カナダのスタートアップ企業で得た働きやすさに関する知見10選
バンクーバーにある某ウェアラブルデバイス制作のスタートアップ企業を退社して早数ヶ月たちました。
2年間のカナダ企業勤務で得た働きやすさに関する知見を独り占めするのももったいないので、記憶がまだ鮮明なうちにまとめておこうと思います。
いちエンジニア目線の雑感ですが、関係のない職種の方にも通じるところはたくさんあると思うので、ぜひ参考にしてください。
前情報としては、私は日本でweb/UIデザイナーを3年、カナダでiOS developerとして1年8ヶ月勤めました。
正社員でいうと計2社しか働いたことがないし、エンジニアとしては日本で働いたことがないので比べられません。ということは事前に記しときます。
1. 上下関係はなくても支障がない
上下関係、まじでなかった。すごい。
マネージャーや役員など、最終判断を下す立場の人はいるけど、
ロールが違うというだけで関係はフラット。
CEO含めみんな下の名前で呼び合うし、"would you mind" とか "may I" とか丁寧な言い回し聞いたことない。
インターンがチームのボスに"how dare you"とか冗談で言える。
みんなCEOにもきさくに話しかけていた。(私はオーラが圧倒すぎて無理だった)
おかげで自分の言いたいことが言いやすい環境にあったし、slackとかで連絡するときにも時短できて楽だった。
例えばslackでボスからなかなか返信がこないとき、
日本語では"お忙しいところ恐れ入りますが、お時間あるときにご確認お願いいたします"とか冗長になりがち。測ってみたら打つのに12秒かかった。
一方前のカナダの会社では、"bump" の一言で終わった。短っ。1秒。
ちなみに意味はネットスラングのageと同じで"Bring Up My Post"の略らしい。
日本は敬語の文化だから仕方ないところもあるけど、厳しい上下関係を作るメリットとは特にないんじゃないでしょうか。軍隊を作りたいのなら別ですが。
2. 働きやすい環境作りは上司の仕事
今回一番声を大にして伝えたいのはこれかもしれない。
働きやすさについて責任をとれるポジションはっきりしてる日本の企業ってあんまりなさそうだと思うんだけどどうなんでしょう。
例えば、ミスしたことをビビって報告できなかった人がいた場合、
話せる場を作らなかったり、話しやすい雰囲気を作らなかった上司の責任になる。100%上司とは言わないにしても割合としては大きいかなと。
私のいた会社では、月に1回ずつ、モバイルチームボスとの面談(One-on-one)とエンジニアチームボスとの面談があった。
テクニカルな不満点や報告があれば直近であるモバイルチームボスに、
それ以外の給与や労働環境などの相談はエンジニアチームボスに30分時間を作って話す場があった。
もちろんそれ以外のときに話してもいいのだけど、二人きりだから話せることもあるし、この制度は心地よく働くことにすごく貢献していたと思う。
業務時間外に自費でアルコールを摂取して社外秘の話を公共の場でする必要なんてまったくない。
退職の際にはVP of Operationsというタイトルの一言で言うと偉い人との面接が任意であって、絶対口外しないと前置きした上で同僚、ボス、会社全体の不満なところやどうやったら退職を止められたかなどをいろいろ訊かれた。
とても真剣にきいてくれたので、よりよい環境を作ろうという姿勢をすごく感じられた。
3. 新社員の能力が低い場合本人ではなく雇った人の責任
これは一番はっとさせられたかもしれない。
新人(未経験ではない)が入ったあとのある日のボスとの面談で、「私の中で常識と思っていることを新人さんは知らなくてびっくりした」と伝えたところ、「まぁ能力がない場合それは雇った我々の責任だからね」と言われてはっとさせられた。
結果新人さんは普通にいいエンジニアだったんだけど、
もしだめエンジニアだったとしてもその人を採用した、面接で落とせなかった私たちが悪いんだと、今思えば当たり前なことに気付かされました。
そういう意識もあってか、モバイルチームの採用のときは、iOS/Android/Webの正社員全員が面接をしました。今まで採用面接は立場が上の人がやるものだと勝手に思っていたけど、実際に入って一番濃く一緒に仕事をするのはこのメンバーなので、まぁ理にかなっているなと。ちなみに同じポジションの人には技術的なテストを中心に、違うポジションの人にはコミュニケーション能力中心にみてました。
4. イベントの参加を強制しない
この時期になるとTwitterで話題にあがる、忘年会や新年会Dis。
前の会社でもパーティーやイベントは何度もあったけど全部オンラインで参加の有無を管理していた。
自由に簡単に行かない選択肢をとれるかわりに同僚になぜ来ないのか何度かきかれる。そのくらい。
あと費用は会社もち。
そもそも人間関係良好であれば楽しみなイベントなはずなのにって思うのは野暮かな。野暮か。
5. 専門的な勉強をした人が専門的な仕事をする
自社サービスの会社だったのでいろんなロールがあってみんなそれと関連する課程を修了していた。
エンジニアはCS専攻、マーケターはマーケティングを専攻していた。
業界変えた人もいるけど大学に通い直した上での転職。
ちなみにカナダの大学生はめちゃくちゃ勉強する。社会人の比じゃないほど忙しい。らしい。そうじゃないと卒業できないから。
それぞれの分野のプロがそれぞれの分野でコミットして1つのプロジェクトを作りあげる。
自分が得意なことに集中して、できないことは仲間がやる。
これぞ"会社"だとなんだか感動したのをおぼえてる。
自社サービスだからこそかもしれないけど、チームプレイ感をすごく感じられてその一員でいられるのが嬉しかった。
日本だと大学の専攻とまったく関係ない業務についたり、
そもそも入社時にポジションを選べないとかすることが多いらしいけど、
何年もかけて学んだことを生かさないってめちゃくちゃ無駄じゃない?
まったくの未経験者を雇って教育するという制度があるなら、
そりゃ教育する側の立場が上になるのも頷ける。
一般的に勉強は代価を払って受けられるものだし。
ド素人を雇う側も雇われる側もデメリットが多い気がしてます。
やってみないと得意かどうか分からないのに博打がすぎるし。
仕事としてやりたいことを学校で学んで、それを活かす仕事に就く。
すごくシンプルで客観的にみても普通の流れのように私は感じます。
6. 理由の言えないマナーなんていらない
同僚と快くコミュニケーションがとれる程度のマナーがあればあとは基本なんだっていいと思う。
例えばカナダの会社では誰が腕や足を組もうと誰も気にもとめなかったけど、日本だと偉そうにみえるからだめとかありますよね。
上座がどうとかラベルがどうとかそれ具体的にどう業務に影響するんですかね。
「業務中に大声で歌ってはいけない」とかならわかる。集中できないから。
どうしてだめなのか説明できないことは他人に押し付けるべきではないとカナダで改めて思いました。
理にかなわないルールがないだけでずいぶんとオフィスライフが快適になります。
7. ワークライフバランスの良さは良いパフォーマンスに繋がる
IT系企業は残業するのが常識。そう思っていた時期が私にもありました。
でもそれは嘘だということを知ってしまった。
自社サービス未ローンチの会社ですら残業はほとんどなかった。
あったのはリリース前の1週間に1日2時間ほど。
残業はたまになら案外楽しいもんで、ピザたのんでホッケーの中継みながら食べたりした。
ちなみに自分のタスクが間に合ってれば別に他のメンバーが残ってるから残らないといけないという雰囲気もなかった。
(その人のタスクが大量に残っているのに帰ってる場合は別だけど)
単純な疑問なんだけど、なぜ日本のIT系企業はこんなに残業が多いのでしょうか。
最初から残業ありきで工数作ってるから?バッファを作らないから?
残業なしライフのおかげで業務終了後にカフェで1,2時間勉強して、スーパーよって自炊しても家でぐだぐだしたあとたっぷり寝る時間があった。
毎日すっきりした状態で会社に行けたし、結果よいパフォーマンスに繋がったと思う。
8. 専門職の人は専門的な業務しかしないほうがいい
デザイナーは良いデザインを作る、エンジニアは良い設計やコードを書くのが仕事だと思ってる。
それ以外の電話対応などの雑務を専門職の人にやらせるのは無駄だし、専門職の人はやりたくないはず。
カナダの会社では(役職名忘れちゃったけど)雑務がメイン業務の人がいて、社内イベントの幹事や飲食物や備品の管理をしてくれてました。
その人が入社その前にその業務をやっていたのはなんと、CEOでした。会社のトップオブトップですよ。
また”新人だからしないといけない仕事”というのは1つもなかった。
新人だろうと専門外のことやらすのは無駄ですからね。
9. 休むのは従業員の当然の権利
見出しがすべて。以上。
休暇をとるのが迷惑ってなんなんでしょう。
事前に年n回の休日を与えるという契約結んでるんじゃないんでしたっけ。違うっけ。
何日前に申請というルール守っていればなんの問題もないはずなのに。
前にもうひとりのiOS developerが新しくなったばかりのときに、ちょっと申し訳無さそうにバケーション申請していいか聞いたら、
当然の権利だからもちろんいいよと快諾してもらいました。
もちろん申請時に理由なんか言わなくていいです。
替えのいないポジションであるエンジニアチームボス(男性)もお子さんが生まれたときに1ヶ月ほど休暇をとっていました。
いない人のぶんは他のみんなで埋める。
それができないのは正直組織づくりの失敗としか思えない。
そしてその失敗のしっぺ返しは従業員が受けるべきものではないと思うのです。休暇をとってまわらなくなるのはその人の責任じゃないからね。
10. 退職希望者をとめる権利は会社にはない
会社が本人の意思を無視して無理に働かせるのってそういうのって奴隷って呼びません…?強い言葉だけどまじでそうじゃないですか?
至極当たり前だけど、会社は雇用人の人生の支配者になれるはずがないしなってはいけないもの。
もちろん引き止めるために交渉をするのは建設的だと思う。
私の場合、給与35%アップになる提案していただいた上で無理には引き止められないけどねと言ってもらえた。
結果実際決心少し揺らいだし、去ろうとするものには留まるメリットを提示することしか会社としてはできないと思う。
まとめ
という感じで、私のいたカナダで就職したら日本が見習うべきところはたくさんあると感じました。
とはいえ、こららのことがカナダで叶うのがすぐにレイオフ(クビ)にできるという前提があるからというのは少なからずあるかもしれないです。
私のいた会社では一度もレイオフはなかったけど、周りではよく聞く話でした。
北米では基本部下に評判の悪い上司がいたら飛ぶし(主語がでかいと怒られそう)、クソ上司が居座り続ける限りいつまでも改善が難しいというのはあるかもしれない。
それでもストレスに溢れた日本の会社での日々を良くする方法はたくさんあると思っています。今回まとめたことは法律ではどうにもならないことばかりだし、みんなで意識を変えて本当の働き方改革ができる日を信じてます!!私達若者が一緒に変えていきましょうー!!
参考になったという方!絶賛ニート中なのでサポートお待ちしております♪
MacBookが限界きてるんだ!!!!!