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新規事業のアイディエーションフェーズにおける「審査基準(ジャッジメント)」と「フォロー」のポイントとは

昨今、多くの大手企業で導入され、取り組まれている「新規事業提案制度」。制度を運営する中で多くの新規事業推進室や事務局の頭を悩ませるのが、初期フェーズにおける事業アイデアの「ジャッジメント(審査基準)」「落選者へのフォロー」です。

本日は、新規事業担当者の悩みのタネのひとつである事業提案制度の「ジャッジメント(審査基準)」「落選者へのフォロー」について、数多くの成熟企業の事業創造に伴走してきたmichinaruの菊池が Q & A方式で回答します。

菊池 龍之 :michinaru株式会社 代表取締役/共同創業者

michinaru株式会社 代表取締役 / 共同創業者 菊池 龍之
1976年滋賀県出身。同志社大学卒業後、当時社員9名の人材系ベンチャー企業に就職。採用支援事業に従事しその後、留学生採用事業、教育研修事業など複数の事業立ち上げを経験。2011年株式会社コヨーテ設立し、独自の採用メソッドを全国の中小企業2,000社を超える企業に伝える。同時に自らも苦労した企業内事業創造メソッドを探求。2018年 Willから価値を生み出す新規事業創造プロジェクト「Hatch!」をプロデュース。 2020年 横山とともに「変化を起こす挑戦者を創る」をミッションにmichinaru株式会社を設立。多くの成熟企業の事業創造に伴走する。


Q1. アイディエーションフェーズの審査基準(ジャッジメント)はどのように設定するのが良いのか?

A1. 事業創造の初期フェーズであるアイディエーション期は、審査基準を高くしすぎないことがポイント。全体感を持ったステージ設計と各ステージでの審査基準を事前に定めておくことも大切です。

適切な審査基準というのは、事業アイデアを通した後に用意されているステージによっても異なります。例えば、次のステージで、予算も人も投下して、すぐに事業化をしたいと考える事業案や企業の場合は、ある一定の基準を設けておく必要があるでしょう。しかし、多くの成熟企業や事業推進室が抱える悩みは、筋の良いアイデアがすぐには生まれてこないということです。

アイディエーションフェーズにおいては、基準を高く設けすぎず、熱意あるアイデアを掬い上げる。事務局が一緒にアイデアを磨いていく。といったスタンスやマインドも重要になってくると思います。

Q2.熱意があっても審査を通過しなかった社員(アイデアの起案者)への結果通知やフォローの方法について教えてください。

A2.審査基準に基づいたフェアなフィードバックとともに、社員の熱意や思いを汲み取った事務局からのフォローが重要になるでしょう。

熱意があっても、会社の方針や注力したい市場、活用したい技術などさまざまな要件を踏まえて、落とさざるをえない事業案も出てくると思います。そんな場合、審査を通過しなかった社員がどうしたら「この事業案を磨いてもう一度チャレンジしてみよう」と思えるのか、といった視点での声かけやオプション提示が大切になるでしょう。

落選通知によって「うちの会社ではどうせ新規事業は実現できないのだな」と思わせてしまうのではなく、「この事業アイデアのここを磨けば、次に繋がるのか」といったポジティブな姿勢を持ってもらうためにはどうすれば良いのでしょうか?

そのためには、真摯に課題と向き合い、どういった点が提案した事業案には足りず、次までにどこを磨いてきて欲しいのか?具体的にフィードバックをしてあげてください。新規事業に対して想いのある社員は会社にとっても貴重な存在です。事務局からの熱意のあるフィードバックは、社員にとって再起のモチベーションになるでしょう。

Q3. 事業アイデアが通らなかった社員の想いや熱意を冷まさないためにどんな取り組みが有効でしょうか

A3. 社員の知的好奇心を刺激するような機会を定期的に作ることが重要です。

丁寧なフィードバックをした上で、落選してしまった社員が新規事業への想いを持ち続けるためには、知的好奇心を刺激されるような機会が定期的に必要です。

社内勉強会の開催、審査を通過した提案者の進捗共有、外部のピッチコンテストの情報発信など、さまざまなアプローチが考えられると思います。会社として、ブレスト大会やミートアップの機会を作ることも有効かもしれません。

その際に気をつけるべきは、あくまでも本人 Will (何を実現したいのか) を忘れないようにしてもらうことです。
会社としての期待をかけすぎてしまうと、本人のwill ではなく、会社としてのMust (使命)によって、新規事業に取り組まなくては。という気持ちになってしまいます。本人のWill を刺激し続けるような情報発信を心がけてみてください。

Q4.最後に新規事業の事業提案制度を企画・運営されている事務局のみなさんへメッセージをお願いします。

A4. 事業案の審査やそれに伴う落選を通知するなどの対応は、事務局の方にとっても苦渋の仕事かと思いますが、フィードバックの内容いかんで、提案者の人生が変わるようなインパクトを持っている重要な仕事であるという気持ちでぜひ取り組んでみてください。

私たちはmichinaruは、ボトムアップ型 事業創造 実現カンパニーとして、成熟企業の事業創造を挑戦者づくり・応援の土壌づくり・挑戦と応援が循環する仕掛けづくりとの観点から支援しています。成熟企業の新規事業創造に関するお悩みや課題感などありましたらいつでもお気軽にお問い合わせください。

当記事では、事業提案制度の「ジャッジメント(審査基準)」「落選者へのフォロー」に焦点を当て、メッセージを発信させていただきました。弊社では、新規事業の担当者の方に向けて、日々の活動のヒントになるような、セミナーも定期的に開催しております。

次回は 12月14日(木)12:00-13:00 (Zoom)にて「ミドルマネジャーを新規事業に巻き込むには 〜メンバーの挑戦を促す"イノベーションマネジャー"育成の秘訣〜」というテーマで開催します。新規事業を前に進める上もキーマンとなる管理職(ミドルマネージャー)をどのように巻き込んでいけば良いのか。ご参加お待ちしております。

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新規事業担当者の方に向けたお役立ち資料も、弊社ホームページにて無料配布しております。お気軽にダウンロードください。

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(著:michinaru株式会社 クライアントパートナー 若林)


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