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京都大学名誉教授、小泉昭夫先生講演会 問題は環境省の二枚舌 エコチル調査の結果を一刻も早く政府の評価書に反映せよ 日本は本当はPFASについての危険性を認識している


12月8日(日)武蔵野市西久保コミセンにて「むさしの・PFAS問題を考える実行委員会」主催で京都大学名誉教授の小泉昭夫先生の講演会が行われ、参加してきました。


小泉先生の他に、東京民医連事務局次長の山根浩さんもお越し下さり、冒頭にお話をしてくださいました。


民医連の山根さんは、全国組織である民医連が協力して、PFAS汚染の健康を把握する唯一の方法として、血中濃度全国マップを作成して、日本全国に広がるPFAS汚染の実態を広く国民に知ってもらう事がまず行うべきことである、とお話してくれました。


その後は小泉昭夫先生の講演。


小泉昭夫先生は、現在のようにPFASが全国規模で汚染が明らかになる数年前から、長年このPFASが人体に及ぼす影響を調査してくださっていた、日本におけるPFAS汚染の第一人者のような方です。


以下、小泉昭夫先生の発言より引用です。


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米軍基地など泡消火剤による土壌汚染や地下水汚染は、五千種類とも一万種類とも言われるPFASの中でも主にPFOSとPFHxSによる汚染であり、産業利用や産業廃棄物による汚染は主にPFOA。


半導体や電気自動車など、幅広い製品の素材としてPFASは利用されている。


汚染の広がりの中でのPFAS汚染を見てみるとわかりやすく、米軍基地からの泡消火剤が主な汚染源と言われる東京多摩地域や神奈川県綾瀬市などはPFOSの汚染が高く、大阪のダイキン工業近隣や兵庫県明石市や岡山県吉備町ではPFOAの値が高い。


健康への影響として、疫学調査では認められており、本来ならば十分なエビデンスとして認められる評価があるが、現在でも国は認めていない。

米国科学アカデミー臨床医へのガイドラインとして

1 「PFASの血栓濃度が2ng以下は通常診療でよい」

2 「PFASの血栓濃度が2ng以上20ng未満の患者」と

3 「PFASの血栓濃度が20ng以上の患者に対して」

 は具体的な検査を行うようガイドラインが決まっている。

2023年12月に世界でエビデンスが揃ってきたため、国際がん研究機構(IARC)はPFOAを「ヒトへの発がん性物質として分類(グループ1)」したことを発表し、アスベストやダイオキシンと同レベルに認定した。

PFOSは、「ヒトへの発がん性物質の可能性がある(グループ2B)」に分類された。

PFASが体から排出されるまでの生物学的半減期は、PFOSで5年、PFOAで3年、PFHxSで6年で、体内に取り込まれたPFASが95%排出されるまでに40年かかる。(コレステロールの薬、コレスタミンという薬が、体内に取り込またPFASに対して効果がある、との論文もあるが、未来の事を考える上で、血液検査を行うことが最も大事である)


2024年6月に内閣府がリスク評価書を発表したが、内閣府は「疫学データを無視」「IARCの発言分類を無視」「免疫毒性を無視」「胎児/新生児の発育抑制の無視」し、これらの問題点を批判的に解決する必要がある。

内閣府の食品安全委員会作業部会は2024年6月20日にPFASの健康影響評価書案を取りまとめ、人が1日に摂取する許容量は、PFASの中でも代表的なPFOA.PFOSでそれぞれ体重1キロ当り20ngとしたが、この数値は現在水道水における日本の暫定目標値である50ngに合わせた数値であり、世界でも高い数値である50ngを追認する数値であり、なぜこの数値なのかという問いに環境省は、「米国並みの数値(水1リットル当たり4ng)にした場合、混乱することが予想され、米国並みには出来ない」と発言した。

IARCの発がん性評価の議論に参加した2人の日本人研究者2人は、内閣府の設定した許容摂取量体重1キロ当り20ngとする数値、そして発がん性に関して「疫学調査でリスク判断を」「次の健康被害は未然に防げ」と発言した。

環境省は父、母、そして妊娠してすぐに血液を調べ、その後に3年の時間をかけてその人の血液を追う「エコチル調査」の論文を発表した。

その論文では「エコチル調査の結果、母親の血中濃度が高いと子どもの染色体異常の発生が高い傾向が見られた。」「対象者のうち44%の子どもで、染色体異常が見られた。最も影響が大きいPFASはPFOSで、次にPFNA.PFUnA.PFOAの順で染色体異常に関連していた」と発表。

様々な研究の結果、本来ならば米国基準の水1リットル当たり4ngが妥当である。(本来はもちろんもっと低くても良いが、現実的に4ng以下は測れない)

エコチル調査は、研究班全体の科学的妥当性は担保されている。

環境省は自ら、このエコチル調査の論文について「調査結果の科学的な一貫性を確保するための手続きである」と認め、環境省職員の「ナカヤマショウジ」氏は、エコチル調査を行い、エビデンスとして本来認められる「エコチル調査に関する研究論文」を内閣府の評価書に反映しないという矛盾が生じている。


米国の状況、バイデン前大統領のPFAS対策として、「スーパーファンド法」が成立し、汚染者に浄化費用の負担などを強制させることができるが適用されている。

汚染源、汚染者の特定に前向きではない日本とは大きな違いである。


汚染源について、東京横田基地の火災訓練エリアの近くでの土壌中濃度において、PFOSは130000ng汚染されていた。

浜松市では航空自衛隊浜松基地が高い数値を記録。

浜松でも消化訓練場の近くで濃度が高かった。

千葉県鎌ケ谷市でも、自衛隊基地の消化訓練場の近くで高い数値を記録した。


今後の取り組みとして、汚染源の特定はもちろんのこと、国や行政が率先して血液検査、そして不安に思う住民に対して相談外来を早期に各地で開設すべき。

そして多様な研究の上で、治療薬の開発、継続的なモニタリングの体制づくりが必要である。


・汚染源を特定すること。

・岡山県吉備中央町の公費で行う町民の血液検査は非常に今後の事を考える上で重要である。

・環境省は、しっかりとエビデンスを活用した評価書を策定すること。

・水道水の基準値を定めること。

・全国規模の汚染マップを策定すること。 

・血液検査を国や行政が率先して行うこと。

・米国のように汚染者負担の原則を行うこと。

・染色体異常があると流産しやすいので、早期の対策が必要。


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