Lyrical Balladsノート
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「[英詩]詩形の基礎知識(12)——Blank Verse」で論じた Wordsworth の 'Tintern Abbey' が収められた、Coleridge との共著詩集 'Lyrical Ballads' (1798/1802) についてのノートです。なにか一冊英詩の詩集を挙げるとすれば、重要性の点でこの詩集にとどめをさします。今回は、Oxford 版の同詩集の編纂者 Fiona Stafford (Oxford 大学英文学教授) の序文を取上げます。
目次
Lezard の書評
critical apparatus
plain speech
Stafford の序文
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'Lyrical Ballads' の1798年版と1802年版が収められた Oxford World's Classic 版(下)は、両方の版が参照できる点で、貴重な本といえる。
Lezard の書評
Nicholas Lezard はこれの 書評 (The Guardian, 16 Jul 2013) で次のように述べている。
つまり、これまでに出版された英語の詩集で、これ以上に重要な詩集はないという評価をくだしている。これは Lezard の特別な意見ではなく、英文学史のある意味で常識といえる。
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Lezard の書評のポイントを二つ挙げておこう。一つは校訂版詩集に関わることで、もう一つは 'Lyrical Ballads' で用いられたことばに関することである。
■ critical apparatus
学術書、特に原典の校訂版には、critical apparatus が必ず附いている。考証・注解・異文などの研究資料のことである。
本マガジンでおなじみの例でいうと、ボブ・ディランの校訂版詩集(Christopher Ricks ら編、下) には critical apparatus が附いている。どちらかというと、異文が中心ではあるが。
逆にいえば、critical apparatus なしの校訂版はあり得ない。
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