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推しさんはわたしのものだから(週報_2019_05_12)

とても、機嫌が、わるいです。

推しさんのライブがあった。
推しさんは1年に平均して60ステージくらいのライブをするのだけれど、その中でも1番くらいに楽しみにしている主催のステージだった。

毎年、リハーサルの入りは15時。
14時に会場の前に行き、駅まで戻り、4時間待った。
会えなかった。

中が見聞きできない箱での入り待ちは沼だ。
もう現場に入っているのか、まだ入っていないのか。
確認できない状態で1時間も待ってしまうと、引き際がわからなくなる。
2時間なんてあっと言う間に過ぎて、3時間を過ぎる頃にようやく、これはもう入っているな、と今度はリハが終わって食事に出るところを狙うようになる。
結局、その日は食事に出る様子にすら遭遇できなかった。

ライブは最高だった。
そりゃそうだ、年に1度の一番楽しみなライブだったんだから。
数日前に推しさんがエゴサをするときに気付くよう仕込んだ私からのリクエストも、私にだけわかる形で叶えられた。



そして出待ち。
推しさんのファンの中では暗黙の了解で、推しさんが立ち去る瞬間、最後に声掛けをするのは私ということになっている。
(というか多分みんな少しお話さえできれば別に最後じゃなくていいので圧の凄い私に譲ってくれている)

「推しさん!!!!!!」
「推しさん!!!!!!」

…私と同時に推しさんに声を掛けた人物がいた。
驚いて振り返る私。
今年になって推しさんのファンになった女の子。
しまった、という顔をしていた。
私は推しさんといつでも喋れるので、被ったときには人に譲ることにしていて、彼女が声を掛けられるように「どうぞ」と言ったが気まずそうに微笑むばかりで推しさんに何かを言うことはなかった。

推しさんはいつもの私の掛け声が飛んでくるのを待って笑顔でこちらを見ている。
階段下では青くなった彼女と、赤くなった私がだんまりを決め込んでいて、なんともいえない後味の悪い空気が漂っていた。



同担拒否、という言葉がある。
もともとはグループ内で自分の推しているメンバーと、同じメンバーを推しているファンの人とはお付き合いを遠慮したいですよ、という意味合いだが、最近ではグループに限らず同じ推しを持つファン同士で普通に使われる。

自分のことを同担拒否だと思ったことはなかった。
私のことをブロックしている古参のファンに対してもそこまでの気持ちはない。
私は推しさんの彼女になりたいわけではないし、私が推しさんを好きなことと同担が推しさんが好きなことは同時に成立すると思っていた。



本当は私、この苛立ちの原因を知っている。
彼女が、関係者だからだ。
彼女は推しさんと共演しているシンガーの親族で、ライブには招待で無料で入っていて、更に言うならライブ後の楽屋訪問もしている。

それをずるい!とか言うつもりはない。
仮に誘われたって(ないけど)私は楽屋を訪れる気はない。
人に見られっぱなしのステージが終わり、寛いでいるところにファンが入ってくるなんて、推しさんが休まる暇がない。
そして、その線引きを侵さない私のことを推しさんは信頼してくれていると、信じている。

ファンを名乗るなら、もう関係者顔で楽屋に入るのはダメだと思う。
もしくは、関係者としての恩恵を享受するのなら、現場ではしゃしゃり出てこないで欲しい。

私にとって推しさんはこの世界で唯一、好きだと一方的に投げかけていい相手だ。
よっぽどのことがない限り、好きと言ったらありがとうと言ってくれる偶像だ。
そしてこれは恋と違って、頑張れば頑張っただけ(ある程度)評価をされる、従量制の愛なのだ。
最高だ、これが恋愛だったらあり得ないことだ。

おしゃれなランチもお泊まりディズニーも可愛いワンピースも月イチ美容院も綺麗なネイルも全て諦めて推しさんを追いかけている私の、邪魔を、しないでよ。
たった30秒「今日頑張ってね」と言うためだけに4時間立ったまま待っている私の気持ちを簡単に飛び越えていかないで。
(どうせやるなら殺す気でかかってこい、もし殺されるとしてもその前に腕の一本くらいへし折ってやるからな、と書いたけど消しました)(消してないし)



そんなもやもやを抱えたまま寝て起きたら全身にびっしり蕁麻疹が出ていた。
中身の醜さを見た目で判別できるように印をつけられたような気分だな、と蕁麻疹をぼりぼり掻きながらヨーグルトを食べた、っていうのは嘘です。
今noteでヨーグルトのある食卓っていうコンテストやってるからそう書いたら体裁が整うかと思ったけど、なんか青汁のCMみたいになった。

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