天文学における「UT」と「ET」は、時間の測定に関連する用語です。
天文学における「UT」と「ET」は、時間の測定に関連する用語です。
UT (Universal Time)： UTは「世界時」とも呼ばれ、地球の自転に基づいた時間です。これは、国際的な時間標準として使われ、特に天文観測での時間基準として広く利用されます。UTは、元々はグリニッジ標準時（GMT）と呼ばれていたもので、イギリスのグリニッジ天文台での平均太陽時に基づいています。UTにはいくつかの形式があり、最も精密なものはUT1と呼ばれ、地球の自転のわずかな変動を反映します。
ET (Ephemeris Time)： ETは「暦表時」と訳され、太陽系の天体の運動に基づいて定義された理想的な時間尺度です。1950年代から1980年代にかけて使用され、太陽、月、惑星の位置計算に用いられました。ETは、地球の自転による不規則性を排除し、より一定の時間尺度を提供することで、天体の位置計算の精度を高める目的で導入されました。しかし、1984年にETはより精密な時間尺度である「力学時」（TD: Terrestrial Dynamical Time）と「座標時」（TDB: Barycentric Dynamical Time）に置き換えられました。
これらの時間尺度は天文学において極めて重要であり、天体の運動や位置を正確に記録し計算するために使われます。