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上島町で空き家の利活用をすすめるNPOからの令和5年度活動のご報告

 私が事務局を務め、上島町内に主たる事務所を置く特定非営利活動法人かみじま町空き家よくし隊(以下、よくし隊)は、令和5年度の中心的な事業として、一般財団法人地域活性化センターからの助成を受け、また上島町の後援を受けて、助成メニューのひとつである「令和5年度移住・定住・交流推進支援事業」として「空き家DIYワークショップ×移住体験事業」を実施しました。
 昨年の6月下旬に交付決定を受け、7月中旬に助成金を使える状態となってから事業を開始し、今年2月中旬に最後のお支払いを終えて事業を完了しました。報告書の準備は2月に入ってすぐより進めていましたが、窓口となっていただいた上島町への書類一式の提出と確認をようやく終えましたので、この場を借りてご報告させていただきます。

令和5年度助成事業の2つの柱

 この事業は、①移住体験ツアーと②空き家改修の2つの柱となる活動から構成されています。移住体験ツアーは、よくし隊設立後で初めて計3回にわたって開催し、当初計画していた計15名の参加者がありました。このツアーでは参加者に対して、空き家でのDIYのワークショップだけでなく、上島町の紹介や移住相談、交流会を実施することができました。
 移住体験ツアーのプログラムの一環として各回、空き家再生の分野で先進的な団体として実績を重ねていらっしゃる大先輩のNPO法人尾道空き家再生プロジェクト(以下、空きP)より講師を招致してセミナーを開催しました。このセミナーへは、ツアー参加者だけでなく、町民など誰でも参加できるようにしたために、各回15名程度の参加者がありました。
 DIYワークショップの舞台とした空き家(建物の通称「美容室」)の改修を事業実施期間中に進め、本事業により新たな工具や原材料を調達できたこともあって、住居としての状態をかなりの程度、改善することができました。この住居は今月より、上島町への移住を予定するツアー参加者のお一人に、よくし隊よりお貸しすることになりました。

具体的な活動内容

 具体的な動きとしてはまず、動き始めることができるようになった7月に、空きPおよびよくし隊メンバーでの打ち合わせを3回、実施しました。そのうえで「美容室」をDIYワークショップの会場として使用するために、また翌年度よりこの建物で移住者を受け入れることができるように、整備・改修を始めました。具体的な整備・改修作業としては、8月に庭木剪定を4回、8月から10月にかけて残置物撤去を5回(各回、軽トラ2杯~7杯分の残置物を処理しました。さらに追加で12月と2月にも残置物の撤去を行いました)、11月から2024年2月にかけて改修及び清掃作業を、当日参加可能なよくし隊のメンバーによりボランティアで実施しました。電気の配電と水道水漏れの修理、およびキッチンの清掃については、専門業者に作業を依頼しました。
 セミナー、移住相談を含む交流会、DIYワークショップによって構成する移住体験ツアーは、10月14日~16日に第1回を実施し、ツアーに2人、セミナーに14人の参加がありました。11月25日~26日の第2回には、ツアーに9人、セミナーに15人の参加がありました。1月20日~21日の第3回には、ツアーに4人、セミナーに15人の参加がありました(各回とも、セミナー参加者数にツアー参加者数を含む)。また第1回と第2回のツアーでは、これまでによくし隊が空き家を整備して地域交流拠点となる建物を整備管理するなど関係を続けてきた高井神島へ、希望者を引率し案内しました。

事業の成果

 よくし隊は定款で事業内容として「本町への移住促進」を謳っているものの、本事業を完遂したことによって、設立後で初めての移住促進を目的とした活動実績とすることができました。先進団体である空きPと協働できたことは、よくし隊のメンバーにとって、特に私自身にとって、充実した貴重な学びの機会となりました。また、よくし隊による高井神島での本年度の活動で協働いただいた愛媛大学社会共創学部環境デザイン学科の渡邉敬逸准教授のご協力を得て、同大学において本事業を告知いただくことができ、空き家再生/空き家問題や移住促進活動に関心を持つ大学生にも参加いただけたことも、上島町にとって、またよくし隊にとって大きな成果です。

今後の活動に向けて

 本事業を実施した経験を得て今後は、空きPより学んだ空き家再生および移住促進のための具体的な活動メニューをモデルとして、よくし隊の活動の中に取り入れていき、また空きPとの県境を越えた連携を図っていきたいです。また上島町内において、役場や各民間団体、町内会等との協働・連携を図りながら、これまで本町でなされていない、あるいは手薄であった領域の諸活動を展開していくことができれば、と思います。
 よくし隊では本事業により、空き家を改修・DIYするための工具と資材を充実させることができました。ただし、工具を安全に使いこなすための技術の習得が不可欠です。よくし隊メンバーは、町内の空き家再生と利活用がより活発となっていくよう、DIYの実践を重ねて技術の研鑽を積み、移住希望者自身がDIY作業を行う際に協働できる体制を整えていきたいと考えています。

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