エミリ・ディキンスンという詩人
19世紀アメリカにエミリ・ディキンスンという詩人がいました。生前はほとんど世に知られず、自宅に引きこもっていた女性詩人です。
彼女は編集者に何度か自作の詩を送りましたが、発表されたのはわずかです。友人への手紙に詩を同封することもありました。
19世紀の詩の流行からすると、彼女は1世紀くらい先に行っていて、その真価が知られるようになるのは20世紀の半ばころでした。つまり、いま読んでもモダンな詩人ということになります。
彼女の詩の特徴のひとつは宝石のように彫琢された詩行です。イメジが詩のことばの中に凝縮され、緊密な統一体を成しています。かといって水も漏らさぬ、といった硬直化したものではなく、多くは外の宇宙に開かれています。
開かれていることを端的にあらわすのが、通常の詩を閉じるピリオドの不在です。ピリオドを使うこともあるにはあるのですが、多くの詩でピリオドが使われていません。代わりにダッシュ(—)が多用されています。
彼女が残した1700篇以上の詩はアメリカ詩の一つの巨峰です。その詩はたとえ短くともまだ百年くらいでは全貌が解き明かされていないと言ってもいいのです。おそらく何年かかろうと、完全に解ききることはできないでしょう。
そんな詩の一つを詩のマガジンで取上げました。初月無料ですのでお試しあれ
英詩が読めるようになるマガジン | ミオール | note
https://note.mu/michealh/m/m37ffaece6d2e
エミリ・ディキンスンの唯一の肖像写真(ダゲロタイプ)