カメラ雑誌廃刊に想うこと。
先月末に創刊73年の『日本カメラ』が廃刊。そして気がつけばアサヒカメラは昨年6月に、カメラ毎日などは1985年にすでに廃刊していました。私の世代3大カメラ誌がなくなり、そして今年はもう1誌フォトテクニックデジタルも7月に休刊となるそうです。
カメラ雑誌の休廃刊を伝えるモノはウイルスの影響やカメラが売れていない現状、そして出版不況を理由に挙げています。実際にもそうだろうけれども、それだけでは済まないものもあります。ちょうど本屋さんに行ったので残された学研カメラ雑誌CAPA(キャパ)を何年振りかでめくってみました。しかしそこに載っていたのは相変わらずのツマラナイ写真のオンパレード。日本からカメラ雑誌が全て消える日は近いと感じました。
それはちょうどヌード特集でした。週刊誌やら一般紙からは減り続けているヌード写真、昔から写楽(1980年に創刊、1985年休刊)に代表された写真雑誌、そしてこれらのカメラ雑誌は中学生や高校生が堂々と買える、手に取れる雑誌としてもヌード特集は昔からよく売れました。カメラ3大誌がなくなりそれまでヌードは載せなかったCAPAでのヌード特集でしたので、売り上げは通常月よりは少しはマシかと想像に容易いのですが、ページをめくると高須のスポーツ写真は新聞でもボツになりそうな写真だし、売りの数名にわたるヌード特集の写真も近年まれにみる素人以下。それ以外のページも相変わらずで、投稿批評写真もレベル落ちていたしで、大丈夫?この雑誌売る気ある??相変わらずのなーなー仕事??。ただその中の2枚、入れ乳の歪さがヌード写真というより造形として目立っただけで他に観るものはありませんでした。
これらの雑誌そのものはカメラ誌を名乗って掲載写真レベルの低さは誤魔化してはいても、写真そのものの良し悪しを編集者が分からなければどこの出版社もその雑誌は売れなくなるのは当たり前。編集作業が流れ作業になってしまっているのか、雑誌編集が楽しみを伴った仕事としてよりもサラリーマンとしてやっつけ、給料分しか働かない者が増えたのか、それとも業界全体が編集の楽しみを忘れてしまったのでしょうか。
「原稿があればいい」「白が出なければいい(空白ページ)」と毎月毎月下手すぎる掲載写真選定は読者にも確実に伝わり、日本カメラの場合も自然と読者を遠ざけてしまったのでしょう。特に日本のカメラ雑誌はメーカー広告ありきで機材の酷評は出来ないし、編集者からの原稿依頼もメーカー指名の機材指定であったりと、指定された機材を褒めあげなければいけないというレギュラー月刊誌でも別冊ムックのような括り。これでは本当の意味でのレビューはできないし、ネットの自由奔放の書き込みには敵わない。特に最近の代理店はYouTuber流行りでその広告費はそちらへ回るの悪循環。
しかも読者は目の肥えたアマチュアフォトグラファーであり、新機種が毎月出るわけでもない中、カメラ情報を求める以外にその雑誌を購入するとすればそれは良い写真、面白い写真、憧れる写真の掲載に頼るのが本筋。以前どこかのカメラ雑誌で羽生結弦を特集していたのはそれの最たるものでした(でも写真はつまらなかったのが残念)。
写真に関しても編集者も撮影者もプロが少なくなってしまっているのでしょうか?!
ちょうどYouTubeでもアマチュアの方が名指しでプロと名乗る方を酷評していたので、そのアマチュアのかたの口車に乗せられてそのプロ(?)の方のYouTubeを見てみましたが、苦笑しながらも早送り。登録者数は多いけれど写真のスキルもないし、見たことも聞いたこともキヤノンさんに訊いても知るはずもない。YouTubeで知るカメラの性能アップがもたらしたプロと名乗る素人さんを増やしている現状を再認識させていただきました。
日本の雑誌やYouTubeでも感じる「カメラの必要以上の進歩がもたらした現代写真1枚の安易さ」はそのままそれぞれ表れており、それぞれ機材の話だけは参考になるものの、実際にその方々が撮影する写真はつまらない。
カメラが撮ってくれた写真ではなく、あなたが撮った写真は?
そう尋ねたくなるものばかりでそこに撮影意思はあるんかい?!
スラムダンクの安西先生が言っていましたね、
「下手くその上級者への道のりは、己が下手さを知りて一歩目」
この名台詞はスラムダンクを読んでいない、観ていない私でも知っています。
編集者を目指して夢を叶えた諸君、日々写真を撮ることを楽しみにしている皆さん、私を含めて、
さぁ、努力しましょ!!