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みんな「よかれと思って」言ってるのに、なんでモメるんだろう


今年度最初の仕事は「パートナーシップ佐久」さんでのワークショップです。

メンバーのみなさんに、大変にこやかにお迎えいただきました。

パートナーシップ佐久の皆さんのお悩みは、「会員それぞれの会の活動に対する認識と取り組み方が様々で、方向性がまとまらない」こと。
会長さんは「お互いの意見を聞き合いながら、目指すところが見えてくるといいなあ」とおっしゃいます。

お話を聞く中で、それぞれ会の活動に対する認識が様々であっても、会員のみなさん全員に「佐久市の中で問題となっていることを考えたい」という同じ思いがあるとわかりました。
ということは、パートナーシップ佐久に入会されているみなさん全員が一致する願いは「佐久市で暮らす人、男性も女性も、大人も子どもも、何らかの生きづらさを抱えている人も、みんなが幸せであるように」ということ。
では、そこから逆算して、「じゃあ私たちはどうしたらいい?」という対話をしていったらどうだろうと考えました。


対話ってなんでしょう

自分の価値観と相手の価値観相手の価値観をすり合わせることによって、新しい第三の価値観とでもいうべきものを作り上げることを目標としている

平田オリザ著『対話のレッスン』より


意見が分かれた時、話し合いをしても「討論」になるばかりで、なかなか「対話」になりません。
討論というと大抵「AかBかどちらかに決める」になってしまって、決まらなかった意見の人たちは不満を持ちます。
論破されたら腹も立ちますよね。
「もうこの人たちと一緒にはやれない!」なんてことも。

対話は「AとBの意見をすり合わせて、どちらの人も納得するCという結果を導き出す」ので、持続可能な組織のためには必要なことだと思います。

そこで、今回は「対話」の練習になるプログラムを考えました。
それが「桃太郎の進路」です。


桃太郎の進路

「ゲームクリエーターになりたい」と言い出した桃太郎におばあさんが大反対。
望むものが一致しない場合どのように話し合って納得解を導き出せばいいか練習してみよう!という演劇的手法を用いた対話のワークがこの『桃太郎の進路』です。
架空の設定が安心安全な場を作り出すので「こんなこと言ったらどう思われるか」心配する必要がありません。
どんなことを言っても、それはキャラクターとしての発言だからです。


みんな「桃太郎のためによかれと思って」発言するのにモメるんですよね。
現実でもよくある話です。
「お前のためを思って言ってるんだ!」って親に言われてムカついたことありませんか?

このワークの登場人物のひとり、桃太郎の隣の家に住む謎の大人「ユウさん」がこんなことを思っています。

「親に心配かけるようなことはするな」とかよく言うけど、それって親の都合だよね。子どものやりたいことより自分の安心を優先してるんだよ。

「親の心、子知らず」と言いますが、「子の心、親知らず」だったなと、私はこのプログラムを考えながら自分の子育てを反省しました。


さてさて、パートナーシップ佐久のみなさんは…というと、どのグループもとても熱心に取り組んでくださいました。

印象的だったのは、桃太郎役になったある女性の言葉です。

「私、桃太郎役なのに、おばあさんの気持ちに共感しちゃう」

そうなんです、このプログラムは対話だけでなく、他者理解やメタ認知の練習にもなるんです。
講義を聞いただけでは「なるほど」で終わってしまいますが、実際に自分でやってみるので体感を伴った理解になります。

会員の皆さんからは
「楽しかった」
「もっとたくさんの会員さんに聞いてほしい」

会長さんからは
「誰もが幸せに暮らせることを願うという点で皆さん納得され、そこに向けてどうしていくかという「対話」をしていくことの大切さを学ばせていただきました。
今日の学びを大切に、今年度の活動を始めていきたいと思います。」

との感想をいただきました。


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