なぜWebの文章は空白が多いのに、紙の文章は空白が少ないのか?
「なぜWebの文章は空白が多いのに、紙の文章は空白が少ないのか?」と大学生から質問を受けたことがあります。
紙は紙代がかかるから、空白部分を少なくして紙代を節約しているのかと思ったそうです。
これは、10代、20代の、生まれた頃からITに親しんできたデジタルネイティブ世代の意見です。
50代以上の人からは「なぜWebの文章は空白が多いのか?」と聞かれたことがあります。
Web上で調べてみても、若い人は紙を不思議に思っていますし、比較的年齢が高い人はWebを不思議に思っているようです。
ここで、先に疑問を解決しておきましょう。
Q「なぜWebの文章は空白が多いのに、紙の文章は空白が少ないのか?」
A「Webは視認性が悪いため、見やすくする必要があるからです」
0. 私のWeb人生
話を続けるにあたり簡単に自己紹介します。
私は2005年(25歳)の頃からブログをやっていました。
総務省によると当時のブログ開設者数は約335万人、国民の2.6%であり、少数派です。
SNSもスマートフォンもない時代でした。
仕事はWeb関係メインで生きてきました。
2007年~:Yahoo!関連ホームページ制作会社
(Webディレクター)2009年~:株式会社セリア
(Webマーケティング、ブランディング、広報担当)2014年~:ブライトシー株式会社
(Webコンサルティング、マーケティング支援)
今までの時代の移り変わりを見て来た少数派の私が、Webライティングの変遷を紹介した上で、具体的に改行や空白行をどう入れたらよいのかまで述べましょう。
Webの文章の変遷
Webライティング視認性向上のための4つのポイント
では、見ていきましょう!
1. Webの文章の変遷
1. 昔はWebも紙の書き方と同じだった
私の昔のブログを見ると紙の書き方とほぼ同じです。
段落ごとに改行ではなく、段落ごとに空白行を入れている点だけ紙の書き方と異なります。
改行なしで文が続き、文章の塊が大きいです。
愛読していた他の方のブログを思い返すと、私と同じような書き方だったと思います。
昔からあるWebページで、Webの文章の書き方を指南したものは、紙と同じようにすることをすすめています。
Webより前からあるのが紙なので、紙をお手本にし、字下げすることは当たり前だと指摘されています。
段落、改行の考え方も紙と同じです。
2. スマートフォンの台頭により視認性を重視するように
Webでは、「読みやすい」かどうか以前に「見える」かどうか。
もともとWebの文章はパソコンで閲覧されていたものですから、パソコンしかない時代には、人々は同じような画面を見ていました。
2008年にiPhone、2009年にAndroidが日本で発売され、2015年にかけてスマートフォン利用者が急増します。
佐々木裕一氏は『ソーシャルメディア四半世紀:情報資本主義に飲み込まれる時間とコンテンツ』のなかで、2015年頃に「スマートフォンのネット接続第一端末化」が起きたと述べられています。
「2015年に1回でもインターネットを利用した人は1億46万人」、パソコンを持っていない人でもスマートフォンはほとんど持っている時代になりました。
スマートフォンが普及するなか、従来どおりの紙媒体をお手本にした書き方では、不都合が生じるようになったのです。
どのような環境から閲覧しても見やすいように、自然と空白の多い文章が増えました。
改行や空白行を入れることによる空白です。
多くの人は、空白行の多いWeb記事を見慣れています。
改行や空白行がこまめに入れられていないWeb記事は、読み手にストレスを与えてしまいます。
視認性に配慮したほうがよいでしょう。
もちろん、記事を書いている目的によります。
2. Webライティング視認性向上のための4つのポイント
Webでは、書き手自身が絶えず視認性を考慮することが大事です。
読む以前の問題として見えなければ意味がないからです。
紙媒体の「段落」に触れてから、Webライティングの4つのポイントを説明していきます。
Webの「章」は紙の「段落」と同じだと思ってください。
1. 紙媒体の段落
1)段落の最初は1字下げる
2)意味の塊ごとに一つの段落として改行する
2. Webライティングの章
1)字下げしない
2)スマートフォンで見て3行〜5行になる場合は空白行を入れる
3)すべての文を改行する
4)意味の塊ごとに見出しを入れる
それでは、見ていきましょう!
1)字下げしない
Webライティングでは、段落の最初の1文字を下げる(字下げする、空白を入れる)ことをしません。
一部新聞等紙媒体のWeb版では字下げしているサイトもありますが、基本的には字下げしているサイトは少ない傾向にあります。
頭を揃えたほうが見やすいからです。
2)スマートフォンで見て3行〜5行になる場合は空白行を入れる
空白行がある場合とない場合について、画像で見てみましょう。
左が空白行なし、右が空白行ありです。
どちらが見やすいでしょうか?
右の空白行があるほうが見やすいですよね。
スマートフォンで見て5行を超えると、文章の塊が大きすぎ、ユーザにストレスを与えてしまいます。
極力空白行を入れましょう。
1文ごとに空白行を入れているサイトもあるくらいです。
紙媒体のように意味の塊ごとに一つの段落として改行することはせず、Webでは見やすさ重視で意味の塊関係なく空白行を入れます。
Webでは、空白の部分があるからこそ、どこを見たらよいのかが分かるのです。
PCよりもスマートフォンで閲覧される場合のほうが多い傾向にあります。
PCで見て読みやすくても、スマートフォンで見ると文字ばかりでどこを見ていいか分からないという現象が起こります。
3)すべての文を改行する
Webでは、句点(。)のたびに改行すると文の頭がそろうため見やすくなります。
ここからここまでが1つの文だと把握しやすくなるからです。
スマートフォンは幅が狭いため、1行あたりの表示文字数が少ないです。
PCで1行で読める文がスマートフォンでは3行以上になることがあります。
文字がぎっしりですと、読んでいた箇所を見失ってしまいます。
改行して各文の開始位置が分かるようにしましょう。
【注意!文の途中で改行しない】
自分がPCで見て見やすいと思う位置で改行してしまうと、他の人のPCや自分のスマートフォン、他の人のスマートフォンから見た時に不自然な位置で改行されている文章になる場合があります。
例えば「、」の位置をPCで見てきれいに見える位置で改行してはいけません。
スマートフォンで見ると不自然な位置で改行され、目が疲れます。
読みにくくなりますので、文の途中での改行は控えましょう。
自分の画面と全く同じように見えている人は99.9%いません。
誰が見ても見えるように、文の途中で改行することはせず、1文ごとに改行しましょう。
4)意味の塊ごとに見出しを入れる
1)~3)で「Webでは、意味の塊ごとに段落を作ることはできないのか?」と思われたかもしれません。
Webでは意味の塊ごとに見出しを入れます。
見出しは章(紙でいうところの段落)の内容を一言で簡潔に表したものです。
紙媒体と比べ、Webは文章の塊が小さく、見出しが多い傾向にあるといえるでしょう。
3. まとめ
最後に、Webライティング視認性向上のための4つのポイントをまとめておきましょう。
Webライティング視認性向上のための4つのポイント
字下げしない
スマートフォンで見て3行〜5行になる場合は空白行を入れる
すべての文を改行する
意味の塊ごとに見出しを入れる
空白行と改行を入れることで見やすい記事にしましょう!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
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