岩金(東向島)→日の丸酒場(八広)
緊急事態宣言が解除された間隙を突いて、4ヶ月ぶりに酒場を訪れた。
空白期間はアルコールもほぼ口にしていないとあって、河岸選びに興奮したが、久々下町のガールズバーにした。
「岩金」
16時開店かと思いきや宣言解除を受けて、17時開店になっていた。
1時間ほど瞑想して過ごし、17時5分頃に入店。
カウンターにこそ飛沫防止カーテンがかかっているが、その他は異常なしだ。
各テーブルには消毒スプレーも配置され、安心感もある。
まずはボール。
岩金は炭酸を手酌するパターンなので、グラスから溢れないように震える手で慎重に注ぐ。
ン、グ、グ。
魅惑の琥珀色に、思わずノドが鳴る。
4ヶ月ぶりのボール。
「う、うめえ」
年末のきよしに続き、またしても思わず感嘆の言葉がこぼれる。
わざわざガンジスミダ川を越えさせるパンチ力は健在だ。
世の中の喧騒をよそに、30分もすると店内は満杯。
カウンターには絶好調の常連さんたちが居並ぶ。
しばらくすれば、岩金のアイドル・チー子もやってきて、我が物顔でお隣さんの膝の上に乗ってくる始末だ。
いつも通り、とは言わないが、いつもの酒場の光景に安堵する。
名物のもんじゃグラタンからはじめて、ハムカツ、かしら塩、今日のおすすめのさめ煮物をあてに、予定通りボール4杯。
パーフェクトコースを1時間ほど堪能し、上機嫌で久々の酒場を後にする。
陽が陰りはじめた曳舟川通りを北上し、八広駅前にデンと鎮座する男塾「日の丸酒場」へ。
こちらも相変わらずだ。
カウンターも座敷も酔客がゴロゴロ転がっている。
溜まった4杯分の尿を流し出し、膀胱を空っぽにして、いざ、Round2。
ここのボールほど美しいボールを私は知らない。
うすはりのグラスに唇を迎えて、まずは一口。
「う、うめえ」
デジャブのように繰り返されるスタートの儀式。
この店を愛想が悪いなどとクチコミで書く輩もいるが、気になったことは一度もない。むしろ酒も肴も最強クラスだろう。にして、この価格。何が不満なんだ?
「富山の蛍イカは3月から5月までざんす」
ということらしいので、ホタルイカをいただく。
続いて、コハダ、煮こごり、ナス焼きと続き、とんかつで〆。
ボールも予定通りの4杯。
都合、私の限界値の8杯をしっかり堪能し、薄れる意識にカツを入れながら、帰路に着いた。
また世の中がきな臭くなってきているので、今度はいつ訪れるのか。
何はともあれ、幸せだ。