
michinoxa 『かいはかいがらへ』に学ぶ界隈曲の作り方
Subscription:
初めて界隈曲を制作しましたが、思ったより界隈曲っぽくない作品になってしまいました。
本エントリでは 反省点と、それを踏まえた「界隈曲を作るコツ」を洗い出したいと思います。
はじめに
本エントリでは「界隈曲とは何か?」という説明はしません。
他の方が説明した記事や動画が多数ありますので、そちらをご参照ください。
界隈曲を作りたかった
目指すは『イワシがつちからはえてくるんだ』
界隈曲が好きで。
特に『イワシがつちからはえてくるんだ』(以下、イワシ)が大好きなんです。
イワシを目標として、
本作が目指した「界隈曲っぽさ」は以下の通りです。
サビに入るのが早い
イワシはなんと開始28秒で1番のサビに入ります。このことがイワシのキャッチーさ、ひいては中毒性を引き立てる要素になっていると言えるでしょう。
特徴的なサウンド
イワシはじめ、多くの界隈曲に共通して見られるサウンドの特徴を以下に挙げます。
ボーカルは重音テトUTAUもしくは唄音ウタ
分厚いコーラス
イワシでは6名のUTAUライブラリがコーラスを歌っていて、コーラスを聴くだけでコードが分かるくらい分厚いです。
アルペジオを元にしたキラキラした高音
イワシの1番サビの後で鳴っているやつですね。
大きめの音量でひたすら支え続けるSaw Bass
四つ打ちのKick
生音源ぽいパーカッションたち
草声ネム(MVの左端)とPumpking(MVの右端)が叩いている音
『クロマグロがとんでくる』でもポコポコ鳴ってますね
不思議ダウナー系の歌詞
界隈曲の歌詞といえば「あり得ないことがあたかも当然のように、淡々と描かれる(ときどき「ですます」調)」。
その中でもイワシの歌詞の特徴は『実はあんま何も起きてない』ということにあると思います。
あしたの ことは しっている
イワシが つちから はえてくるんだ
えきの ホームに あながあく
すのこが きえるんだ
きのうの きおくは きえたけど
きえたってことも よくわからないんだ
そらの うえから ビルがたつ
めが みえなくなってきた
「あしたイワシがつちからはえてくるんだろう」ということを淡々と綴っていて、今 劇的な不思議現象が起きているわけではないんです。目は見えなくなってきてるけど。
ドット絵のアニメーションMV
界隈曲といえば黒地に白四角。

ですが今回目指す姿をイワシと決めたので、
MVもイワシに倣い 背景ありに。
普段ほとんど絵を描かない自分ですが、このためにドット絵を始めました。

さあ!
満足いく界隈曲を作るぞー!!
あれ? でも界隈曲にしては・・・
さて、ここまで分析してから制作に着手しましたが、残念ながら界隈曲ど真ん中の楽曲にならず、
「michinoxaが界隈曲に寄せて作った曲」になってしまいました。
ここから原因を考察します。
コード進行が単純すぎる
こちらが拙作『かいはかいがらへ』のコード進行。

こちらが『イワシがつちからはえてくるんだ』のコード進行。

縮尺合ってる?
コード進行は2拍ごとを基本に構成する必要があります。
2拍ごとの進行で違和感ないものを作れなかったのは、自分の技量不足です。
メロディに開放感がありすぎる
今回、初めてボーカルにUTAUを迎えたので、「人間じゃない音域歌ってくれるやん!」と調子づいてしまい、ボーカルの音域が驚異の2オクターブ半超えしました。
また、音程が飛び飛びになってしまい。
こちらは『かいはかいがらへ』のサビのメロディ。

いっぽう、イワシのボーカルの音域は約1オクターブ半(A~hiD)となっており、実に人間らしい音域です。
そして見てください! このミミズがのたくったようなメロディライン。あんなにキャッチーな曲になる原理が理解できません。すごい。
こちらが『イワシがつちからはえてくるんだ』のサビのメロディ。


サビのメロディに隙間がない
イワシの場合 この特徴はほぼ見られないので、あまり気にしていなかったのですが…
界隈曲といえばサビのメロディの合間に入る対旋律。制作者の個性が出る要素でもあります。
『かいはかいがらへ』の場合、ずっと重音テトが歌い続け、その裏でずっと対旋律が鳴っているんです。
これをすると一気に界隈曲っぽくなくなります。

[まとめ] 界隈曲っぽくするポイント
作曲
早くサビに入る
コード進行は2拍ごとを基本とする
のたうちまわるようなメロディ
コーラスにコードを歌ってもらう
サビのメロディには隙間を作る
サビのメロディの隙間に、アルペジオを変形した対旋律を入れる
Kickは四つ打ちで
作詞
不思議ダウナー系の歌詞
サウンド選び
ボーカルは重音テトUTAUもしくは唄音ウタ
ベースはSaw Bassでしっかりと
生音源っぽいパーカッションを入れる
MV
ドット絵のアニメーションMV