お昼ご飯。「ぼくはトンカツで!」

ぼくの通っていた高校で行われた鎌倉遠足。

大して仲良くもない、けど、別に挨拶程度は普通に軽くできる仲って程度のクラスメイト6人とお寺なんかを巡ったその日のお昼ご飯。

「お昼どうする?何食べたい?」

そうみんなに尋ねてくれた子に、
ぼくは真っ先に真っ直ぐ答えた。

「トンカツ食べたい!!」

うん。お蕎麦な気分ではなかった。鎌倉名物は興味ない。
ぼくはその時、ただトンカツを食べたい気分だったのだ。
訳もなく、理由もなく、大好物!ってことでもなくてね。

けど、それを聞いて驚く一人の男子。

「えーーー!!トンカツなんて食べるの!!??めっちゃサラダとか、そんなのしか食べないと思ってた!!!!」

・・・はて?
何故にそのように思ったのだ?君は?

「え?なんで?普通に食べるよ?うん??とにかく今はトンカツ食べたい!」

すごくすごーく腑に落ちない様子の彼はさておき。
他のみんなは特に希望はなかったようで、ぼくの希望トンカツメニューのあるお店を探してくれた。

ちょいと探すのに手間取ったかな。確か。
でも、見つけられたお店に入ってメニューを眺める他の面々。

明らかに『学校行事でやってきた学生たち』であると認識した店主は「うちのオススメは『○○丼』だよ。みんなそれを頼むよ〜』と、教えてくれた。

で、
「じゃ、それを」と注文するみんな…

「ほい。じゃ『○○丼』、6つね!」。

・・・「あっ!(ちょちょちょ待ていぃぃ!!)ぼくはトンカツでお願いします!!」

「えっ?『○○丼』じゃなくて?トンカツ?」。

「はい!トンカツです!トンカツ食べたかったので!」。

「ん?みんなは『○○丼』だけど、トンカツでいいの?」。

「はい!ぼくはトンカツが食べたいのでトンカツにしてください‼︎」。

何故、
すんなりトンカツというオーダーが受け付けられなかったのか…はよくわからないけど、まぁいいや。やっとトンカツが食べられるぞー

と、ワクワク待つぼく。

そして、例の男子といえば、

『本当にトンカツ注文するんだー』

と、なんでか関心そうなご様子。

さてさて、そうこうするうちにやってきたみんなの『○○丼』。
どうやらぼくのトンカツは最後らしい。

注文の品が来たのだから、先に食べてなよーとみんなに声をかけ、
ひとりトンカツが来るのを待っているぼく。

ふんふんふん♪

おぉ!!ようやく、ぼくのトンカツが来たー!!!!

いただきまーす!サクッ!おお、これぞ、ぼくが食べたかったトンカツだー!!最近食べてなかったから食べたかったんだよねー!美味しい✨

いやーやはり、周りに流されることなく、自らの食べたい注文を貫いて正解であった。ふむふむ。

なんてことを思いながら、パクパク食べていたら、
やっぱり、あの男子が何故か、感動してた。ぼくの隣で。

「あぁぁ、、、本当に、トンカツ食べてるうぅぅ!」

。。。こいつはさっきから一体何なのだ?ぼくを一体なんだと思っているのやら。ぼくは珍種な生物じゃないぞ!やい!…まぁいいや。放っておこう。

******

それにしても、その男子が一体何をどう勘違いしていたのやら、未だにミステリーである。

まっ、当時のぼくは40kgちょっとの華奢な女子生徒だったから、
お肉なんか食べないだろうって勝手に思い込んでいたのかもね。

うん。人の固定観念、思い込みって、すごいよね

一見女子生徒だからって、女の子=お肉食べない、なんて存在じゃないからね。

うん、本当、色々と間違えないでいただきたいものだ。

ぼくはぼくなんだよ、そもそもが。はじめっから。
ぼくだって食べたかったさ、トンカツ。当時はね。

 それにしても、あの男子君は今頃どうしてるのかな〜

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