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「ミチシロカの力で、真狩村の魅力を掘り起こす」 開催自治体インタビュー(真狩村役場 企画情報課・田中秀昌さん)
「ミチシロカ」のnote編集担当です。
北海道内で地域貢献・地域活性化に寄与する体験型教育プログラムとして2022年夏に初めて開催した「ミチシロカ」。
2023年2月13日〜17日の5日間、「ミチシロカ in 真狩村」が開催されました。
真狩村は昨年夏に続き、2度目の開催。真狩村は、北海道の中でも冬になると豪雪地帯になり、夏と冬では大きく景色が様変わりします。
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今回のnoteでは、ミチシロカの夏・冬の連続開催の地となった真狩村の職員の方に、ミチシロカ、そして、まちづくりへの想いについて語ってもらいました。
語り手は、真狩村役場の企画情報課の企画情報係長である田中秀昌さん。
「正直あれほどの熱意をもった学生たちが来てくれるとは想像していなかったーー」
ミチシロカの学生が本気で過ごした5日間を、役場の方々はどのように見ていたのか、そもそもなぜ真狩村でミチシロカが開催されることとなったのか、田中さんの想いを紐解きながら振り返っていただきました。
「何もできずに過ごした3年。そして仕事のやり方を見出し充実した3年」だった民間企業時代の経験
田中さんは、北海道倶知安町出身。幼少期から大学、さらには、社会人になるまで一貫して道内で過ごす。
彼は、真狩村役場に入庁する前は、民間企業で働いていた。
働いていた会社は、中央コンピューターサービス(以下、CCS)。ミチシロカを主催・運営しているIT企業に7年間在籍していたのだ。
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CCSに入社する前、私は北海道江別市にある情報大学に通っていました。
大学ではメディアデザインを学び、CGを作ったり、モーションキャプチャを作ったりしていて、できれば将来は自分でつくったものを表現する仕事に就きたいと考えるようになりました。なので、就職活動では広告代理店を中心にエントリーしていました。しかし、結果は最終面接までいくものの、落選。さらに、同時期に家庭の事情で、就職活動も一時中断してしまい、にっちもさっちもいかなくなってしまいました。
そんなある日、たまたま後志にある実家に、CCSの採用募集案内が届いたのです。CCSでちょうど後志営業所が開設されたタイミングでした。
CCSは、主に行政(自治体)向けのシステムを扱うITの会社。学生にとって、“行政システム”と言われても、どんなことをしている会社なのかもわからないまま「とりあえず採用面接受けてみよう」という軽い気持ちでエントリーしたのを覚えています。
面接を何度か受けていく中で、当時の後志営業所の所長と谷田部長(現・CCS代表取締役社長)とお話する機会がありました。
谷田部長からは「行政システムって言ってもわからないよね〜」と寛容に受け止めてくれて、そこでCCSが取り組む事業について教えてもらいました。そこで、ITを活用して地域に貢献することの面白さを知り、前向きに捉えるようになりました。
CCSに就職が決まり、後志営業所の営業職に配属となってから、最初の3年間はほとんど何もできなかった、と彼は語る。
CCSには7年間在籍しましたが、新卒からの3年間はほとんど何もできなかったんです。入社1年目、仕事も覚えられなかったし、仕事もなかった。成績も振るわず、スキルも身につかず、定時の17時半までの時間がとてつもなく長く感じて…。社会人生活ってこんなに辛いものなのかと悩みまくりました。
今振り返ると、最初の3年間は無我夢中に営業の仕事をしていく中で「お客様のニーズを聞く力」が圧倒的に足りなかった。
営業なんだから提案しないといけないんだ。そんな気持ちが空回りして、押し付けるだけの営業になってしまっていました。
仕事への向き合い方の転換点となったのは、入社から4年目の26歳になった年。後志営業所の所長が現在の中村所長となり、ミチシロカ発起人である川端さんとも仕事を共にするようになったタイミングだった。
中村所長は元々CE(カスタマーエンジニア)でしたが、お客様の本音を引き出す能力に長けている方でした。「お客様が本質的に求めているものを聞けるようにならないと、お客様に合っているものを提供できないよね」という当たり前のことをしっかりと理解するようになりました。
川端さんには、研修やOJTなどを通じて、様々な視点で物事を考えることを教えてもらいました。
上司が変わって、仕事の仕方も変わった。自分なりに考えるヒントをもらって、そこからお客様が何を求めているかをしっかりと考えられるようになった。
自治体のホームページ制作のディレクションや学校のPC教室の整備などをやっていくなかで、学生の頃に抱いていた「自分で作ったものを表現する」ことが、行政の仕事でもできるようになったのです。自分が関わったことが形となる。かなり充実感を得られるようになりました。
実際に、自分の母校や自分の子どもが通っている学校のPC教室を整備して、知っている子どもたちが使ってくれていることをみて、達成感がありました。
悩みに悩んだ、真狩村役場への転職
充実した仕事をしていくなかで、人生の転機が訪れる。
社会人8年目に、元々お客様であった真狩村役場へ入庁(転職)を決めた。
ちょうど仕事がうまくいき始めていた頃、自治体業界ではマイナンバーが導入されるタイミングで、自治体の方々からちょこちょこ声がかかるようになりました。
自治体にとってマイナンバーを導入することは行政システム全体に大きな影響がありました。後志管内の自治体は規模が小さいこともあり情報システム専門の人材も限られており、行政システムがわかっていて、かつ、自分の町のことを理解できる人材が必要とされていたのです。
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複数の自治体から必要とされていることが大変光栄でした。CCSの上司や先輩方から怒られながら、褒められながら、鍛えてもらったおかげです。
家庭のこと、キャリアのこと、そしてCCSのこと。様々なことを悩みに悩んで、最終的には自分の地元でもある後志エリアの真狩村役場への転職を決意しました。
真狩村は、私自身が営業している当時から、すごく役場全体が和気あいあいで雰囲気がよかったです。組織規模が比較的小さいことも、自分が考えていること、やりたいことを実現しやすいのではないかとイメージしやすかったです。
これまでは、CCSとして提案して採用してもらうことでしか住民サービスの提供をすることはできなかった。それが自治体の立場になることで、自分が企画したことに賛同してくれるパートナー(企業)を選んで、住民により良いサービスを提供することができるーー。
自分のイメージを実現できる環境として真狩村役場で働くことを決断しました。
「人口2,000人を維持する」という至上命題。ミチシロカの力で真狩村の魅力を引き出す
現在、企画情報課の企画情報係として、真狩村の魅力を引き出し、関係人口を増やすための企画の立案と実施をメインで担当している。
真狩村は、2014年に日本創成会議が発表した「消滅可能性都市」にもリストアップされるなど、他の自治体と同様に、人口減少が課題となっています。
高度経済成長期に地方から都市部への人口移動が進むなか、真狩村においても人口流出が進み、その結果、1955(昭和30)年の5,567人をピークに減少が急激に進み、1975(昭和50)年には3,197人となり、ピーク時の6割以下となりました。
その後、減少のスピードは緩やかになりましたが、減少傾向が継続し、2015(平成27年)には2,103人となり、人口の規模は、ピーク時の4割程度となっています。
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日本全国で少子高齢化が叫ばれているなかで、真狩村においても人口の自然増減(出生数・死亡数の増減)では「自然減」は拡大する傾向にありますが、社会増減(転入出など)については、2016(平成28)年から3年間は転入超過が続くなど「社会減」が縮小傾向にあります。
比較的若い世代の転入が増えるなど、人口減少の抑制につながる傾向も見られますが、村の分析によると、今後も人口が減少する傾向は変わらず、真狩村が目指す人口ビジョンとの隔たりは徐々に拡がっていくと推計されています。
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企画情報課の係長として、現在村長とも密接に関わりながら仕事をしていますが、村長から言われている命題は「人口2千人をキープする」ということ。日本全体で人口が減っていく中で、真狩村として人口をいかにキープするか。そのために、企画情報課としてありとあらゆる対策や施策を考えなければなりません。
その中で重要なポイントが、「関係人口の母数を増やす」です。
関係人口とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。
特に地方圏においては、人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面していますが、地域によっては若者を中心に、変化を生み出す人材が地域に入り始めており、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待されています。
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色々な取り組みを検討している中で、別の用件でCCSの川端さんが来庁された際に、ミチシロカのベースとなる構想についてお話をお伺いしました。
私自身、移住定住も含めた関係人口をどう作っていくのか、若者たちをどう村に呼び込んでいくかを考えていく中で「大学との連携・コネクション」をどう構築していくかを考えていたタイミングでした。
村としては、関係人口の創出事業を別でも企画していました。大学連携を検討していた意図として、村外の若者たちが、外からの新鮮な視点で、村の魅力を引き出す役割を担うことができるのではないか、ということ。
村外・道外から来た若者が、真狩村の魅力に現地で触れることでファンになってくれるか。魅力を引き出してくれるか。そういうトライアルができないかと考えていたことをCCSに相談しながら、ミチシロカがやろうとしていることが合致し、2022年夏、PoC(概念実証)として真狩村での開催が決定しました。
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学生の姿勢とアイデアが、村全体を前進させるきっかけに
ミチシロカは、2022年8月、2023年2月と夏冬の連続で真狩村でおこなわれた。もともとは夏のみのPoC開催であったが、なぜ連続開催となったのだろうかーー。
2022年8月、6人の学生が真狩村にお越しいただき、ミチシロカ第1回が開催されました。ミチシロカとしても、真狩村としても、こういった取り組みは初めてだったため、期待と同時に不安もたくさんでしたが、結果的には大成功でした。
参加してくれた学生のレベルが非常に高く、かつ、熱意のある学生であったことが嬉しい誤算でした。5日間という短い滞在期間でも、有意義な時間を過ごしてもらい、最終日には非常に熱意のこもった提案が村長をはじめとした職員の心に刺さりました。提案内容も斬新でありながらも現実として実行できるアイデアでした。特に、閉校予定の御保内小学校の校舎利活用のアイデアは、実際に私たちが考えなければいけなかったことでした。
そして、夏の陣で考えてもらったアイデアをよりブラッシュアップしてもらいたい、さらに、豪雪地帯である冬の真狩村を肌で感じてもらいたいと考え、冬にもう一度来てほしいということになりました。
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真狩村での冬開催にあたり、学生たちは毎週打ち合わせを行い、途中、田中さんにも打ち合わせに参加してもらうなど、さらに活発なフィールドワークとなった。
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事前の打ち合わせや現地での会議も参加しましたが、自分が大学生の頃では考えられなかったような活発な意見交換がなされていました。私にも具体的でクリティカルな質問や意見がびしびし入ってきて、プレッシャーを感じていました。(笑)
真狩村にきた5日間で住民に耳を傾け、現場に足を運び、真狩村が持つ地域の魅力と課題を、提案の中に細かく組み込んでいただけました。
御保内小学校の活用について、これから具体的に検討していくことになりますが、提案の中でも、これからも学生のみなさんが真狩村に関わっていただけるということもお話いただいたので、ぜひ今後も一緒に真狩村の未来について一緒に考えていきたいと考えています。
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真狩村の関係人口を増やすプロジェクトは、まだ道半ばである。ただ、そのなかでもミチシロカはよいモデルケースになると考えている。
企画情報の担当になって2年目ですが、まだまだ成果や成功した感触は正直に言って全然ありません。ただし、ありがたいことにミチシロカのPoC事業をはじめとして、少しずつ関係人口が増えていく芽が出始めていることは事実です。これから色々とやろうとしていることがあるなかで、最終的に結果として結びつけられたらと考えています。
村内にも、飲食店や事業者が増えてきています。そして、なんといっても羊蹄山が見える景色は他のどこにも負けない魅力です。そういった魅力プラスアルファで、ミチシロカで学生からの視点で得られたアイデアやエッセンスを活かしていくことが私の役割であると考えています。
学生のみなさんにとっては、真狩村で本気でまちづくりのことを考える原体験として貴重な機会だと思います。ミチシロカは「失敗できる経験」というコンセプトですので、大いに好きなことを言ってもらいたい、そういう機会であってほしいと願っています。
これからもミチシロカとともに村の発展に貢献していければと思います。
田中さんの真狩村での挑戦はこれからも続いていく。
最後にお知らせです:ミチシロカの体験レポート配布中!
ミチシロカの活動をまとめた冊子が完成しました。今後の地域活性化や地域連携活動・大学との連携活動などのご参考になる冊子で、ご希望の自治体様・教育機関様等に無料でご送付いたします。
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ご希望の方は下記の連絡先までご連絡ください。
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