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コミュ力より、まず技術
Audibleで読書。
鈴木忠平「嫌われた監督」。
おもしろいんだな、コレが。寝る前に聴いていると、かえって目が冴えてしまった。
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長くて短かった。世の中の「上司」にぜひ読んでいただきたい(笑)。おかしなビジネス書より役に立つ、きっと。
つまるところ、ベタなコミュニケーションよりもまずはちゃんと技術磨けや!ってことなんだろうけど、それを貫けば貫くほど、結果が出れば出るほど自身は孤立してしまう。どうするよ、この矛盾。落合本人は、それを気にしていないように見える。気にしていないふりをする。きっと趣味である映画鑑賞で癒してるんだろうな。
選手は「落合の謎」にふりまわされて困惑しつつ、謎解きしながらレベルアップする。「どういうこと?」でとまってしまう人よりも、謎はとりあえず横に置いて(あるいは考えつつも)「言うとおりにしてみよう」とチャレンジする人が勝つ。この点は私に欠けているところ。納得しないと進めない、ではいかんのだ。
チャレンジする過程で、選手はスポーツ文化的に脱皮していく。俯瞰の視点だ。自分のスキルの設計、人生の設計、今日明日のことではなくてずっと先を見据えて動けるようになっていく。そこが「落合の謎」の基本じゃないのかなあ。落合の落合たる所以。
さらに、この本には、中日番の記者として著者がどんどん成長していくおもしろさがある。スポーツ紙的紋切り型の表現が多いけれど、語彙選び、「落合を書く難しさ」がかえって浮かび上がる。
落合を「人間」に置き換えてもいい。人間を描く難しさ。どのライターにも当てはまる課題だろう。著者の挑戦は、だからこそ、ライターを生業にしている私にボールを投げかける。ちゃんと人間見てるか?って。ウワサで「著者は落合家、出禁になったらしい」と聞いたけれども、それは核心をついたからだ。ある意味、勲章だと思う。
スポーツジャーナリズムのおもしろさに気づいたのも学びの一つ。野球を知らなくても楽しめるよ。
ってことで、落合博満「采配」を古本で買うたがな。