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令和が採られた序文

2019年4月1日に新元号が発表された日の夜に次の文章を書いた。

この際、典拠とされる文書の画像を掲載した。これは、おそらく、メディア関係に配られた文書ではないかと思われる。

私の中ではこの〈書き下し文〉の中で一箇所だけ気になる点があった。

それは最後の「蘭(らん)は珮(はい)後の香を薫らす」のところだ。おしまいの「薫らす」の送り仮名が「らす」となっているのに引っかかった。これは、元の典拠では「す」である。つまり、「薫す」となっている。

どうしてその違いができたかは分らない。が、首相官邸の「内閣総理大臣談話」ページを見ると、きちんと「蘭(らん)は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かおら)す」と書いてある。

「薫す」であれば、『万葉集 全訳注原文付(一)』のそれと完全に一致する。ここから採られたことに疑いの余地はない。

以上をふまえた上で、竹田恒泰氏が2019年4月25日の「真相深入り!虎ノ門ニュース」(DHCテレビ)で行なった「令和の本当の意味」と題する話につてコメントする。

竹田氏の結論を簡単にのべれば、「令和」は出典の序文全体を背負う。令和は、エネルギーに満ちていて、運気がよい、人々が穏やかになり和やかに和気藹々と睦まじく、気づいたらみんなで文化活動に勤しんでいる。これが令和という元号が持つ意味であり、日本の国家の一大理想である。

こういう理解が背後にあるので、安倍総理は「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ、という意味が込められております」と首相談話で述べたのだ。

つまり、「令月(れいげつ)にして 気(き)淑(よ)く風(かぜ)和(やわら)ぎ」の部分だけでは、この文化のことが分らないのだ。序文を最後まで読む必要がある。

この文化活動とは、具体的には和歌を詠むことである。つまり、人々がしぜんに詩を書くという文筆活動をすることを指している。その結果が梅花の歌三十二首となった。

「令月にして 気淑く風和ぎ」だけでなく、ぜひ、序文全体を心におさめて文化が薫る新時代を迎えたいものだ。

#万葉集 #令和 #元号 #詩心 #文化

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