[英詩]1分で読めるディランのライム(1)
※ 旧「英詩が読めるようになるマガジン」(2016年3月1日—2022年11月30日)の記事の避難先マガジンです。リンク先は順次修正してゆきます。
※英詩のマガジンの副配信です。
お忙しい方のためのディランのライム集を始めます。
これまでに取上げた(主に)ボブ・ディランの詩、およびそれ以外の詩の中から、おもしろいと思ってもらえそうなライムを、1分で読み切れそうな分量に分けて紹介します。
詳しくいうと、1分半程度で読み切れる分量に、ディラン(など)の詩の名句の押韻(行内韻を含む)の解説をまとめます。当分、副配信専用企画です。
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1回にどれくらい収めるかは未定です。たぶん、3本ていどになると思います。それぞれ1分半ほどで読める分量です。
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目標は、英詩のライムの豊かさ、おもしろさを味わってもらうことです。現代英詩の屈指のライマーであるボブ・ディランのライムを通して、音と意味の響きあいのおもしろさを感じていただければ幸いです。
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本当の理由をいうと、TVのCMが1分半程度じゃないですか。あれくらいの時間で読み切れる文章をわたしは愛読しています。結構、おもしろい、あるいは有益な内容が盛りこめるものだと思い、英詩でそういうものがあれば、自分が読みたいので、作ってみることにしました。
本配信は1-2万字程度になるので、とてもCMの時間くらいでは読めません。そういうものばかりだとしんどくなるので、息抜きのつもりで読んでいただければいいかと思います。
では、行きます。歌詞の太字は脚韻部分 (=強勢母音以降) です。
風に吹かれて
ボブ・ディランの代表作「風に吹かれて」('Blowin' in the Wind', 1963) の第1連の6行。2行めと4行めと6行めが韻をふむ。man / sand / banned が -an / -and / -anned の脚韻 (ライム) をなす。ただ、脚韻の定義〈強勢のある母音以降の音が一致〉に照らして、ちょっと違うと気づく方もおられるかも。sand, banned の末尾の /d/ の音が man と一致しない。そこで、これは母音韻という、母音が一致する韻であることが分る。脚韻が母音韻になることは、よくある。
「人として(一人前と)認められる」までにどれほどの道のりを歩かねばならないのか。「砂で眠る」までにどれほどの海を白鳩は飛ばねばならないのか。「永久に禁止される」までに何度、砲弾を飛ばさねばならないのか。ここで「人」「砂」「禁止」が押韻する。どういうことか。
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