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「ミチシロカでの経験で芽生えた“モヤモヤ”がワンランク上の成長につながる」参加学生インタビュー(高知大学2年・畑田赳さん)

「ミチシロカ」のnote編集担当です。
新年を迎え、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

北海道内で地域貢献・地域活性化に寄与する体験型教育プログラムとして2022年夏に初めて開催した「ミチシロカ」。
実は、2023年冬の実施に向けて着々と準備を進めています。また報告できる時機にきましたらお知らせいたします。

真狩村からみえる羊蹄山(2023年1月13日撮影)

今回のnoteでは、記念すべき第1回の音更町でのプログラムに参加した学生の中から畑田赳さんのインタビューをお送りします。

畑田さんは、茨城県出身で、現在、高知大学に在学しています。
「自分の知らないところにあえて進む」
大学入学まで、自分の人生を自分自身で決めてこなかったことにコンプレックスを感じていたそうです。まさかの大学受験失敗から乗り越えてきた苦難、そして、ミチシロカで発見した新しい“可能性”について、畑田さんは語ってくれました。

「過保護」だった高校までの自分。大学受験失敗がきっかけで自分の人生が動き始めた

畑田さんは、2003年生まれの20歳。
現在、高知県高知市にある高知大学に通う大学2年生。

彼は茨城県つくば市出身、幼少期から高校卒業までつくば市で育った。

一人っ子で、ずっと生活してきたせいか、わがままで協調性が足りない子どもだったんじゃないかと思います(笑)いたずら好きで、あまのじゃく。みんながやっていることは真似したくないと思っていました。
父は公務員、母は薬剤師なので、どちらもコツコツやる人、真面目な人でした。僕はその真逆。悪目立ちすることが多かったです。

僕自身、これまでの人生を「こじらせてきた」と思っています(笑)

彼は、ミチシロカに参加しているときから常々「自分は過保護に育てられた」と少し自虐のように自分のことを紹介していた。

両親や周りの方々に恵まれて、何不自由なく生活してきました。だからこそ、あまり自分で自分のことについて、「選択」をしてこなかったと考えています。習い事は水泳や空手をやっていましたが、両方とも自分でやりたいと思って始めたことではなくて、“やらされ”て始めたことでした。
何事も長続きがしない性格で、すぐに飽きてしまう。なにかを選ばなければいけないときも渋々選ぶ感じでした。

そんな彼は、大学入学と同時に、地元・つくばを離れ、高知で一人暮らしをしながら学生生活を送っている。高知大学で、インターンシップへの参加や就活支援のために企業へ飛び込み訪問、学生団体を立ち上げるまでになった。
彼の人生が180度変わったターニングポイントはどこだったのか。

きっかけは、大学受験の失敗でした。
高校も地元の県立高校が第一志望でしたが、スランプになり高校受験失敗。親に薦められた私立の高校に入学しました。なので、高校入学してからも「僕はなぜこの学校に通っているんだろう」とモヤモヤを抱えたまま高校生活を過ごしていました。
そして、大学受験も失敗に終わったんです。地元である筑波大学が第一志望でしたが、試験がうまくいかず、断念せざるを得ませんでした。そのとき、ついに自分の中での何かが途切れてしまった気がしたんですーー

「地元から見放された」そんな感覚を覚えました。

本当はそんなことないんですが(笑)、当時は本気でそう思いました。
第一志望の筑波大学に行けなかった。だからこそ、せっかくなら遠い所にいこう。逃げるような気持ちでした。大きな決断であると自覚はしていましたが、半分やけくそ、かなり投げやりに高知大学へ進学することを決めました。

「半分やけくそ、かなり投げやり」に決めた高知大学への進学。
しかし実は、この決断こそ自分自身で自分の人生の進むべき道を決めた「初めての選択」だった。

言い方はおかしいかもしれませんが、大学受験失敗が、一度死んで生まれ変わったタイミングでした。だからこそ、自分で選んだ大学で、おもいっきり色々なことにチャレンジしよう、過保護だった自分から生まれ変わろうと思えたんです。
一応言っておくと、親戚が四国に多くいて最低限のライフラインはあるという打算的な部分があったことはお伝えしておきます(笑)

高知大学入学時の畑田さん

高校まで、世界の広さを認識できていなかった。自分が見えていた景色が、世界のすべてだと甘えていた。高校の修学旅行でロンドンに赴いた際に感じた「自分の知らない世界」の感覚を、これからの人生でも体現したい。そんな彼は、変わった。

高知大学の農林海洋科学部へ進学。高知は農業がメインの地域が多いため、高知大学で学んだ知識を将来アウトプットできるようになりたいと考えた。高知に来たのだから、せっかくなら地域絡みのことがしたいと思い、そんな思いで大学生活がスタート。

いよいよ、人生が動き始めた。

地方だからこそ、できること。自分の知らないところにあえて進む。

大学に入学してから2年。どんな2年を過ごしてきたのか。

大学入学してからの2年間は、今まで生きてきた18年と匹敵するくらいの密度だと断言できます。話す内容やエピソードの量とクオリティは、この2年間で積み上げたものが多いです。
高知大学の良さは、学生の質が高いこと。色々な地域やバックグラウンドを持った人たちと話せる。それがものすごく大きいです。
僕が通っていた高校は、1クラス20人程度、全学年でも40人ほどの学校。なので、新しい人間関係をつくる機会がなかったんです。

高知大学は、僕の地元のつくばと同様に田舎にある大学ですが、全国各地から学生が集まっていて、人種の坩堝(るつぼ)です。関西地方出身者が最も多く、四国地方から来ている人も3割程度。関東出身の割合はもっと低く、2割+αしかいないのではないでしょうか。
キャンパス内を歩いていても、話されている方言も様々で、僕にとってはとても新鮮です。

僕はこれまで他人と接することを避けて、新しい人間関係を始めることに苦手意識を感じていました。しかし、大学に入学してから、ある意味半強制的に他人とコミュニケーションをとらないといけない環境になり、本当に色んな人と話すことになった。それが結果として自分を変えるきっかけになりました。

他人と話すこと、自分とは違う考えを持った人と話すことが、実は楽しいことなんだと18年生きてきて、やっと気付けたのです(笑)
話すたびに視野が広がる。自分の考えが変わる。
人と話すことが楽しくて、もっと幅広く色々なひととコミュニケーションをとれないかと考え、「次は社会人だ」と思い、インターンシップを始めることにしましたーー

彼は、企業に直接アポをとり、社長へ突撃訪問。鞄持ちのような“社長つきっきりのインターン”をおこなうなど、行動力で周囲を凌駕していった。
さらに、高知県内の企業紹介・就活支援を目的に、経営者に会い話を聞きに行くことを繰り返していった。業界を絞らずに片っ端から自らアポをとり、実際に会社へ訪問。その数は、20社を越える。

学生と関わっていくうちに、もっと社会人の話を聞きたいと思いました。
最初はオンラインイベントに潜り込みました。イベントのなかで「18歳です」と言えば、企業の方は特に興味を持ってくれて、話を聞いてくれたりすることが多かったです。
田舎だからこそ、高知だからこそーー。地方では学生は売り手市場です。関東の大学にいけなかったからこそ、田舎で目立とうと思いました。関東(都会)に負けたくない。目立ちたがり・自意識過剰の性格に火が付き、「目立ったら勝ち」という考えにシフトしていきました。


彼は、全国にある地方大学の学生をつなげたコミュニティを立ち上げ。地方大学に通う学生のブランディングを始めた。

都会の学生に比べると、地方の学生は見劣りしてしまう。しかし、実際には地方の学生は都会の学生に比べて、変わった意見を持っていて面白い人材が多いと思います。だからこそ、地方の学生が集まって、大きく見せる。一緒に声を出す。そんな全国から集まったコミュニティがあったらいいなと考え、実際につくりました。

彼がミチシロカとつながったのも、実はその学生団体コミュニティの活動がきっかけだった。

自治体公共week 地方創生EXPOというイベントで、学生団体コミュニティの展示紹介をしているブースに、ミチシロカを運営しているCSS(中央コンピューターサービス)の常務取締役の所さんが見に来られて、お話をする機会をいただきました。その場でミチシロカプロジェクトについて聞きました。
聞いた瞬間に、「北海道に行きたい!」と思い、その場でFacebookを交換してメッセンジャーでやりとりしました。

僕自身、高知を中心に全国様々な企業の方とお話をする機会がありましたが、北海道の企業の方とお話する機会は初めてでした。しかも「北海道でのフィールドワーク」という響きだけでも新鮮で、聞いた瞬間にすぐに参加したいと思いました。

未知の場所・コトに参加する怖さや不安は当然あります。しかし、ある意味僕は大学受験で失敗をして人生ゼロ地点まで下がっているので、ここから下がることはないだろう、と。どんなに失敗しても、これよりも落ちることはない、そんな気持ちで「自分の知らないところにあえて進む」を実践したいと思っています。

ミチシロカで得られた新しい“未知”。メンバーの存在が大きかった5日間。

ミチシロカでは、北海道の道東にある十勝エリアの音更町のプロジェクトに参加。プロジェクトのお題は、普段参加しているインターンシップやフィールドワークよりも自由。
自由だからこそ主体性が求められ、課題解決能力が必要だった。

ミチシロカのお題は、「地域の未来」を総合的に考えることが求められていました。北海道に来る前まで、今までやってきたことが通用すると思っていましたが、まだまだ考えきる力、行動力が足りないと痛感しました。まさにミチシロカを表す“未知”を感じた5日間でした。

特に、他のメンバーの存在が大きかったです。特に一緒のチームで5日間行動を共にしたサトケン(佐藤絢斗・法政大学2年)の考え抜く力、やりきる力には圧倒されました。彼は「自分たちの提案が、本当に地域のためになっているか。地域の人たちにとって押しつけになっていないか」を気にかけて活動していました。発表当日になっても、スライドをぎりぎりまで仕上げていました。
他のメンバーも、音更町役場が持つデータ・数字を用いてEBPM(Evidence-based Policy Making)を活用した発展的な提案をおこなうなど、「こだわる」という点で大変勉強になりました。

今までの人生の中で、あそこまでこだわってやりきる人を見たことがなかった。考え抜く力、やりきる力。自分はまだまだ甘いな、と痛感しました。

このインタビューは5日間のプログラムが終了してから3ヶ月程度経って、話を聞いている。それでも、ミチシロカでの5日間の衝撃はいまだに彼の頭の中に焼き付いていた。そして、彼のなかに新しい何かが芽生えた。

ミチシロカから日常に戻ってきて、いまだにモヤモヤしている部分があるんです。
高知に来てから“生まれ変わった自分”に、少し安心してしまっていたのかもしれません。田舎は少しアクションすれば、たちまちちやほやされることが多く、意味のないことでも褒められてしまっていた。生まれ変わった自分に満足感を覚え、成長速度が遅くなっていた。

そんな時に、ミチシロカに出会った。
主体性が求められるお題と他のメンバーの姿に圧倒されました。自分の足りない部分が見えた気がします。自分はもっと物事を突き詰めて考え、こだわりを持って続けられるように、芯を持って活動しないといけないと考えるようになりました。ミチシロカは、ワンランク上にさらに成長するきっかけをくれた5日間だったと思います。

彼独特の表現で、自分自身の状況を「ワンランク上のこじらせに到達した(笑)」と表現した。たしかに、彼がこれまで過保護に育てられ、半分投げやりになって大学へ進学し生まれ変わってきたことを聞くと、「こじらせ」という表現が合っているかもしれない。

しかし同時に思うのは、その「こじらせ」こそが、彼の強さであり、これまで成長してきた証であるということ。

彼は、ミチシロカで得られた経験をどのように人生に活かしていきたいのかーー

大学に入ってから色々な経験をさせてもらい、自分のやりたいことが色々と見えてきましたが、まだ自分の中で軸を持ってこれをしたい、と言えるものは決まっていません。

ただ、一つ言えるのは、地域・田舎が好きだということ。地元である関東、都会の良さも知っている一方、地域の魅力の虜にもなっているので、できれば一つの場所に縛られず、地域と都会など多拠点で生活できるようになりたいと思います。そのためには、独立してでも働ける、軸を持ってどこでもやっていける、という仕事をもって生活したいと漠然と考えています。

彼は、まだ見たことない新しい道(未知)へと歩み始めた。


編集後記

畑田さんは、面談時やプロジェクト初日から、5日間で大きく成長したメンバーの一人です。学生同士で積極的にコミュニケーションをとり、自分の考えやアイデアをメンバー同士でぶつけることで、化学反応を起こしてくれました。
彼自身は、ミチシロカでの5日間を“モヤモヤが多かった経験”と表現していましたが、そのモヤモヤこそが成長する伸びしろであると考えています。
そして、彼が冊子制作時のインタビューで「学生のうちにミチシロカを経験できてよかった」と言ってくれたことが事務局メンバーとしてミチシロカを立ち上げてよかったと心から思えた出来事であったこともここでお伝えしたいと思います。

生まれ変わった畑田さんとともにミチシロカも成長していきたいと思います!これからもよろしくお願いします!

最後にお知らせです:ミチシロカの体験レポート配布中!

ミチシロカの活動をまとめた冊子が完成しました。今後の地域活性化や地域連携活動・大学との連携活動などのご参考になる冊子で、ご希望の自治体様・教育機関様等に無料でご送付いたします。

ご希望の方は下記の連絡先までご連絡ください。

中央コンピューターサービス株式会社
生涯学習事業部
担当:入交(いりまじり)
電話:050-3614-1115
Mail:michishiloca@ccs1981.jp
URL:https://www.ccs1981.jp/

ミチシロカについてはこちらのnoteをご覧ください。

発起人インタビューも公開中です!

真狩村プロジェクトに参加した学生インタビューはこちら!


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