脚本が秀逸なスリラー映画三選
Youtubeで予告を見てから気になっていた映画、『ビバリウム』を本日レンタルして視聴した。日本公開は本日だったらしい。別に合わせたわけではなく、たまたまである。
不動産屋に物件を紹介されたカップルが、その地帯から脱出できなくなり、やがて奇怪な出来事が起こっていくといったスリラー映画だ。プロットはスティーブンキングが推しているように秀逸だといえるものの、種明かし的部分が薄すぎて拍子抜けした、というのが正直な印象だ。監督が鑑賞者の想像に委ねている、といった見方もできないこともないが、にしてもなんだかもやもやが残る一作であった。
とまあこういったスリラー系統の映画というジャンルは特に当たり外れが大きいものの、当たりを見た際の衝撃と心地良さは何にも代えがたい。というわけで今回は、過去に観た脚本が凄いスリラー映画良作を挙げていこうと思う。執筆時間が夜でちと怖さもあるが頑張って書いてくぜー。
※ちなみにホラーとスリラーの違いは、ホラーは化け物や幽霊といった不明瞭な対象が出てくる怖い映画。スリラーはどちらかというと対象がはっきりとしていたり、比較的リアリティに沿ったシチュエーションで展開されるもの。中には曖昧なものも存在するが、まあジャンルってそもそも曖昧なもんだから何となく把握してたらいいでしょう。
ソウ
羊たちの沈黙のレクター博士と並ぶ、サイコスリラーの有名キャラ、ジグソウを生んだこの作品。ネームバリューもデカいため、映画を観てない人でもネタバレを知っている人がもしかしたらいるかもしれない。
密室に足を鎖で繋がれた二人の男。中央には死体。ポケットにあったテープを再生すると、指定された時間以内にどちらかを殺さないと生還できないことを告げられる・・・
シチュエーションなどの設定、カメラワークなど画面から発するあらゆる情報が心地良い怖さを撒き散らしてくる。そして、ここしかない!というタイミング、終盤の終盤で例のBGMと共にやってくるネタばらし。初見では本当にビビった。記憶を消してもう一度観たい映画の一つだ。
そして驚くべくは、この映画、総撮影日数、18日・・・そして超低予算映画だということだ。密室で主に展開する映画というのも要因の一つだろうが、特にこの手の映画は金をかけりゃあいいってもんじゃないということをまざまざと見せつけてくれている。
多少グロテスクなシーンもあるが、未見の方はぜひ見ていただきたい。どんでん返しスリラーの大定番といっていいだろう。
エスター
微妙にディカプリオも制作に携わってたりするこの映画。原題は『Orphan』(孤児の意)だが、邦題の方がいいな、なんて思ってしまう。
子供を流産してしまった夫婦は、9歳のエスターという孤児の少女を引き取ることにした。だがこの少女、どこか、おかしい・・・
この映画の恐怖の中核をなすエスター演じるイザベル・ファーマンの怪演がすさまじい作品だ。オチの部分も読み切れず、「おお、そうきたか!」といった印象だったか。自分の予想とは全く違った形、そして自分の納得のいく形で今までの情報を回収してくれる素晴らしいネタばらしだった。
予告を見ると勘の良い人はそれ自体でオチが分かってしまうなんてパターンも映画によっては往々にしてあるのだが、この映画は特にそんなことはないように思う。最近Netflixで配信されるようになったみたいなので、気になる方はそちらでどうぞ。
ゲット・アウト
コメディアン・俳優として名を挙げたジョーダン・ピールが監督として高い評価を得たこの作品。白人の彼女の家を訪れた黒人男性が体験する恐怖を描いた作品だ。
まず述べさせていただきたいのは、僕はこのジョーダン・ピールはアリ・アスターと並んで非常に注目している監督だということだ。いかんせん、彼にしかできないことをやっている。第一に、彼の作品の特徴は、ひたすらに、「不気味」だということ。サウンド、撮り方、そして人の目線や動き、喋り方など。どうすればより、「不気味」になるかということを熟知しているように思える。気味の悪さがハーモニーを織り成し、逆に心地良いといった感覚だ。
そして彼の作品の更に凄いところは、最後の大どんでん返しがあってから、改めて作品を見終えた後、各キャラクターのセリフを振り返った時にある。なんだか思わせぶりなセリフ、不可解なセリフが多く作品には見られるのだが、オチを知った後にそれらを脳内で振り返ると、それが更に恐怖を助長するのだ。正直執筆している今でも作品の一部セリフを思い出して鳥肌が立ってしまった自分がいる。この感覚はジョーダン・ピールでしか味わえない。次の作品が出たら間違いなく鑑賞させていただくだろう。
前述した『エスター』と異なり、こちらの予告は入念に見るとめちゃくちゃ勘の良い人はオチに気づくかもしれないので、予告を見たいのであればサラッと1回だけ見てすぐ鑑賞していただきたい。
ちなみにジョーダン・ピール監督の次作、『アス』も似たようなにおいを醸し出している作品なので、『ゲット・アウト』でハマった人は、ぜひそちらも見ることをオススメする。
おわりに
怖いの嫌い、という理由で映画好きを公言している人でもこの手の映画は敬遠している人もいたりするが、僕も最初は怖い映画なんて大嫌いだった。しかし、徐々に慣らしていくと見られるようになってくるし、今では大好物のジャンルの一つになっている。この機会に絶品のスリラー映画、いかがだろうか。
しかしネタバレせずに上手く映画の良さを伝えるって難しいね。そしてなんだかもどかしい。
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