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[英詩]Bob Dylan, 'When the Deal Goes Down' (2)

※ 旧「英詩が読めるようになるマガジン」(2016年3月1日—2022年11月30日)の記事の避難先マガジンです。リンク先は順次修正してゆきます。

英詩のマガジン の本配信、今月3本目です。歌われる詩の2回めです。今回は、ボブ・ディランのアルバム 'Modern Times' (2006年、下) に収められた 'When the Deal Goes Down' の続きで、5連からです ('Well, the moon gives light . . .')。

Bob Dylan, ‘Modern Times’ (2006)

(承前)
メロディはクロズビ (Bing Crosby) の歌 (‘Where the Blue of the Night (Meets the Gold of the Day)’, 1931) に基づき、詩テクストは南北戦争時の南部の詩人ティムロド (Henry Timrod) の詩のエコー、聖書への言及などが含まれます。

1連は、苦闘しつつ人生を歩みながらも、自らの智慧が〈世界のいにしえの光のなか〉で成長していることを実感できると謳う。

2連は、我々の生死の理由は我々には分らないけれども、契約のことが起きるときには、わたしはあなたと共にいると謳う。

3連は、日常の飲食、心をよぎる感情や思考、さまよい、泣き笑い、そんな人生で、絶えず心に浮かぶ、言わなきゃよかった言葉のことを謳う。

4連は、われらは同じいばらの冠をつけているということで、ヘイリンの指摘どおり、新約の信仰を共にする仲間に向けて直接語りかけている。

参考文献 は、文字数の関係で別の note にあります。ヘイリンの本というのは、Heylin, Clinton. 𝑆𝑡𝑖𝑙𝑙 𝑜𝑛 𝑡ℎ𝑒 𝑅𝑜𝑎𝑑: 𝑇ℎ𝑒 𝑆𝑜𝑛𝑔𝑠 𝑜𝑓 𝐵𝑜𝑏 𝐷𝑦𝑙𝑎𝑛 1974-2008 (Constable, 2010) です。

また、コーディの論は、𝑇𝑒𝑎𝑟𝑖𝑛𝑔 𝑡ℎ𝑒 𝑊𝑜𝑟𝑙𝑑 𝐴𝑝𝑎𝑟𝑡: 𝐵𝑜𝑏 𝐷𝑦𝑙𝑎𝑛 𝑎𝑛𝑑 𝑡ℎ𝑒 𝑇𝑤𝑒𝑛𝑡𝑦-𝐹𝑖𝑟𝑠𝑡 𝐶𝑒𝑛𝑡𝑢𝑟𝑦, eds., Nina Goss and Eric Hoffman (UP of Mississippi, 2017) 所収の James Cody, 'Dylan's 𝑇𝑜𝑔𝑒𝑡ℎ𝑒𝑟 𝑡ℎ𝑟𝑜𝑢𝑔ℎ 𝐿𝑖𝑓𝑒: Rolling in Places' です。ローレンツェンの論は、同書所収の Jamie Lorentzen, 'Dylan's Direction Home through the World's Mighty Opposites' です。

それから、カーウォウスキの本は、Karwowski, Michael. 𝐵𝑜𝑏 𝐷𝑦𝑙𝑎𝑛: 𝑊ℎ𝑎𝑡 𝑡ℎ𝑒 𝑆𝑜𝑛𝑔𝑠 𝑀𝑒𝑎𝑛 (Matador, 2019) です。

※「英詩が読めるようになるマガジン」の本配信です。コメント等がありましたら、「[英詩]コメント用ノート(202201)」へどうぞ。

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【内容】〈英詩の基礎知識〉〈歌われる英詩1〉〈歌われる英詩2〉の三つで構成します。
【取上げる詩】2018年3月からボブ・ディランを集中的に取上げています。英語で書く詩人として新しい方から2番めのノーベル文学賞詩人です。(最新のノーベル文学賞詩人 Louise Glück もときどき取上げます)
【ひとこと】忙しい現代人ほど詩的エッセンスの吸収法を知っていることがプラスになります! 毎回、英詩の実践的な読みのコツを紹介し、考えます。▶︎英詩について、日本語訳・構文・韻律・解釈・考察などの多角的な切り口で迫ります。

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🔶 When the Deal Goes Down

次のボブ・ディランの詩テクストはリクスらの校訂版による。(公式詩集は8行4連だが、校訂版は6行8連)

動画リンク [Bob Dylan, ‘When the Deal Goes Down’ (Boston, 12 November 2006)]


When the Deal Goes Down
Bob Dylan

🔷5連

Well, the moon gives light
And it shines by night
 But I scarcely feel the glow
  We learn to live
  And then we forgive
 O'er the road we're bound to go

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