生活という焦燥(週報_2019_04_29)
土曜も日曜も気絶のように寝落ちして、月曜日の週報。
1ヶ月分くらいのタスクをこなした1週間。
たくさん人に会ったな。
お母さんでしょ、妹でしょ、妹の子供、あしながおじさん、飲み屋の人、不動産ヤ○ザ、あとnoteで知り合った人も何人か。
不思議とあちらから次々にアポイントが来るので、来るもの拒まず、朝昼晩の中で空いてるところにぶち込んでいった結果、そうか、眠る時間を入れるのを忘れていた。
食欲は誰かと会いながらも同時進行で満たせるけれど、睡眠欲は満たせるわけがなく。
「一緒に飲みに行きたいって思われる存在でいることはいいことだよね」
なんてあしながおじさんが言うものだから、寝る間を惜しんで『飲みに行きたいと思われる存在の私』を作り上げた。
帰り道はいつも口をぽっかり空けて電車の中で眠り、自宅までの道のりをいつもの倍以上の回数往復したのに、遠いも辛いも記憶すらない。
帰って仮眠してまたすぐ出かけるから家の中は定位置を忘れたモノたちで溢れ返っている。
ゴミの収集日も何回逃しただろう、山積みになった洗濯物の天地を返して少しでもマシなタイツを探す。
病院からも呼び出しがかかり、急遽2回も行った。
妹がいて、母がいて、当たり前だけど2人は私のことを本当の名前で呼ぶから、私がミチルとして『飲みに行きたいと思われる存在の私』を作り上げたとしても、そんなのおかまいなしに作ったそばから叩き壊されていく。
「・・・ちゃん、それなあに?」
本当のみちる、妹の子供が私のスマホカバーを指差してにこにこ笑う。
ナントカっていうキャラクターだよ?可愛いでしょ?と言うと私もにこにこと笑う。
・・・ちゃんの持ち物が可愛いからみっちゃんは・・・ちゃんが大好きなんだよね、と妹が言うので、じゃあ今度ミシンで何か作ってあげるよ、と約束をする。
名前の使用料だよ、と心の中で呟く。
あと、可愛いものが持ちたくても持てなかった子供の頃の自分へのお供え物かもしれないね。
合間合間にパステルカラーのレース、フリル、リボン。
フルーツ・スイーツ・ユニコーン柄の布地を選んではデザインを描く。
生クリームを直接口に搾り出したような、暴力的な甘さの何かを作ろう。
不動産ヤ○ザの誘いをついに回避できなくなり、2人っきりで会うことになったので『実は一緒に暮らしてる彼氏がいます』というしょうもない嘘をついた。
とっさに考えたしょうもない嘘のわりに効果が絶大で、そこからヤ○ザは泊まりに来れば、とか、体温のある誘いをしてこなくなりほっとした。
その話の延長線上で、私の職歴(アルバイトから入り上場企業の管理職になったこと)を話すと、そちらの方に興味が移ったようで、翌日からヤ○ザのLINEは鳴りっぱなし。
新しい仕事の事業計画書の作成、ヤ○ザがお金を貸している不動産屋に客として潜り込んで欲しい、雑用という雑用が昼夜問わず飛び込んでくる。
接客の知識と経験を、どうかうちの社員にも授けてほしい、という。
そして遂に、まずは週1回アルバイトとして出勤してほしい、と。
ちょっと、待って、私はすごく、眠いんだけど…。
丁寧な暮らしとは真逆の乱雑な暮らしの中ではどんどん心が荒んでいくから、少し手の込んだものを作ろうとスパイスを数種類買ってきてジンジャーシロップを作った。
炭酸で割ったら自家製のジンジャーエールになる。
なるはず。
なるはず、なんだけど、毎日気絶したまま駅から歩いて帰るものだから、炭酸水を買うのを忘れ続けてもう1週間になる。
遂にシロップの中から生姜を取り出してボリボリ食べ始めた。
美味しいけどきっとジンジャーエールにしたらもっと美味しい。
ただ、風邪はひかなそう、とか考えながらボリボリ食べる。
家に着き、散らかった部屋のドアを開けると疲れがさらに掛け算で降りかかる。
布団に入るとなかなか眠れないくせに、眠ると今度は起きられなくなるから、ホットカーペットに毛布を持ち込んで床で寝る。
体温の上昇とともに眠りに落ちて、小一時間ほどで発汗とともに強制的に目が醒める。
ここ数日、暑くなったり寒くなったりを繰り返すから、これから夏になるのか冬になるのかよくわからなくなる。
起きたときも同じ、これから朝になるのか夜になるのか、よくわからなくなる。
ちゃんと人間の生活しなきゃな、掃除も洗濯も自炊も睡眠もほどほどにはしなきゃな。
1週間前にシロップを煮たときの鍋もまだ洗っていない。
でも家に帰ると八角とシナモンの甘ったるい香りが鼻腔をついて、それだけは少し、気に入ってるんだよね。