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下瀬ミチル
2020年6月12日 16:46
三月の初週に会ったきり、どちらからともなく、私とあしながおじさんは長い自粛期間に入った。言葉を交わす機会がなくなったことで、私の中では新人賞に落選した事実どころか、小説を書いて応募したことすら滲んで消えて、なくなってしまったかのようだった。それはほんの僅かに、ばつの悪い思いをした私にとって都合の良いことであった。私は書くことに対して、これといった夢も希望もない。毎度ご馳走を食べさせてく