそうだ。やはり大きいことは強いのだ。
その象の首にまたがる。象の頭頂部には針金のような剛毛がびっしり。これほど毛深いとは思わなかった。
糞尿を垂れ流しながら、何も避けず、すべて踏み潰してズンズン進む姿は、さしずめ重戦車。さすが地上最強。
地上2、3メートルからの眺めもいい。王になったような気分だった。
ただ一頭だけ、象使いがいくら「ハ!」とか「へ!」とか叫んでも、うじうじ進まない奴がいた。あげくにひとりで森へ帰っていってしまった。
果たしてこいつらが突如暴れ出したら、誰か止められるのだろうか。
30分ほど象ドライブをして、その後は森の中をトレッキング。ただただ歩き続け、山岳民族の集落にたどり着いた。
高床式の木造の小屋がいくつかあり、床下には豚とかニワトリが転がっていた。そのうち食べるのだろう。
いろんなツアー客の宿泊地のようで、日本人の若者グループも7、8人いた。
その中の1人が、なんと小学校の同級生の中高の親友だという。驚いた。世間は狭い。狭すぎる。
が、昨日もカオサンで高校の同級生に遭遇していた。
20世紀末。タイは、日本人の若者で溢れていた。
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