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ひな壇芸人反応でセミナー受講効果は2割増し

コロナ禍の前から、私はセミナーやイベントによく参加していました。そのときに意識していたのが、客席から登壇者に対してリアクションを返すこと。たとえそれが大きな会場であったとしても、登壇者が気づかない可能性が高いとしても、必ず反応を表現するようにしていました。

それは別に目立ちたいからというわけではなく、反応を返すことで自分自身の受講効果が上がることを感じていたからです。

話を引き出すのは聞き手の役目

私は普段から「顔で話すタイプ」と言われるほどリアクションを表情に出します。もともと表情豊かなほうではありますが、いつも大きく反応しているわけではなく、コミュニケーションの一環として感情を非言語の形で表現するようにしています。

話し手は聞き手の反応に影響を受けながら話をします。目の前の相手が無表情だったり、目が合わなかったりすると、「つまらないのかな」「伝わっているのかな」と思いますし、逆にうなずいたり、表情が変わったり、楽しそうにあいづちを打ってくれたりしたら、「自分の話を聞いてくれている」「もっと話したい」と思います。

講義やセミナーの場合、話をするのは講師や登壇者の役目ですから、聞き手がそこまで気をつかう必要はないと思うかもしれません。しかし講師や登壇者も人間です。話しやすい、話したいと思えば普段よりも詳しく話したり、いつもは話さない内容を教えてくれたりすることもあります。

「反応がいいと、どんどん話したくなっちゃいますね」

以前。200名ほどが受講していたセミナーでの出来事です。私はいつも通り前のほうに座り、話を聞きながら大きくリアクションをしていました。驚いたら目を見開き、納得したらうなずき、面白ければ笑顔になり、考えるときは考える表情をする。

すると講師をしていた方が「反応がいいと、どんどん話したくなっちゃいますね」と言って、普段は簡単に済ませるというエピソードを詳しく話してくれました。その後「人前で話をするときは、この人みたいに反応してくれる人を見つけて、その人をペースメーカーにして話すと話しやすいですよ」と触れてくれました。

講演やセミナーのように話し手と聞き手の人数比が大きく違うとしても、話し手と受け手のあいだにコミュニケーションが必要であることは変わりません。しかし受講者側として「観客席」についてしまうと、そこにあるのはコミュニケーションであることを忘れて反応をさぼってしまいがちです。

多くの人が無表情であったりほとんど反応をしない状況では、少し大きめのリアクションをするだけで話し手の目に留まりやすくなります。そうすると話し手は「聞いてくれている」という実感を得ることができ、それだけで話しやすくなるのです。

イメージはバラエティ番組のひな壇芸人

バラエティ番組に、ひな壇芸人と呼ばれる人たちが出演することがあります。MCのように全体の進行をするわけではなく、彼らの役割は場を盛り上げることと進行をスムーズにすること。私は彼らの役割をイメージして、少し大きめなリアクションをしています。

もちろん声を出さないことが多いのですが、気軽に質問ができるような双方向な場であったり、あるいは少人数であったりすれば、積極的に質問をするようにしています。それによって黙っていれば得られなかった情報やエピソードなど、おまけの内容を話してもらえることもあります。

ただ気をつけなくてはいけないのは、相手が話し慣れている人かどうかを見極めること。話し慣れている人であれば、聞き手の反応を見ながら一緒に場を作り上げていくことができますが、慣れていない人の場合は聞き手の反応に引っ張られてポイントがずれてしまうこともあるため、聞き手としても様子をみながら反応する必要があります。

そういう意味でも、たとえ一対一でなくとも、話し手と多少の距離があったとしても、講義もセミナーも対人コミュニケーションであることに変わりはないのです。

アウトプットしながら話を聴くことのメリット

先日、ある講義をオンラインで受講予定だったのですが、現地での受講がほとんどいないことが判明して現地での受講に切り替えました。もともと少人数の講義だったので、講師にいい話をしてもらうためには現地でリアクションをする人がいたほうがいいと思ったためです。

確認や会話をしながら進んだ講義はとても有意義で、さらに会話から新たな発見があったりもして、その場を一緒に作り上げていく感覚がありました。講師からは喜ばれ、運営側からも「運営のことまで考えてくれる人はまずいない」と感謝されました。

講師や運営のためというよりは、スムーズに進んだほうがおたがい気持ちがいいですし、私には自分が聞きたいことを細かく聞けるというメリットがあります。何より、反応というアウトプットを常に意識しながら話を聴くので理解度が深まります。

一見、一方向に思われがちな講演やセミナーですが、自分の関わり方次第で双方向コミュニケーションに近づけることは可能なのです。

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