ランドセルリュック製作
製作者冥利に尽きるお話です。
以前、当工房で帆布バッグをオーダーいただいたお客様から連絡がありました。
「子供が今年4月に小学校に入学。ランドセルを作ってもらえますか?」
ランドセルといえば入学シンボルの一つ。
大事な小学校の6年間に使うランドセル。
それをミチヒトにオーダーいただくのは、嬉しくもあり、身も引き締まる気持ちでお受けしました。
ランドセルといっても、フラップが長いタイプではなく、どちらかというとランドセルとリュックの中間をイメージして設計を進めました。
カラーはお母さんとお子さんでチョイス。
黒の帆布に、サイドポケットとファスナーはブルーになりました。
高級感がありながらカッコよさもある配色です。
お渡しする際、ファスナー持ち手に紐を付けたのですが、そのカラーはお子さん自らに選んでいただいて取り付けました。
製作にあたり、今回はコロナ禍のため、お母さまと主にメールで連絡を取り、デザインしていきました。
・サイズは一般的なランドセル
・フラップは短め
・内布は水に強いナイロン
・ポケットは多め
・背面はアウトドアリュックで使われているメッシュ
と、いう初期イメージで進めていきました。
このリュックの大きな特徴は、
1,「フラップの綴じ方」です。
一般的なカチャッと差し込むバッグルだと、小学生だとなかなか閉じないのではないか。
フラップが開きっぱなしにならないか。
これに対応したバックルが”フィドロック”です。
強力な磁石が内蔵され、スライドするだけで外れ、近づけるとくっつきます。
しっかりロックし簡単には外れません。
フラップを閉じると、上手く重なれば自動的にロックします(手動でも簡単です)。
2,「底は総革」
丈夫な帆布といえども、使えば使うほど擦れてきます。
このリュックは帆布の色味にあった牛革を使っています。
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3,チェストベルト
まだまだ身体が小さいので、リュックが重いと後ろにずれ落ちます。
そこで登山リュックについている、チェストベルトシステムを付けました。
いずれ使わなくなった時に、邪魔にならないように締めるベルト部分は、取り外しを可能にしました。
フラップポケット、カラビナをかけられるテープ、内ポケットはA4サイズ1,小ポケット4,防犯ブザー等をつけるDカンなど、まだまだ機能を付けています。
そして大事なことのひとつが重量です。
機能が多いほど重くなりますが、大人が持つと「アッ」と声が出るくらい軽量にしています。
出来上がったランドセルリュックをお渡した時、お子さんはさっそく背負ってとても喜ばれていました。
とてもかっこいいと思ってくれたようです。
このリュックで使った帆布、実はお母さんのバッグと同じ帆布生地です。
親子で同じ工房、同じ生地。
親子の絆のひとつになってくれれば嬉しいです。
リュックを背負ったまま、帰っていく姿を見て、こちらが嬉しい気持ちでいっぱいになりました、
この様な製作をすることができるのは本当に製作者冥利に尽きます。
ミチヒトでは「今できる最大限の知識と技術で製作する」をモットーにしています。
これからも、お客さまの想いや喜びに、少しでも手助けできるよう、常に知識と技術を高めていこうと改めて思いました。
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