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[英詩]Bob Dylan, 'Pay in Blood' (2)

※ 旧「英詩が読めるようになるマガジン」(2016年3月1日—2022年11月30日)の記事の避難先マガジンです。リンク先は順次修正してゆきます。

英詩のマガジン の本配信、今月2本目です。歌われる詩の1回めです。今回は、ボブ・ディランのアルバム 'Tempest' (2012年、下) に収められた 'Pay in Blood' の続きで、今回は9-24連です。

Bob Dylan, Tempest' (2012)

前回は、ディランの育った宗教文化(聖書の同害報復法)に照らして、'pay in blood but not my own' を 'pay you in your own blood' の意と解釈しました。'Pay in Blood' を、キリストの十字架の死に言及したものと取るカーウォウスキの立場とはやや異なる解釈ですが、さらに検討します。

参考文献 は、文字数の関係で別の note にあります。

カーウォウスキの本は Karwowski, Michael. 'Bob Dylan: What the Songs Mean' (Matador, 2019) です (下)。

Michael Karwowski, 𝐵𝑜𝑏 𝐷𝑦𝑙𝑎𝑛: 𝑊ℎ𝑎𝑡 𝑡ℎ𝑒 𝑆𝑜𝑛𝑔𝑠 𝑀𝑒𝑎𝑛 (2019)

※「英詩が読めるようになるマガジン」の本配信です。コメント等がありましたら、「[英詩]コメント用ノート(202206)」へどうぞ。

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【取上げる詩】2018年3月からボブ・ディランを集中的に取上げています。英語で書く詩人として新しい方から2番めのノーベル文学賞詩人です。(最新のノーベル文学賞詩人 Louise Glück もときどき取上げます)
【ひとこと】忙しい現代人ほど詩的エッセンスの吸収法を知っていることがプラスになります! 毎回、英詩の実践的な読みのコツを紹介し、考えます。▶︎英詩について、日本語訳・構文・韻律・解釈・考察などの多角的な切り口で迫ります。

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🔶 Pay in Blood

次のボブ・ディランの詩テクストはリクスらの校訂版による。公式詩集や公式サイトでは4行10連だが、この校訂版では2行24連。

動画リンク [Bob Dylan, 'Pay in Blood' (Detroit, 15 May 2015)]


Pay in Blood
Bob Dylan

🔷9連

Low cards are what I've got
But I'll play this hand whether I like it or not

(注)
Low cards 弱い札、位の低い札 cf. play a low hand「孤軍奮闘する」

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