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永遠回帰とはなまるはんこ、ルンバに積もった埃

はーい3日連続演奏会、よく頑張りました。
人生初かもね。宴だね。

共演者の方との雑談のなかで「私ほんとに先のことばっかり常に考えちゃって全然今この瞬間ってものに普段意識を向けられないんですよねえ」とか言ってたら、「昔どこかで聞いた話で、今この瞬間にはなまるのはんこを押し続けられたら自動的に過去も未来もはなまるになるらしい」「この瞬間ってものの連続に実は終わりがなくて永遠に続いていくかもしれないけど、ずっとはなまるならそれはそれでおっけーじゃない?」みたいなことを教えてくださって。ここからどうやったら成書に辿り着けるんだ…と頭を抱えつつかなり頑張って調べた結果、おそらくニーチェの永遠回帰の話。ということでちょっと一旦ニーチェを読んでみます。自分を肯定するとか現状を受け入れるとか、何よりも誰よりも苦手だし,本音を言うなら、そんなことするものかー!って薄々思ってたけど、苦手なことをやってみる機会なんて歳を重ねるほどにどんどん減っていきそうなので、一回やってみる。

その話を聞いた次の日の夜中に突然目が覚めて、「私がスポーツあんまり好きじゃないのって、今この瞬間ってものの楽しみ方を知らないからなのでは!!!」って思ったらしく、スマホに謎のメモが残ってました。でも朝起きて、いや普通に運動神経ないだけじゃ?って思い直したのでこの話は保留。

そんなことより私は寺西さんの話がしたくてですね。誰かというと数日前に聴きにいった演奏会のプログラムノートを書いていた寺西基之さんという音楽評論家です。どこがどういいかは自分で反芻して満足したので割愛しますがまとめると、語彙力を伴ったロマンチストって感じの文章でした。その日演奏される曲にまつわることを書いたものがプログラムノートと呼ばれるものなんだけど、今まで読んだ中で一番好きだったかもしれない。初心者を置いてけぼりにすることもなく、かと言って通り一遍なわけでもなく。そして文章も、一文が長めな割に文の構造がしっかりしてるから初見ですんなり理解できるという。語彙力はもちろん豊富だけど、よくある美辞麗句オンパレードではなく、自分の語彙の持ち出し方がただただ適切というか慎ましいというか。なんかあるじゃん、「ねえねえ僕こんな難しい言葉知ってるんだよ?えらい?すごい?ほめて?」みたいな文章。
でも昨日うちで日々尽力してくれてるルンバの上の埃を見ながら、ああこれと同じで音楽評論家は評論の対象になることはないんだなあと思って切なくなりました。私が布教する。ルンバも拭く。

IQと語彙力があるロマンチスト、という人種。残念ながらあんまり繁殖能力高くなさそうだけど、どうか絶滅しないで生き残ってね、と思う。

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