入院中に「龍の歯医者」を観た話。

入院中に「龍の歯医者」を観ました。
最初に断っておくと、これは考察なんてそんな大層なものではありません。いち個人の感想です。読書感想文ならぬ、アニメ感想文。笑

アニメ以外の媒体で情報摂取をしてないので、モリモリの設定を私の頭はうまく飲み込んでくれませんでした。無念。
だから、私はなんでそう感じたのかなーという、「感じた」ことだけを書きまーす。

面白かったけど1度目は視聴後、もやもやしました。
退院してからもう1度観たらそれがなんでか分かりました。
でも、見直した今は嫌な感じはありません。

龍の歯医者たちは皆、自分からここに来たけど、それでも龍に選ばれてここにいるよねと私は思う。だって野ノ子が試験を受けた時、落ちた人の方が多かった。

死ぬことを受け入れている歯医者たちのことを、なんでだ!とベルに言われてる野ノ子と一緒に、だってみんないつか死ぬんだよ??と私も観ながら感じていたんだなー。

一日一日を大事に生きていくこと。白いご飯を食べられること。これが野ノ子の大事なこと。
野ノ子にとっての大事なものとベルにとっての大事なものは最後まで噛み合わない。ベルにとって大事なものは最終的には野ノ子だったように見えたけど、野ノ子はベルが大事でもありながら、積み重ねる毎日がやっぱり大事だったんじゃないかなあ。ベルと野ノ子は価値観が違いすぎて、ぶつかる度に野ノ子は「誰だって死ぬよ」「生きるって長生きすることが目的なの?」と「死」を受け入れて当たり前のように今を生きていた。

これね、病院で視聴してたから余計にそう感じたんだと思うんです。
いいとか悪いとかじゃなくて、私みたいに本当に死ぬところまで追い詰められても鬱にもならずケロリとしている人は、ガン病棟でも自分以外に見つかりませんでした。看護師さんやお医者さんにも癌宣告されてこんな明るい人そうはいないと言われました。私は病院でも、悪い意味じゃないけど浮いていた。龍の歯医者になれる人は限られていて、その理由が自分の運命を受け入れられるかどうかだったのが、自分に重なったのかも知れない。歯医者たちはみんな一生懸命に生きた結果死んだのであって、自ら死んだわけでも諦めたわけでもないんだよね。知ってただけ。そういう人って実はちょこちょこいると思う。私は乗り越えてしまったから死ななかったけど。
病院で同じ病気の人に、「絶対長生きしようね」と涙ながらに言われる度に私は何も言えなくて苦笑いをするしかなかったんだよなあ。彼女が長生きしたいならぜひしてほしい。でも、私は長いかどうかより満足度が大切なんです。
野ノ子の、生きるって長生きすることが目的なの?というセリフ。
これは龍の歯医者を見る前から、入院する前から私が世の中に対して思っていたことだったから、最後、野ノ子自身が受け入れていた運命を変えたベルにもやもやしてしまったのかも。
でもベルはベルで、彼がしたいようにしていただけなんだ。

ちょっと話が逸れるんですが、私が入院していた部屋は小児病棟と近かったので、毎日子どもたちのわらいごえとかはしゃぎ声がきこえてきて楽しかったけど、泣き叫ぶのもきこえてました。
その中で、おそらく小学校高学年ぐらいの男の子が、「もう無理だよ!殺してよ!命って楽しむためにあるんでしょ!!もう耐えられないよ、でも誰も死んでいいって言ってくれない!自分だって家族に会えなくなるのも悲しませるのも嫌だけどもう限界だ!!死なせてくれない!!みんな敵だ!!」って泣き叫んでる声がきこえてきたことがありました。
もし私がその子と認識があったら、その子のところに駆けつけて「殺してはあげられないけどそんなに苦しいなら死んだっていいよ!!」と言ってあげたかったです。彼の叫び声は悲痛でした。
小学校高学年にもなってくると、お金がかかることも親が大変だということも見えてくる。他の兄弟と親がいる時間を自分が奪っているというふうにも考えてしまうだろう。
命は楽しむためにあるなんて、普通(って何か分からないけど)の小学生から出てこない言葉を叫ぶ少年に、味方がここにいる!と出ていけない自分が悔しくて涙が零れました。

自殺してしまう人の中で、手を差し伸べたら捕まってくれるのならば、助けたいという気持ちはあるけど、それは助けを求めている人に対してだけ有効で、それを必要としていない場合、もう誰にも止められない。

長く生きるのって、そんなに大事なんですか?息さえしてりゃいいの?
せめて、殺せないけど死んでもいいよ。それぐらい辛いんだよなあ。頑張ったな、死ねるよって言ってやってくれよ。医者は言えないだろうけど、家族ーー!!!!!

話を龍の歯医者に戻します。

柴名もベルも野ノ子もブランコもみんな、死生観が違う。それは当たり前で、どれが間違っているとか正しいとかはなくて、ただそれぞれ違うってことです。

私は龍の歯医者たち寄りの死生観なので、長生きをすることが生きる目的ではないです。でも痛いのや苦しい、辛いのは嫌だから眠るように死にたい。死ぬということはただ私がこの肉体を通しての役割が終わっただけだから、私は私の死を受け入れます。
眠るように死ぬというのが叶うなら今死んでも別にいいや。私はひとりでも生きていけるので大事な人たちよりも先に死にたいです。

柴名は竹本さんを忘れられなかっただけじゃなく、これ以上自分の大事な人たちを殺す「龍の歯医者」という職業を殺したかったようにもみえたし(修三死んだけどさ……)、死という1度限りの最後で最初の大冒険が、人によって感じ方考え方違うのなんて当たり前なんだよなあってのが私の感じたことでした。価値観自体に正義や悪はない。
死ぬ前にベルが野ノ子のことを「ぼくの龍の歯医者」というのは、龍の歯医者として死を受け入れて強く生きる野ノ子も含めて彼女を受け入れられたのかなあとか。

ところで、ブランコは死ぬことが受け入れられなさ過ぎてああなっちゃったのかなってみえるんだけどどうなのだろう。あの人は永遠の命が欲しそうにみえた。

自分だったら龍の歯医者になれるかどうか、誰が1番自分に近いかな遠いかななんて感じながら見てみるのも面白いかもしれないなと思いますよー。

龍の歯医者になれるかどうかは、運命を受け入れられるかどうかっていうのは、龍が、私に命を預けられるかってきいてんのかな?

病院で見ていたからどうしてもそちらに引っ張られてしまいました。
アニメーションならではの動きとかよかったんだけど、私はこれからもこのアニメを見ると、あの男の子の叫び声を思い出してしまうんだろうなというのが正直なところです。

あと、戦争はほんと嫌だ。戦争についてはそれだけだっっ!!

疲れたから終わるね!

#龍の歯医者 #感想 #アニメ #癌 #入院 #戦争

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